Friday, August 19, 2011

X.2. 中学校で30年ぶりに放射線教育が復活へ



(1)電気新聞[エネ教育はいま] 新指導要領のポイント 復活する放射線授業 (2011/04/07) 
http://www.shimbun.denki.or.jp/news/special/20110407_01.html (2011年8月19日閲覧) 


エネルギー教育の重要性を鮮明にした新学習指導要領が、小学校では2011年度から、中学校では12年度から全面実施される。理科では、体験を重視しつつ、「将来のエネルギーの選択者育成」へ向けた判断力の醸成をめざす。特徴的なのは中学校で約30年ぶりに復活する放射線授業。東日本大震災の発生により、その重要性が増しそうだ。授業をどう作り、何を伝えるのか。現場の教師への期待が高まる。 (堀江 剛)(太字は投稿者)(以下略)


2)読売新聞放射線教育、積極的に取り組むべき…文科相(2011年7月5日) 
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20110705-OYT8T00792.htm (2011年8月19日閲覧)


(全文転載)
高木文部科学相は5日の閣議後の記者会見で、過去30年間、中学校で放射線教育を行ってこなかったことを問われ、「今回の(福島第一原発の)事故で、放射能に関する正しい知識を子供にも分かりやすく教えていくことが何より必要だと分かった」と述べ、今後は放射線教育に積極的に取り組むべきだとの認識を示した。

  その上で、書店などで放射線に関する書籍が売れている現状に触れ、「放射線への国民の関心は大変強い。(子供に)どのような内容をどう教えていくのか、専門家の意見を聞いて早急に結論を出す」と述べ、学校向けの副読本の作成を急ぐ考えを示した。 
(転載終わり)


(3)産経新聞「放射線」授業復活 知らないから不安になる (2011.7.18 03:06)
1.http://sankei.jp.msn.com/life/news/110718/edc11071803060001-n1.htm
2。 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110718/edc11071803060001-n2.htm         (2011年8月19日閲覧) 


(全文転載)(太字は投稿者)


目に見えない放射能や放射線を多くの国民が不安がっているのは、基礎的な知識がないことが大きい。昭和56年に実施された学習指導要領で中学で扱っていた放射線の項目が削られたためだ。

 ゆとり教育の影響で、この30年間、放射線に関する基礎知識が教えられてこなかった。来春からの中学理科では、放射線について学ぶ授業が復活する。東京電力福島第1原発事故によって原子力への不安が広がるなか、学校教育で正しい知識を学習する意味は極めて大きい。

 放射線医学の専門家からも「放射線への理解不足が不安を募らせている」との指摘がある

 指導要領改定は東日本大震災前に決まっていた。新指導要領では、エネルギー資源の利用や科学技術について考える関連で、「放射線の性質と利用にも触れる」とされた。来春からは、シーベルトやベクレルの単位のほか、放射線が自然界にも存在する事実や医療などに利用されていることを取り上げる教科書が登場する。

 放射線利用を学ぶことは重要だ。放射線は病気の発見やがん治療、農作物の品種改良、タイヤを丈夫にするなど工業にも活用されている。授業でもこうした利用例を取り上げたい。身近なことがらを通じて放射線の性質を知り、理解を深めることが期待される。先生ももっと勉強して分かりやすく工夫して教えてもらいたい。
 
学校教育では、放射線について基礎的知識を教えてこなかったのみならず、いたずらに放射能の恐怖をあおる教え方がされてきた社会科で一部の組合教師が反原発の政治的主張を持ち込み、原爆のほかチェルノブイリ原発事故の被害などをことさら強調して教えるような例があった

 福島第1原発事故後には、避難区域から転校してきた子供へのいじめが問題になった。手本となる大人からしてことさら放射線の影響を不安がり、科学的根拠のない行動や風評被害が絶えない

 福島県矢祭町の小学校では原発事故をきっかけに「総合的な学習の時間」を利用し、放射線に詳しい医師を講師に招き授業を行った所がある。授業後、子供たちからは「放射線はそんなに怖くないことが分かって安心した」という感想があったという。保護者も不安がる前に、専門家の知見をふまえ知識を深めたい。


(転載終わり)


 (4)毎日新聞中学理科教科書:来春から「放射線」復活 指導に悩む教師 (2011年8月16日 22時37分(最終更新 8月17日 0時33分))
http://mainichi.jp/life/edu/news/20110817k0000m040106000c.html (2011年8月19日閲覧)


(全文転載)

来年度から中学校で使われる理科の教科書に、30年ぶりに「放射線」についての記述が盛り込まれることになり、担当教員が指導に頭を悩ませている。東京電力福島第1原発の事故では、放射性物質の汚染への対応を巡って差が生じたり、原発との向き合い方も意見が分かれている状況。放射線について教えた経験がない教員も多く、「生徒からの質問に的確に答えられないのでは」と不安も広がっている。
 中学の教科書には、80年度まで放射線に関する記述があった。その後、指導内容の厳選で記述が消え、08年に改定された学習指導要領で復活が決定。エネルギー資源についての学習の中で原子力にも触れ「放射線の性質と利用にも触れること」と明記された。来春から使われる中学3年の教科書には、放射線が医療や物体内部の検査に活用されていることや原発の仕組みなどが盛り込まれることになった。
 だが、その後に起きた原発事故で、放射性物質の汚染に対する対応を巡って論争も活発に。自治体が空気中の放射線量を日々発表したり、独自に測定している保護者もいるほど身近な問題となり、何をどこまで取り上げるか学校現場の戸惑いは大きい。
 教科書への復活を受けて、教員向けの研修会も開かれている。東京都は16日、「放射線の学習指導について」と題する研修会を開催。約50人が参加し、専門家の講演のほか、授業を想定して、放射線を可視化したり塩などの放射線量を測る実験をした。調布市立中の三木敏裕教諭(36)は「放射線について生徒から質問があるかもしれないが、学者レベルでも分からないことも多く、そこに踏み込むと教師側が苦しくなる」と悩む。講師を務めた公益財団法人「原子力安全研究協会」の山本尚幸副所長も「千葉や茨城県の教師からは、プールやグラウンドの放射線量について生徒や保護者から質問されて答えに困っていると聞いた。不安を持っている教師は多い」と話した。
 事故を受け、文部科学省は放射線の基礎知識を教えるため副読本を全国の小中高校に配布することを決めた。教え方は現場に任せるという。【柳澤一男】
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2011年11月6日投稿

(5)(琉球新報)県内でも「原子力教育」 全小中校に副読本 (2011年9月24日)(2011年9月26日閲覧)



(全文掲載) (太字は投稿者)
文部科学省が全国の教職員を対象に実施している原子力発電に関する研修で、1990~2009年までの20年間に少なくとも県内の教職員延べ343人が受講していたことが分かった。全国の受講者延べ約1万7150人の約2%に当たる。受講した教師からは「安全面ばかり強調していた」と違和感を訴える声が出ている文科省が作った原子力に関する副読本も県内全小中学校と教育委員会に配布されるなど、同省の「原子力教育」が原発の有無にかかわらず沖縄でも活発に続けられ、浸透していた

加藤彰彦沖縄大学長(児童福祉論)は文科省による教育現場への働き掛けについて「国の原発推進政策に沿い、事故があった際の危険性を十分に伝えずに原発の有益性を強調してきた」と偏りを指摘している

放射線利用の普及を目的とする財団法人・放射線利用振興協会などが研修を受託していた。研修は沖縄に技術者らを派遣して講義や実験を行い、放射線の性質などの基礎知識を伝える講師派遣と、原子力研究施設に教職員を招いて見学させるセミナーの2通りあった。受講者に交通費などが支給されたこともあった

10年度以降は九州などの研究施設に教職員を招くセミナーに形を変えており、沖縄からの参加者数などは不明。3月の福島第1原発事故後は多くの事業が募集を見合わせている

文科省研修の趣旨を「教職員が放射線の性質や社会で役立っている点などの基礎知識を習得し、現場で実践することを意識した内容構成で行ってきた。リスクの面も含めて説明している。ただ原子力発電への触れ方は今後、議論を要する」などと話している。

副読本は文科省が原子力教育支援事業で製作原発を「大きな地震や津波にも耐えられる」などと記述している「わくわく原子力ランド」(小学生向け)と「チャレンジ!原子力ワールド」(中学生向け)が本年度、県内全小中学校と教育委員会に計446部配布された。文科省は「不適切な記述は改修する」としている。新たな副読本の配布時期は未定

児童・生徒対象の原子力ポスターコンクールは昨年、県内から52件(全国6891件)の応募があり、原子力に関する課題研究コンクールは昨年県内から1校(全国35校)が参加。識者が学校に出向く出前授業は県内で昨年1回開かれている。(宮城隆尋)
(全文転載終わり)

(6)(下野新聞) 40年ぶり「放射線教育」 中学理科で来年度復活 県内各地研修の動きも(9月25日 朝刊) (2011年9月26日閲覧)

(全文掲載)(太字は投稿者)
学習指導要領の改訂により来年度、中学校理科で40年ぶりに教えるべき内容に加わった放射線。授業で扱ったことがない上、東京電力福島第1原発事故でデリケートな問題へと一変し、生徒にどう教えたらいいか困惑する教諭は多い。「子どもたちに正確な知識を伝えなければ」と、県内の教育現場も取り組みを始めている

16日、矢板市の塩谷南那須教育事務所。文部科学省主催の「放射線等に関する教職員セミナー」が開かれていた。

那須町の小中学校教員や塩谷地区の指導主事ら約40人が、丸いガラス容器をのぞく。「霧箱」と呼ばれる実験器具で、放射線が通った跡を見ることができる。身近ものの放射線量を測定する実験では、距離を離すことで数値が下がることを確認した。

那須町高久中の藤田和宏教諭は「学校が原発から90キロ圏にあるので影響を受けている。校庭の表土除去も行った。何が重要か学習することが大切だと思う」と真剣だった
教科ごとに勉強会を行う「中学校教育研究会理科部会」は独自に研修を実施した。

宇河地区の同部会は8月、帝京大宇都宮キャンパスで「放射線」「光と音」「光合成」の三つをテーマに講座を実施。それぞれ先着30人で募集したが、約100人の教諭のうち、半数以上が放射線の受講を希望したという。 

同地区は昨年、同様の勉強会として東京電力主催の教員向けセミナーを利用。福島第1原発を見学していた。昨年と今年、2年連続で放射線のテーマを受講した宇都宮市内の男性教諭は「昨年は安全性を強調していたが、逆の事態になった」と複雑な表情を見せた。

こうした研修は同部会下都賀地区で6月に行われたほか、宇都宮市教委でも来年度前半までに実施できるよう検討に入っている。

理科教育を専門とする宇都宮大教育学部の人見久城教授によると、放射線が学習指導要領に盛り込まれたのは1972年の改訂以来

告示は東日本大震災前。『持続可能な社会の構築』のため、安定したエネルギー供給源として一歩理解を進めようという背景があったのだろう」と人見教授。その上で「状況が一変した今、教える、教わるという立場を越え、原子力とどうつきあうか一人一人が考えていけるよう導いていくのが教師の役目」と話している。 

(全文転載終わり)
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 2011年11月6日投稿

上に投稿した産経新聞の「放射線」授業復活 知らないから不安になるが言うような、放射線の「正しい」知識を教えれば「不安」や「心配」を持たないはずという前提で、不安や心配を取り除くことを主眼にして教えている例が、10月11日、NHKテレビの「クローズアップ現代」で放送された。 

番組HPに掲載された番組の動画の一部では、福島第一原発から40kmの相馬市の小学校の校長が、近くの小川から教室の5倍の放射線量のザリガニを取ってきて、東京から相馬市に派遣されている放射線の専門家(東京大学医科学研究所・坪倉正治医師)に相談。専門家は、外についている放射性物質をちゃんと水洗いすればよい、ザリガニの体内の放射性物質が入っていても、放射線量を確認すれば、触って観察が出来る、とアドバイス。

これをうけて、校長はザリガニを水で洗い、放射線量を教室と同程度(0.10-0.09μSv/hr)までに下げて教室に持っていって「放射性物質の性質について」授業。

校長:「体の中に放射性(物質)が入っているザリガニ触っても大丈夫なの?」
子どもたち(口々に):「オッケー、いや ダメ」「大丈夫」「内部被ばく」「ダメ」
校長:「ダメ? 先生も昨日までそう思っていたの。でも、大丈夫だって。 体の表面に放射性(物質)がついているとすれば、これは落としたほうがいい。」

(子どもがザリガニを手でつかんでいる画像)
校長の声:目玉よく見て。近づけて。

記者のナレーション:「放射性物質をうまく取り除ければ、放射線量を低くできることを教えました。」


NHKクローズアップ現代 「どう教える”放射線”」(2011年10月11日放送) http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3105 (2011年10月29日閲覧)

(番組のサイトから番組紹介を全文転載)(太字は投稿者)
学 習指導要領の改訂により、来年度から中学校の理科で放射線に関する教育が31年ぶりに本格的に復活する。しかし教師のほとんどは指導経験が皆無の上、ベク レル、シーベルト、グレイなど放射性物質にまつわる単位を理解させるだけでも難しい。福島第一原発の事故以来、溢れる放射線の情報の中から、正しい知識を いかに教えていくのか、教育現場では既に模索が始まっている。いたずらな不安や恐怖の原因となる“思い込み”を生まないように、実際に土壌の放射線測定実験に取り組む中学校や、ザリガニなど子どもに馴染みある生き物の観察授業を通して被曝とは何かを教える小学校など、放射線に関するより深い理解を促す授業を試みる教育現場を取材。動き始めた放射線教育の最前線を伝える。

投稿者注:放送の一部の動画を番組のサイトで見ることが出来ます。

【関連記事】医療ガバナンス学会のメールマガジンから、上の「クローズアップ現代」に出てきた坪倉正治医師に関する部分を抜粋。この記事からすると、放射線教育も子どもの「放射線トラウマ」を軽減する役割を担うべきだということになるのかもしれない。

医療ガバナンス学会メールマガジン Vol,303)小松秀樹「放射能トラウマ」 (2011年10月27日 06:00) http://medg.jp/mt/2011/10/vol303.html#more(2011年11月6日閲覧)

(引用はじめ)(太字は投稿者)

●坪倉正治医師
南相馬市は、原発事故によって、警戒区域、屋内退避区域(後の緊急時避難準備区域)、計画的避難区域、避難指示のない区域に分断されました。東大医科研の 坪倉正治医師は、4月以後、南相馬、相馬で、診療に加えて、ホールボディカウンターによる内部被ばくの検査、健診、健康相談、除染に携わっています。そし て何より、地域の状況を科学的な形で世界に発信すべく、努力を重ねています。科学的というのは、調査方法や調査対象を正確に示し、調査結果を体系的に表現 し、さらに、結果が示すところの範囲を議論することです。これは、この地域の原発事故に対する対応策の基礎資料となります。定性的な議論は、感情論にな り、別の被害をもたらします。被ばくがあったかどうかが問題なのではなく、量が問題なのです。

私が、友人から送られてきた情報を検討したり、ネット上で検索したりした限りでは、慢性被ばくによる大きな実被害の報告は、ほとんどありません。二世、三世に影響がでたという証拠はこれまで示されていないはずです。
慢性被ばくで、これまで報告された中で最大の被害は、チェルノブイリの小児の甲状腺がんです。放射性ヨウ素が原因だとされています。

10月12日、亀田総合病院で坪倉医師の講演を聴く機会がありました。坪倉医師は、環境中の放射線量と内部被ばくの測定結果から、被ばくによる健康障害は ほんど起きないのではないかと予想しています。今後も継続的調査が必要だとしていますが、データによっては、予想を修正することもあります。
南相馬市立病院の及川友好副院長や坪倉医師たちによる内部被ばくの調査で、チェルノブイリの住民に比べて、福島の住民の内部被ばくが圧倒的に少ないことが 分かりつつあります。放射性ヨウ素は半減期が短く、坪倉医師によると、南相馬でホールボディカウンターによる内部被ばく調査が始まった時点で、すでに観察 できなくなっていました。

チェルノブイリでは、食糧不足、流通体制の不備などのため、食糧は自給自足でした。このため、事故後も、汚染地域で生産された食物を食べざるを得ませんで した。これによって、内部被ばくが継続した可能性があります。日本では、食品の検査と、出荷制限が比較的厳格に実施されています。放射性同位元素の体内へ の取り込みは、事故後の一時期に集中したと思われていますが、継続的調査が必要です。データとして、チェルノブイリと福島の違いがきちんと検出できれば、 状況を落ち着かせるのに役立ちます。
坪倉医師は4月から南相馬と相馬で活動していますが、9月段階で、本人には、内部被ばくはありません。現状では、南相馬市の原町区で生活しても、内部被ばくは生じません。

今回の原発事故による被ばくでがんが増えるとしても、ごくわずかで、実感できるような数ではないはずです。福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下 俊一氏が、年間100ミリシーベルトまで大丈夫だ、安心だと講演で語りました。山下氏の発言はおおむね正しいのだろうと思います。ただし、壮大な調査をし てやっと検出できる程度のごくわずかながんの増加はあるかもしれません。

福島の原発事故で、慢性被ばくによる明らかな被害は現在のところ認められていません。しかし、避難などによる生活の変化や、被災後の報道を含めた社会から の影響は、はるかに深刻な健康障害をもたらしています。坪倉医師は、避難生活での偏った食事、運動不足、薬剤不足で、高齢者の多くに、健康被害が生じたと 話していました。実際に、坪倉医師の調査では、避難によって、特別養護老人ホームの要介護者の単位日数当たりの死亡率が4倍に上昇したことが分かっていま す。

ちなみに、放射線量は、2011年10月、南相馬市立総合病院の玄関の外で、毎時0.2から0.3マイクロシーベルトです。24時間屋外にいても、被ばく 量は年間1.7から、2.6ミリシーベルトです。自然界にはもともと放射線があり、日本は年間1ミリシーベルト程度です。世界平均は年間2.4ミリシーベ ルトです。現状で、とるべき態度は、「過去の慢性被ばくのデータからは、大きな実被害は予想されない。しかし、予想外のものもあるかもしれないので、厳重 に観察していきましょう」というところでしょう。

●放射能トラウマ
坪倉医師は、健診や健康相談で、一人当たり30分の時間をかけて、生活の状況や心配事を丁寧に聴いています。これまで大勢から話を聴いて、原発事故による 最大の被害は、子供の放射能トラウマだと確信するようになったそうです。多くは、大人の放射能トラウマによる二次的放射能トラウマだそうです。年齢が低い ほどトラウマの程度が強い印象があるとのことです。女子高校生が将来子供を産めないと話しているということまで伝わってきます。さらに、鬱状態になった大 人がつらく当たって、子供に身体症状を伴うような深刻な影響が生じる事例が目に付くそうです。坪倉医師は、マスメディアの報道が、この地域に、放射能汚染 そのものを超える大きな害をもたらしていると感じています

医師でもある立谷秀清相馬市長も、子供の放射能トラウマが、地域の最大の問題だと考えています。放置すれば、子供たちが、社会に上手に適応できなくなるか もしれません。子供の教育に差し障りが生じるかもしれません。教育に差し障りが生じれば、一生、ハンディを背負うことになります。結果として、子供たちと 地域社会の将来を奪うことになりかねません。科学的調査とそれに基づく対応策が求められます。それも、壮大な調査ではなく、調査目的を限定して、結果を早 く出す必要があります。慢性被ばくより、はるかに深刻な被害が生じうるので、素早く対応しなければならないからです。

(引用終わり)

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