Sunday, November 20, 2011

F.5. エネルギー庁の原発報道監視の詳細判明、東京新聞が情報公開請求で資料入手

エネルギー庁が原発報道の監視をしてきた問題について、東京新聞が情報開示請求により入手した資料から、チェックされた報道の詳細が判明。  2011年11月20日、報道した。エネ庁は事業の趣旨を「不正確な報道の是正」と説明してきたが、事実関係が正しいかどうかにかかわらず原発の推進に反する記事が収集され、「低俗な社説」「勝手な反対派を勇気づけるだけ」などと中傷されていた。

新聞や週刊誌を対象とした同事業は昨年度で終了しているが、本年度はブログやツイッターなどのインターネット情報に対象を変更して継続。外部委託費の総額は四年で一億三千万円に上る。

それに加え、今年(2011年)6月には 『情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案』(「ウイルス作成罪」、「コンピューター監視法」)が成立し、罰則整備に係る部分については、一部を除き,7月14日から施行された。表向きには、コンピューターウイルスへの対策だが、捜査権の拡大など、実質的にはインターネット上の情報・言論を監視・規制するものだとの批判も多い。 この法律については、こちらのページへ。


(東京新聞) 反原発の記事 中傷 エネ庁への報告 詳細判明 (2011年11月20日 07時15分)http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011112090071559.html (2011年11月20日閲覧)
(全文転載)(下線は投稿者)

経済産業省資源エネルギー庁(エネ庁)がメディアの原発報道を監視してきた問題で、チェックされた報道の詳細が、本紙が情報公開請求で入手した同庁資料で分かった。エネ庁は事業の趣旨を「不正確な報道の是正」と説明してきたが、事実関係が正しいかどうかにかかわらず原発の推進に反する記事が収集され、「低俗な社説」「勝手な反対派を勇気づけるだけ」などと中傷されていた

資料によると、二〇〇八~一〇年度までの三年間で新聞や週刊誌の記事計二百七十五件が「不正確」として報告された。事業は外部委託で行われ、各年度とも異なる財団法人が受注しており、いずれも電力関係者らが役員を務めている

報告記事は、原発に関する日々のニュースを伝える一般記事のほか、社説、読者投稿、広告まで及び、漫画も含まれていた。

地球温暖化対策として原発推進に言及した環境相に苦言を呈した二〇〇九年九月三十日の南日本新聞の社説に対しては「このような幼稚な社説を掲載する論説委員の質が問われる」と指摘。原発反対を訴え徒歩で旅をする男性を取り上げた同年四月十四日の佐賀新聞の記事には「目立ちたがりの行動をなぜ写真入り、三段抜きで報道するのか。勝手な反対派を勇気づけるだけで、社会の大多数のための政策の推進を阻害する」と報告した。

同年一月六日の朝日新聞に掲載された電機メーカーの広告は、太陽光発電への取り組みをPRする内容で原発に触れていないにもかかわらず「原子力の数倍の発電量を生み出せるような誤解を招く」と指摘していた。

報告された二百七十五件の八割は、主に原発が立地する自治体をエリアとする地方紙の記事で、最多は県内に伊方原発がある愛媛新聞の二十八件。以下、柏崎刈羽原発を抱える新潟日報が二十五件、玄海原発がある佐賀新聞が二十一件と続いた。

新聞や週刊誌を対象とした同事業は昨年度で終了しているが、本年度はブログやツイッターなどのインターネット情報に対象を変更して継続外部委託費の総額は四年で一億三千万円に上る。エネ庁によると、これまでメディアに訂正を求めたことは一度もない。

◆あくまで検討資料

資源エネルギー庁原子力発電立地対策・広報室の話 正確な情報の発信が必要かどうかの観点から情報を分析しており、「原発推進に反する記事の収集」との指摘は当たらない。委託先の判断により不正確と思われる情報を当庁に提供してきたものであり、あくまで当庁として正確な情報の発信を検討するための途中段階の資料だ。

◆全てエネ庁に報告

09年度の事業を受注した日本科学技術振興財団の話 「不正確情報」は外部の原子力の専門家三~四人に作成してもらい、職員が内容を確認した上で、全てをエネ庁に報告した。できるだけ多くの判断材料を提供した方が良いと考えたからだ。何ら間違ったことはしていない。

(東京新聞)

(転載終わり)
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2012年3月2日投稿

(東京新聞)エネ庁ネット監視 原発デマ対策HP 半年経ても未完成(2012年3月1日 朝刊) http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012030102000038.html (2012年3月2日閲覧)(全文転載)

 東京電力福島第一原発事故を受け、放射性物質の健康影響などネット上で飛び交う原発や放射能関連の不正確な情報を打ち消すため、経済産業省資源エ ネルギー庁が正しい情報を発信するホームページ(HP)が、当初予定から約半年経過しても完成していない。同庁は、正しい情報の確認作業が難航しているためとし、完成を三月末に先送りした。

 食品への不安や風評被害が広がり、国民が正確な情報を求める中で、事故から一年近くたっても提供できない同庁の事業に批判が集まりそうだ。

 同庁をめぐっては、多額の税金を投じ、原発に関する新聞などのメディア情報を監視してきた問題が本紙の調査で判明。今回のHPは、同庁が監視の対象をメディアからツイッターやブログに変更したことに伴い、本年度から着手した。

 昨年五月の一次補正で急きょ予算を計上し、一般競争入札で落札した都内の広告代理店「アサツーディ・ケイ」に八月中旬、約七千万円で委託した。

 入札仕様書には「速やかに正確な情報を提供」することを重要点として明記。デマ情報を集めた上、事業開始から一カ月程度で三十項目以上、最終的に は約百項目をQ&A形式でまとめ、昨秋をめどにHPに掲載するよう求めていた。しかし、HPは「現在改定中」とされ、情報提供が一切行われていない。

 エネ庁の担当者によると、広告代理店がデマ情報として集めた大半が放射能の健康影響についてだったが、専門家の助言が人によって見解が異なっている。また、食品規制や除染など国の対応が変遷したことも影響し「正解」の作成に手間取っているという。

 エネ庁原子力立地・核燃料サイクル産業課の武田龍夫原子力広報官は「放射性物質の健康への影響は国民の関心が高く、慎重に対応する方が良いと判断した」と説明している。

◆事業に必要性ない

 法政大の五十嵐敬喜教授(公共事業論)の話 言論の自由の観点から国が情報を監視すること自体、不適切な上、放射性物質が人体にどんな影響を与え るかは定説がなく、ある情報が誤りだと一律に判断するのは難しい。事業の難航は当たり前で、この段階でもホームページが作成できないなら、正当性や必要性 がないことは明らかだ。

(転載終わり)


【関連投稿】 政府による言論統制

【関連情報】 

資源エネルギー庁HP <競争入札一覧表(委託費の類)> 2011年8月の競争入札のページhttp://www.enecho.meti.go.jp/info/tender/ippan-kyousou/data/1108_ipan_itaku.htm(2012年3月2日閲覧)

株式会社アサツーディ・ケイHP: http://www.adk.jp/

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