Saturday, August 27, 2011

II.B.1.わかりにくいように出す

例)文科省が学校の放射線量基準値を年間20ミリシーベルトから1ミリシーベルトへ変更

文部科学省は、8月26日、福島県の学校の放射線量基準値について、従来の「毎時3.8マイクロシーベルト未満、年間20ミリシーベルト未満」を廃止し、「毎時1マイクロシーベルト未満、年間1ミリシーベルト未満」へと変更する「通知」を福島県などに出した。

その2日前、メディアは、新基準値に何ら疑問を持たず、基準値の変更を報じた。(下の(1)、(2)、(3)を参照) だが、メディアの報道からは、どう計算したら毎時1マイクロシーベルトが年間1ミリシーベルトになるのか説明できない。

例えば、 毎時1マイクロシーベルト X 24(時間) X  365(日) = 8.76 ミリシーベルト (年間)


文科省が4月に「毎時3.8マイクロシーベルト未満、年間20ミリシーベルト未満」を決めた時に使った仮定(一日屋外8時間、屋内16時間、屋内は屋外の4割の放射線量)を使っても、

(毎時1マイクロシーベルト X 8(時間)+ 0.4マイクロシーベルト X 16(時間)) X 365(日) = 5.256 ミリシーベルト (年間)


では、メディアが疑問を持たなかった、文科省の計算方式とは?

学校への通学日数を年間200日,1日当たりの平均滞在時間を6.5時間(うち,屋内4.5時間,屋外2時間)」 (文部科学省からの福島県知事はじめ関係者への通知、『福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について(通知)』 より)


つまり、「毎時1マイクロシーベルト、年間1ミリシーベルト」という基準値には、学校に行かない日、学校以外ですごす時間に子どもたちが浴びる放射線は全く無視されている、ということだ。しかも、「なお,仮に毎時1μSvを超えることがあっても,屋外活動を制限する必要はありませんが,除染等の速やかな対策が望ましいと考えられます。」 (文科省「通知」、太字は投稿者) 
 
この学校放射線基準見直しの包括的な批判は下の(5)を参照してください。



(1)(共同通信)屋外活動で放射線量に新基準 政府、学校など除染支援 (2011/08/24 13:31)
http://www.47news.jp/CN/201108/CN2011082401000414.html (2011年8月27日閲覧)


政府が、小中学校や幼稚園での屋外活動制限の放射線量としていた毎時3・8マイクロシーベルトの基準を廃止し、毎時1マイクロシーベルトを新たな目安とし、学校などの除染を支援する方針であることが24日、分かった。

 文部科学省は「年間1ミリシーベルトを目指す」とする目標を示しており、これに対応した措置。1ミリシーベルトは一般人の年間被ばく線量の限度とされる。近く開かれる原子力災害対策本部の会合で正式に決める。

 政府は、国際放射線防護委員会の被ばく線量の基準に従い、これまで年間20ミリシーベルトを超えないように毎時3・8マイクロシーベルトと設定。しかし生徒・児童らの被ばく線量を年間20ミリシーベルトを目安に算定していたことに批判があった。

(2)(NHK)学校の放射線量に新たな目安 (8月24日 12時31分) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110824/t10015110761000.html (8月27日閲覧)
   
東京電力福島第一原発の事故を受けて示された学校での屋外の活動を制限する放射線量の目安について、文部科学省は年間の積算で20ミリシーベルト未満とする数値を廃止することを決め、新たな目安を年間1ミリシーベルト以下とすることを福島県に通知することになりました。

福島県の学校や幼稚園などの屋外での活動を制限する目安の放射線量については、文部科学省がことし4月、年間20ミリシーベルト未満、1時間当たり3.8マイクロシーベルト未満という数値を示していました。その後、福島県内の学校などでは、放射線量を 下げるために校庭の土を取り除く作業が進み、現在は、すべての学校で1時間当たり3.8マイクロシーベルトを下回っていることなどから、文部科学省はこの 目安を廃止することを決めました。そのうえで、夏休み明けは学校で子どもが受ける放射線量を原則として年間1ミリシーベルト以下とし、この目標を達成する ための新たな目安を1時間当たり1マイクロシーベルト未満にすることにしています。また1マイクロシーベルトを超えても屋外活動を制限する必要はないとしていますが、速やかに除染対策を行うことが望ましいとしています。文部科学省は新たな目安について今月26日にも福島県に通知を出して周知を図ることにしています。


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110823-OYT1T01169.htm (2011年8月27日閲覧) 

政府は、学校での屋外活動を制限する放射線量としてきた毎時3・8マイクロ・シーベルトの基準を廃止し、今後は同1マイクロ・シーベルトを目安に校庭などの除染を進める方針を固めた。
 
 基準線量が高すぎるとの批判や、福島県内外で独自に除染が進められている状況を受けたもので、事実上これまでの「安全 値」を見直す形だ。文部科学省は、子供が学校で受ける積算線量を年間1ミリ・シーベルト(1000マイクロ・シーベルト)以下に抑えることを目指し、除染費用を支援する。

 毎時1マイクロ・シーベルトは、年間の積算放射線量が1ミリ・シーベルトを超えない目安と位置づけ、屋外活動を制限する新たな基準とはしない方針。年間1ミリ・シーベルトは、平常時に自然界や医療行為以外で浴びる線量の限度とされる。

(4)(毎日新聞)学校放射線量:毎時3.8を1マイクロシーベルト未満に(2011年8月26日 11時38分)
http://mainichi.jp/select/science/news/20110826k0000e040048000c.html (2011年8月27日閲覧)

文部科学省は26日、東京電力福島第1原発事故を受け福島県内の学校などで屋外活動を制限する放射線 量の基準値毎時3.8マイクロシーベルトを廃止し、校庭などで受ける線量の目安として毎時1マイクロシーベルト未満とする方針を同県など全国に通知した。 児童生徒らが学校で受ける線量は原則年間1ミリシーベルト以下に抑制する。毎時1マイクロシーベルトを超えても「屋外活動を制限する必要はない」とし、局所的に線量が高い場所の除染で対応する。
 
 現状では政府の指示で住民が避難した地域以外で積算線量の予測値が年間1ミリシーベルトを超える学校などはなく、暫定基準値の役割が終わったと判断。夏休み終了後に福島県内の児童生徒らが学校で受ける線量は、通学日数200日、1日当たりの滞在時間6.5時間(屋内4.5時間、屋外2時間)の条件で、校庭などの線量を毎時1マイクロシーベルトとした場合、給食などの内部被ばくを含めても年間0.534ミリシーベルトとの推計を示した。

 文科省は4月19日、国際放射線防護委員会(ICRP)の声明を参考に、夏休み終了までの放射線量の目安を年間1~20ミリシーベルトとし、上限値から逆算した毎時3.8マイクロシーベルトを超えた場合に屋外活動を1時間に制限する基準を設けた。だが、「影響を受けやすい子どもには高すぎる」と基準を批判した内閣官房参与が辞任するなど混乱が広がったことを受け、文科省は5月27日、基準を維持しながら、今年度に児童生徒らが学校で受ける放射線量について年間1ミリシーベルト以下との目標を新たに設定していた。【木村健二】
毎日新聞 2011年8月26日 11時38分


(5) NGO共同声明:文科省・学校基準見直しに関する声明
 http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/1/blog/36529/ (2011年8月27日閲覧)

NGO共同声明
2011年8月27日

文科省・学校基準見直しに関する声明

校庭の新「目安」毎時1マイクロシーベルト(年間約9mSv)は高すぎる
放射線管理区域(毎時0.6マイクロシーベルト)よりも高い「目」
学校給食の放射能測定を行い、内部被ばくを評価すべき
「学校内」に限定せずに、トータルな被ばく管理が必要
子どもたちを守るために、法定1ミリシーベルトの順守と避難・疎開の促進を


8月26日、文部科学省は、「福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について」を発出し、校庭・園庭の使用目安を1マイクロシーベルト/時とすることを福島県等に通知しました。

私たちは4月19日に、同省が校庭等の使用基準3.8マイクロシーベルト/時(年20ミリシーベルトより算出)としたとき以来、この非常に高い基準 について撤回を求め、署名・交渉・要請行動などの活動を行ってきました。今回の通知によって3.8マイクロシーベルト/時(年20ミリシーベルト)は正式に廃止されることになりました。これは、あまりに遅すぎたものの、福島県内をはじめ、全国の市民の声および国際的な批判に応えざるを得なくなったためです。

しかし、新たな「目安」にも以下の大きな問題があります。

1.依然として高すぎる「目安」放射線管理区域(注1)は、毎時0.6マイクロシーベルトです。新「目安」の毎時1マイクロシーベルトは依然としてそれをはるかに超える値です。これを「目安」とする場合、年約9ミリシーベルトにもなります。

注1)放射性管理区域では、労働法規により、18才未満の労働は禁じられている。放射能マークを掲示し、子どもを含む一般人の立ち入りは禁じられ、厳格な放射線管理が行われ、事前に訓練を受けた者だけが立ち入ることのできる区域である(電離放射線障害防止規則など)。

2.学校外の被ばくを除外「年1ミリシーベルトを目指す」としつつも、学校外の被ばくを除外しています。子どもたちが学校で過ごす6.5時間だけを対象にして、通学時の被ばくなどは含まれません。

3.「内部被ばく」を考慮の対象としているが、給食の放射能測定はしない内部被ばくを考慮するとしたこ とは、一歩前進といえます。一方で、学校給食の放射能測定は基本的に行わず、一部の自治体による取組みに任されています。これでは内部被ばくを考慮したこ とにはなりません。既に、子どもたちの尿から放射能が検出され、内部被ばくに対する不安が高まっています。実際に食材の放射能測定を行わず、計算だけで内部被ばくを考慮しても、子どもたちを守ることはできません。

4.「目安」を超えても、野外活動を制限することもしない今回の文科省の通達では、校庭で1マイクロ シーベルトを超える箇所があることを認めています。それに対しては、「除染などの速やかな対策が望ましい」と一般的に語り、「仮に毎時1マイクロシーベル トを超えることがあっても、野外活動を制限する必要はありません」としてしまっています。単なる「目安」であり、子どもたちを放射能から守る実行力ある措置を伴わないものです。これでは子どもたちは守れません。

福島の子どもたちを守るためには以下が必要です。

・ 法定1ミリシーベルトの順守。線量が高い地域を「選択的避難区域」(注2)に設定し、住民が自らの判断で避難できる環境をつくること
・ サテライト疎開(注3)など、あらゆる知恵を動員して、抜本的な被ばく回避を行うこと
・ 学校内外および実際の内部被ばくも含めた形で、子どもたちの被ばく管理を行うこと
・ 内部被ばく低減を実現するために、給食の放射能測定を行うこと。食材の産地公表を行うこと


注2)住民が自らの判断に基づき避難を行うことを、正当な賠償の支払いや行政措置などにより保証していくこと
注3)学校や支所などを核とする疎開者コミュニティの形成により、福島県人として疎開地で福島人として暮らすこと


以上


子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
国際環境NGO FoE Japan
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
グリーン・アクション
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

Friday, August 26, 2011

VI.3. 北電も「やらせ」指示―泊原発プルサーマル計画めぐるシンポで

泊原発3号機のプルサーマル計画をめぐる道のシンポジウムで、北海道電力が計画を推進するために、「やらせ」を行っていた疑い、と共産党が指摘。




http://www.youtube.com/watch?v=-UNXsK2fJ4c&feature=youtube_gdata&utm_medium=twitter&utm_source=twitterfeed
(2011年8月26日閲覧)

[書き起こし] (上記リンクより転載させていただきました)

泊原子力発電所3号機のプルサーマル計画をめぐる道のシンポジウムで、北海道電力が計画を推進するために、「やらせ」を行っていた疑いが共産党の指摘で持ち上がりました。
(日本共産党北海道委員会・青山慶二書記長)「北海道電力が社員に参加と推進意見を述べる社内通達を送り、やらせを行っていた」
共産党によりますと2008年10月に道が主催した泊原発3号機のプルサーマル計画をめぐるシンポジウムに向けて、計画を推進するため、北電内部の21の部署に社員の参加を求める文書がメールで送られていたということです。この文書は、北電関係者の内部告発で明らかになったということです。
シンポジウムでは札幌会場も含めあわせて237人分のアンケートが回収され、およそ7割の人が理解が深まったと答えました。このうち賛成と反対の意見は拮抗していたという
­ことです。

(共産党・青山書記長)「道民に対する冒とくです。絶対に許されない」「道と知事の判断につながっている。重大な問題」
やらせ疑惑について北電は、現時点で文書やメールの履歴は確認されていないが調査を進めていると話しています。
(2011年8月26日(金))
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8月27日投稿

北海道電力泊原発(後志管内泊村)3号機のプルサーマル導入に関する2008年の道のシンポジウムをめぐり、北電内部で動員と「やらせ」意見を働き 掛けていた疑いが26日浮上した。当時のシンポジウムに関しては、会場内で反対意見が相次いだものの、参加者アンケートではプルサーマル導入に理解を示す 「不自然な結果が出ていた」との指摘も出ている。 
 「北電と道には全容の解明を求める」。道庁で記者会見した共産党道委員会の青山慶二書記長は、北電関係者から内部告発で入手したという資料を示しながら、そう述べた。 

 当時のシンポジウムは道と地元4町村の主催で開催。定員400人の後志管内岩内町の岩内地方文化センターの会場には381人が出席、札幌会場では88人が傍聴した。会場からの意見では「プルサーマル計画がどんどん進んでいる状況に危機感を持つ」「プルトニウムは人間の手に負えないエネルギーだ」などと慎重意見が続出。 

 ただ、参加者を対象に道がまとめたアンケートでは「(プルサーマル計画にかかわる理解が)深まった」「だいたい深まった」との意見が55%に達していた。
<北海道新聞8月26日夕刊掲載>


(2)(毎日新聞)北海道電力:やらせ指示 泊原発プルサーマル巡り、社員にメール--08年シンポ (2011年8月27日 北海道朝刊)
http://mainichi.jp/hokkaido/seikei/news/20110827ddr001020002000c.html (2011年8月27日閲覧)

北海道電力は26日、泊原発(北海道泊村)3号機のプルサーマル計画を巡り、08年10月に実施された道主催のシンポジウムで社員に計画推進の意見 を述べるよう求める電子メールを送っていたと発表した。九州電力の「やらせメール」問題などに続き、北電でもやらせが発覚。道は09年3月に計画を容認しているものの、今後は計画の再考を迫られる可能性も出てきた。

 北電などによると、メールはシンポ開催の9日前に当たる08年10月3日、北電泊原子力事務所渉外課名で送信し、社内の21部署に送られていた。 文書のタイトルは「『プルサーマル計画に関する公開シンポジウム』への参加協力について」とし、本文で「計画を確実に進めるため、数多くの方にご参加いた だき推進意見を提出していただければと思っております」と記されていた。

 メールは共産党北海道委員会が入手し、26日午前に公表。北電が社内調査したところ、社員11人が「メールが残っていた」と申し出たほか、メールを受け取った記憶がある社員が2人いた。メールの発信者は確認できていないという。

 北電の佐藤斉広報部長は同日夜、記者会見し、「意見を誘導したと疑念を持たれたことは大変申し訳ない」と陳謝した。今後、メールが送信された経緯や影響などを調査する。

 シンポは泊村に近い岩内町と札幌市で開かれ、聴衆計469人が参加。有識者による講演やパネルディスカッション、質疑があった。聴衆237人が回答した終了後のアンケートでは「疑問を十分取り上げられたか」との問いに、51%が「そう感じる」か「だいたい、そう感じる」と答えた。【吉井理記、高山 純二】

(3)(北海道新聞)北電やらせ指示 「賛成誘導許せぬ」 怒るシンポ参加者ら (08/27 17:12)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/314547.html (8月27日閲覧) 

 北海道電力も原発推進に向け、賛成意見の誘導工作を行っていた-。2008年10月の北電泊原発(後志管内泊村)3号機のプルサーマル計画のシンポ ジウムをめぐり、同社で社員に参加と計画推進の意見表明が指示されていたことが26日に分かった。九州電力などで明らかになっていた「やらせ」問題。原子力計画を押し通すためには世論操作もいとわない電力会社の体質に、北電のシンポジウム参加者からは「裏切られた」などと怒りの声が噴出した。

 北電は札幌市内の本社で26日午後9時から、佐藤斉広報部長ら幹部3人が報道陣約60人に囲まれる中、緊急記者会見。 共産党道委員会の指摘を受けてから急きょ、社内調査をした結果を説明した。  

 プルサーマル計画推進に向けた「やらせ」の指示は認めたが、謝罪の言葉はない。報道陣の追及を受け、ようやく佐藤部長が「道民の信頼を裏切ったという点 でおわび申し上げる」と、表情をこわばらせて頭を下げた。「組織ぐるみではないのか」との質問に、佐藤部長は「今後、調査し結果報告したい」と繰り返し た。 

 シンポジウムは、プルサーマル計画の是非を審議するために設置した有識者検討会議の結論に、道民意見を反映させる位置づけで道などが主催。「やらせ」の指示メールを出していた泊原子力事務所渉外課は、原発の運営に関して、地元の自治体や住民との調整や情報収集を行う部署とされている。 

 北電のメール工作がシンポジウムにどのように影響したか現時点では不明だが、会場でのアンケート結果では、計画に理解を示す参加者は半数に達した。 

 「住民の意見を聴くべき場で、社員を動員してまで計画を推進しようとする姿勢に大きな疑問を感じる。今後、北電の説明を信用する気持ちにはなれない」。シンポジウムに参加した岩内町内の主婦(51)は憤った。 

 別の同町内の自営業の男性(61)は「どちらかというと計画推進の立場だったが、裏切られた。結論を誘導しようとするのは、住民をもてあそぶ、許せない行為だ」と語った。 

<北海道新聞8月27日朝刊掲載>

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8月29日投稿
 (1)(asahi.com) 泊原発プルサーマル計画、一時凍結 やらせメールで北電 (2011年8月29日20時34分) http://www.asahi.com/special/10005/TKY201108290481.html(2011年8月29日閲覧)

 北海道電力泊原発(北海道泊村)3号機をめぐる「やらせメール」問題を受け、北電は29日、3号機で導入を目指しているプルサーマル計画を一時凍結 する方針を明らかにした。近く有識者らによる「やらせ」問題の調査委員会を設置。9月末までに組織的関与の有無などを調べる方針で、少なくとも結果が出る までプルサーマル用燃料を加工しないという。 

 北電は、通常の原子炉でウランとプルトニウムの混合酸化物燃料を燃やすプルサーマル計画を2012年春に導入する方針で、近くフランスの工場で燃料の加工を始める予定だった。 

 ただ、2008年10月に開催された計画導入の是非を問う北海道など主催のシンポジウムをめぐり、北電の現地事務所が社員に出席と賛成意見を述べるよう促すメールを送っていたことが判明した。 

(2) (北海道電力HP) 平成20年10月開催のプルサーマル計画に関する公開シンポジウムにかかる調査状況等について
http://www.hepco.co.jp/info/2011/1187840_1445.html (2011年8月29日閲覧)

2011年8月 29日 

 当社内で参加要請ならびに推進意見を述べて欲しい旨を依頼した文書がメールにて発送されたことについて、ご批判をいただいていることに対し重く受け止め、深くお詫び申し上げます。

 これまでの調査状況および今後の対応については、以下のとおりです。

 当該メールの原子力事務所内21課からその所属員への転送に関する履歴確認、泊原子力事務所渉外課所属員への聞き取り、シンポジウム開催当時の発電本部長、泊原子力事務所長への聞き取りなどを行いました。

 現時点では、メール作成の指示、出席や推進意見を述べる要請の具体的な指示は確認できておりません。

 今後は、引き続きシンポジウムへの出席やアンケートへの記載の有無などの聞き取り等を継続して実施していきます。

 今後の調査についての透明性や公正性を確保するために、社外有識者により構成される第三者委員会を早期に設置することといたしました。第三者委員 会では、組織的な関与があったか、同時期に開催されたシンポジウムなどで同様の事案がないか、出席者が意見を述べたのか否か、結果的に判断を歪めることに 繋がったのかなどを調査することとしております。現在、委員の人選中であり、決定次第、活動に入ります。

 泊発電所3号機のプルサーマルで使用するウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)については、近々加工を開始する予定でしたが、第三者委員会の調査結果が出るまでは加工に着手しないことといたしました。

 引き続き、当社は、全容の解明に全力を挙げて取り組むとともに、信頼の回復に努めてまいります。
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9月2日投稿
(1)(asahi.com) やらせメール、経産省主催シンポでも 北海道電(2011年8月31日)
http://www.asahi.com/national/update/0831/TKY201108310371.html (2011年9月2日閲覧)(太字は投稿者) 

 北海道電力の泊原発(北海道泊村)3号機をめぐる「やらせメール」問題で、同社は31日、2008年8月に国が泊村で開催した3号機へのプルサーマル計画導入の是非を問うシンポジウムでも、同社の現地事務所渉外課から社員らに参加を促すメールが送られていた、と発表した。 

 このシンポは九州電力の「やらせメール」問題を受けた経済産業省の全国調査の対象で、北海道電力は7月29日に経産省に出した回答では「社員に何らかの要請を行った事実は確認されなかった」としていた。 

 同社によると、この時の調査では要請メールを発信する立場にある社員だけを対象とした。だが、道主催の同様のシンポで「やらせメール」問題が発覚したため、泊事務所内の社内メールを受信するパソコンを調べたところ、参加を促すメールが見つかったという。 

 メールの件名は「プルサーマルシンポジウムへの参加協力について」で、泊事務所の21部署と事務所内で働く1人に発信されていた。日時と開催場所に加え、「参加希望者は渉外課まで連絡をお願いします。後日、参加証をお届けします」と書かれていた。 

 本社で記者会見を開いて発表した高橋賢友常務は「(国へは)虚偽の報告というか、調査足らずで確認ができなかった。深くおわびする」と謝罪した。(綱島洋一) 


(2)(asahi.com MY TOWN 北海道)北電「やらせなし」翻す 国主催シンポ(2011年09月01日)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001109010001 (2011年9月2日閲覧)

■再調査で発覚
 北海道電力泊原発(泊村)3号機のプルサーマル計画をめぐり、道主催に次いで、国が主催したシンポジウムでも「やらせメール」が送られて いたことが発覚した。北電が「やらせはない」とした国への報告は虚偽だったことになる。北電の信頼がさらに揺らぐのは必至で、定期検査で停止中の泊原発 1、2号機の再起動にも影響しそうだ。

 31日に北電本社で会見したコンプライアンス担当の高橋賢友常務によると、九州電力の「やらせメール」問題を受けた国の調査で行った7月の社内調査では、「やらせメール」を発信する立場にある幹部社員を対象に調べ、「やらせはない」との結論を得ていたという。

 それが一転、参加を促すメールが送られていたのが発覚したのは30日深夜。社内メールを受信する側の泊事務所内のパソコンを調べて分かっ た。7月の国への報告ではシンポの出席者325人のうち、約1割に当たる35人が同社社員だったとしていたが、これについても再調査する。

 会見では、北電の調査のずさんさだけでなく、佐藤佳孝社長らの経営責任を問う質問が相次いだ。

 高橋常務は、道主催のシンポでのやらせメール問題の事実解明を目的に第三者委員会を設けることを挙げ、「全容解明を委ね、その結果を見て判断したい」と述べるにとどめた。

 信頼回復への道のりもより厳しくなった。北電は道主催シンポの問題を受け、「泊原発3号機で使用する燃料の加工を調査結果が出るまで見合 わす」とし、プルサーマル計画を一時凍結する、と発表した。道や地元自治体の理解が必要なのは定検中の泊原発1、2号機の再起動でも同じだ。

 高橋常務は「第三者委員会の原因究明を踏まえ、道民の理解を得ながら進めていきたい」としたが、メールが送られた経緯や送信者すら分からない状態だ。

 やらせメール問題発覚のきっかけを作った日本共産党道委員会の青山慶二書記長は「泊原発の存在自体が作られた世論によって作られたと言わなければならない。3号機の営業運転もただちに中止すべきだ」との談話を発表した。
(綱島洋一)


(3)(北海道新聞)北電の佐藤社長、会見や取材を拒否 やらせ問題で(09/02 10:28) 
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/315732.html (2011年9月2日閲覧)(太字は投稿者)  

北電が 泊原発3号機でのプルサーマル計画に関する国主催シンポジウムでも社員を動員していた問題で、佐藤佳孝社長は1日夕、札幌市内の自宅前で北海道新聞の質問に答えた。同社が7月、国に「従業員への動員要請はなかった」と虚偽報告していたことに関し意図的な隠蔽(いんぺい)があったとの見方を否定した。   

 問題発覚後、佐藤社長は報道機関の正式な取材や記者会見を拒否している。この日のやりとりは以下の通り。 

 ―どのように責任を取るつもりですか。 

 「1社だけに話すことはしない。公平にしか答えない」 

 ―では公平になるように記者会見してください。道民は関心を持っています。 

 「あなたが関心あるだけでしょう」 

 ―社長は7月末の記者会見で「動員などの要請はしていない」と明言しました。うそを言っていたことになります。

 「うそというのは、うそだと分かっていて言うことだ」 

 ―結果として調査が甘かったということですか。 

 (答えず)

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/gat/grp/01/201026_siryou1-2.pdf (2011年9月2日閲覧) 
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2011年10月18日投稿
(北海道新聞)社員ら67人「賛成」提出 北電調査 2000年「意見を聴く会」(10/18 06:25、10/18 10:19 更新)http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/325863.html(2011年10月18日閲覧)

(記事全文を転載)
北電泊原発3号機の建設に関する2000年の「道民の意見を聴く会」(道主催)について、北電の佐藤佳孝社長は17日の記者会見で、内部調査の結果、道内5会場で当時の社員と元社員計67人が賛成意見を提出していたことを明らかにした。

聴く会は札幌、旭川、帯広、函館の4市と後志管内泊村で開催。北電は当時の社員の聞き取りに加え、参加者名簿から当時の社員らの名前を照合した。この結果、5会場で元社員26人が会場での発言で賛成意見を表明。社員41人と元社員26人が用紙に賛成意見を書いて提出していたという。

聴く会をめぐっては、北電側から地元住民への賛成意見表明の依頼も発覚しているが、同社広報部は「資料が残っておらず、調査するつもりはない」としている

(転載終わり)
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2011年10月21日追加
(1)(日本経済新聞)道の泊原発「やらせ」、第三者検証委を設置 (2011/10/19 0:04) http://s.nikkei.com/plhsUu(2011年10月21日)

(全文転載)(太字は投稿者)
北海道の高橋はるみ知事は18日の会見で、北海道電力の第三者委員会による「道のやらせ」指摘を受け、第三者による検証委員会を設置すると発表した。弁護士 らで構成し、11月末に開催予定の道議会に報告する。また、高橋知事は調査が終わるまで泊原子力発電所の再稼働を議論できないと語った

道の第三者検証委員会は2~3人の弁護士らで構成。検証委の指示のもと、道庁内に新設する道庁職員で構成する組織と検証委が推薦する若手弁護士などの調査員(1~2人)が関連文書やメールなどの調査を実施。検証委が調査内容を検証、評価する。北電の第三者委と異なり道が一定程度関与する。このため客観性を担保できるかどうか不透明な部分も残る
高橋知事は同日、自身の資金管理団体が北海道電力の役員やOBから受けていた個人献金を今後、辞退する考えも表明した。すでに受け取った献金の返金については「考えていない」と述べた。
 (転載終わり)

(2)北電「社長招致に応ずるが 非公開で」 やらせ問題 道議会委は拒否
(10/20 09:45、10/20 17:11 更新)http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/326377.html(2011年10月21日閲覧)

(全文転載)(太字は投稿者)
北海道電力泊原発(後志管内泊村)3号機のプルサーマル計画などにかかわる同社の「やらせ」問題で、北電は19日、 道議会産炭地域振興・エネルギー問題調査特別委員会への佐藤佳孝社長の参考人招致について「招致には応じるが、非公開が条件」と回答した。同特別委はこれを拒否した

道議会側は18日に、佐藤社長が参考人招致に応じるよう北電に要請していた。関係者によると、北電側は非公開を条件とする理由について「企業秘密にかかわる情報が、公の場で出されることは問題がある」と説明したという。

非公開になれば、一般の傍聴や報道機関による取材が許されず、道議以外には、質疑応答の内容が分からない。このため同特別委が応じられないと伝えると、北電は再度、対応を検討して回答すると答えたという

(転載終わり) 
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2011年11月24日投稿

 

北電やらせ 「道の関与」根拠メモ 「北電社員も地元住民」 世論誘導 生々しく 11/21東京新聞こちら特報部





yko1998のブログさまから転載させていただきました。 
http://heiheihei.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/1121-bc35.html(2011年11月24日閲覧) http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/183059/53295916