Tuesday, November 15, 2011

I.5. セシウム汚染の拡がり:文科省は群馬・長野県境、北側は岩手県南部まで。国際研究チームは西日本、北海道も。

2011年11月11日、文部科学省は、岩手、富山、山梨、長野、岐阜、静岡の6県を新たに加えた東日本の放射性セシウムの航空モニタリングの測定値を発表した。(だが、北海道は含まれず。) それによると、西側は群馬・長野県境、北側は岩手県南部で汚染の広がりはとどまったとされた。

2011年11月15日、日本、米国、ノルウエーの研究者から成るチームがセシウム137の日本全国への沈着量及び土壌中濃度の見積もりを発表。岐阜県や中国・四国地方の山間部、さらには北海道にも拡がっている可能性をしめすシミュレーション結果を米国科学アカデミーの紀要に発表した。

研究論文は英語だが、研究チームは同日、日本語のプレスリリースを名古屋大学のホームページに発表。太字と下線を用いて、「本研究の結果は、汚染の実態の更なる検証のための一資料として活用すべきであり、新たな風評被害を生むような使いかたは絶対にしていただきたくない」と、強い言葉で警告している。(強調は原文に。)


(1)(asahi.com)セシウムの広がり、群馬県境まで 汚染マップ公表(2011年11月11日22時10分) http://www.asahi.com/national/update/1111/TKY201111110569.html(2011年11月15日閲覧)(全文転載)

図:セシウム134、137の蓄積量拡大セシウム134、137の蓄積量

東京電力福島第一原発事故による放射能汚染の実態について、文部科学省は11日、航空機で測定した放射性セシウムの蓄積量を新たに6県分追加し、計18 都県の汚染マップを公表した。これで東日本各地がほぼ出そろった。文科省は西側は群馬・長野県境、北側は岩手県南部で汚染の広がりはとどまったとみている。

追加されたのは岩手、富山、山梨、長野、岐阜、静岡の各県。セシウム134と137の蓄積量でみると、1平方メートルあたり3万ベクレルを超えた地域は 岩手県南部(奥州市、平泉町、一関市、藤沢町)、長野県東部(軽井沢町、御代田町、佐久市、佐久穂町)の一部。奥州市と一関市の境、佐久市と佐久穂町の境では6万ベクレルを超える地域があった。

岩手県南部については、事故後に放射性プルーム(放射性雲)が流れ、そのとき宮城県北部にかけての範囲で雨が降っていたため、飛び地状に汚染地域ができた。長野県東部は群馬県から南下したプルームで汚染された可能性がある。

=>続きは朝日新聞デジタルでご覧いただけます


(2)(asahi.com) 「福島原発の放射性物質、西日本にも」研究チーム解析(2011年11月15日5時0分) http://www.asahi.com/special/10005/TKY201111140338.html(2011年11月15日閲覧)(全文転載)


図:セシウム137の土壌中の分布拡大セシウム137の土壌中の分布

東京電力福島第一原発の事故で大気中に放出された放射性物質が、西日本や北海道にも拡散しているとの解析を日米欧の研究チームがまとめた。15日の米国科学アカデミー紀要電子版に発表する。文部科学省は長野・群馬県境で汚染の広がりはとどまったとの見解を示したが、以西でも「わずかだが沈着している可能 性がある」と指摘した。

米宇宙研究大学連合(USRA)の安成哲平研究員らの研究チームは、大気中の汚染物質の拡散を20キロ四方で計算するシステムを使い、事故後の天候や雨 による放射性物質の降下を加味してシミュレーション。文科省によるセシウム137の測定値で補正して、3月20日から4月19日までの沈着量を算出した。

分布状況は文科省の観測の傾向と一致していたが、岐阜県や中国・四国地方の山間部で、原発由来の放射性物質が沈着している可能性が示された。北海道にも広がりがみられた。

研究チームは「福島周辺の一部の地域を除き、ただちに人体への影響がある量ではなく、除染が必要なレベルでもない」(安成哲三名古屋大教授)とする。沈着量は、土壌中濃度に換算した値も、汚染米の作付け制限の基準をほとんどの地域で大きく下回っていた。

ただし、放射能放出が最も多かったとみられる3月19日までは、データがないため解析の対象に含んでおらず、「実際の沈着量は今回の見積もりより多めの可能性が高い」と、詳細な調査が必要だとしている。(吉田晋)

(転載終わり)  

(3)(NHK)北海道や中国・四国にも拡散か(11月15日 5時11分) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111115/k10013963871000.html (2011年11月15日閲覧)(全文転載)

東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質は、北海道や中国・四国地方にまで拡散し、土壌 に沈着した可能性があるとするシミュレーションの結果を名古屋大学などの研究チームがまとめました。研究チームでは「除染が必要なほどではないものの、全国で土壌調査を行うべきだ」としています。
名古屋大学などの国際研究チームは、原発事故のあとの3月20日から1か月間、各地で実際に計測さ れた放射性物質のデータを地球全体の大気輸送モデルと組み合わせ、シミュレーションを行いました。その結果、事故で放出されたセシウム137の一部は、北海道や中国・四国地方にまで拡散し、雨などの影響で土壌に沈着した可能性があることが分かったということです。セシウム137は半減期が30年のため、影響が長く残るとされていますが、土1キログラム当たりの濃度は、高いところで、北海道東部の一部で250ベクレル、中国・四国地方の山岳部で25ベクレル程度とみられ、研究チームでは、いずれも除染が必要なほどではないとしています。シミュレーションを行った名古屋大学の安成哲三教授は「放射性セシウムが 全国的に広がっている可能性があることが分かった。局地的に放射線量が高いホットスポットが出来ているおそれがあり、全国で土壌調査を行うべきだ」と話しています。

(転載終わり)

【一次資料】

(1)文部科学省 報道発表 『文部科学省による、岩手県、静岡県、長野県、山梨県、岐阜県、 及び富山県の航空機モニタリングの測定結果、並びに天然核種の影響をより考慮した、これまでの航空機モニタリング結果の改訂について』(平成23年11月11日 )
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/11/1910_111112.pdf(2011年11月15日閲覧)

(2)プレスリリース Universities Space Research Assosciation (USRA), Norwegian Institute for Air Research (NILU), 国立大学法人 東京大学、国立大学法人 名古屋大学 『福島原発から放出されたセシウム137の日本全国への沈着量及び土壌中濃度の見積もり -沈着は広 い範囲で、特に地形効果により沈着量は場所により大きく異なることが判明-』 (平成23年11月15日)
http://www.nagoya-u.ac.jp/research/pdf/activities/20111115_hyarc.pdf?20111115
(2011年11月15日閲覧) 

(3)(Proceedings of the National Academy of Science of the USA [PNAS]) Teppei J. Yasunari, et al., Cesium-137 deposition and contamination of Japanese soils due to the Fukushima nuclear accident

http://www.pnas.org/content/early/2011/11/11/1112058108.full.pdf#page=1&view=FitH
(2011年11月15日閲覧)

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