Saturday, August 6, 2011

II.B.2. 見つかりにくいように出す

例2)見つけにくい文部科学省の「放射線量等分布マップ(放射性セシウムの土壌濃度マップ)」

 2011年8月29日、文部科学省は「放射線量等分布マップ(放射性セシウムの土壌濃度マップ)」を検討会に報告、翌30日から同省ウエブサイトに掲載した。最高値は福島県大熊町の土壌1平方メートル当たり1545万ベクレルチェルノブイリ原発事故(86年)の際に居住が禁止された同148万ベクレルの10倍以上だ。計測された約2200地点のうち34地点で148万ベクレルを上回った

だが、 文科省のホームページから「放射線量等分布マップ(放射性セシウムの土壌濃度マップ)」を探すのは容易ではない。

(a)まず第一に、こんな重要な資料を、トップページに掲載していない。トップページの「新着情報」には、以下の報道発表があるが、「放射線量等分布マップ」へのリンクはない。(2011年8月31日現在)

2011年08月30日更新
報道発表 総務省「フューチャースクール推進事業」及び文部科学省「学びのイノベーション事業」に係る提案公募の結果
報道発表 子どもたちのコミュニケーション能力を育むために~「話し合う・創る・表現する」ワークショップへの取組~審議経過報告のとりまとめについて

 2011年08月29日更新

報道発表 東日本大震災復興支援第66回国民体育大会の開催に係る懸垂幕設置について
(b) 「放射線量等分布マップ(放射性セシウムの土壌濃度マップ)」にたどり着くには、次のステップを踏む必要がある

    1. 文科省HP http://www.mext.go.jp/
2.放射線モニタリング情報 http://radioactivity.mext.go.jp/ja 
     4.「文部科学省による放射線量等分布マップ(放射性セシウムの土壌濃度マップ)の作成について」  
      別紙4-1 放射性セシウム134 
      別紙4-2 放射性セシウム137 

 [メディアによる報道]
(1)(毎日新聞)福島第1原発:土壌汚染マップ 大熊町でセシウム最高値 (2011年8月29日 20時20分)

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110830k0000m040082000c.html (2011年8月31日閲覧)(太字は投稿者)

文部科学省は29日、東京電力福島第1原発から放出されたセシウム137(半減期約30年)の蓄積分 布を、原発からおおむね半径100キロ圏内で示した「土壌濃度マップ」を初めて作った。最も高かったのは、原発がある福島県大熊町で土壌1平方メートル当 たり1545万ベクレル南相馬市と富岡、大熊、双葉、浪江の各町、飯舘村の6市町村34地点で、チェルノブイリ原発事故(86年)の際に居住が禁止され た同148万ベクレルを上回った

調査は6~7月、文科省と大学など94機関3企業が共同で約2200区画(1区画は2キロ四方)を調べた。1区画内の草も含め任意の場所で集めた5サンプルを混ぜて測定した。

濃度分布の傾向は、文科省が同じ地点で測った空間線量や、航空機で測った空間線量から算出した地表の放射性セシウムの蓄積分布とほぼ一致した。マップ作成検討会主査の中村尚司・東北大名誉教授(放射線計測)は「直接測った今回のデータは除染作業の参考になる」と話した。

また農林水産省は同日、福島、宮城、栃木、群馬、茨城、千葉県の農地における放射性セシウム(137と134)の濃度分布図を作った。調査対象は 福島の360地点、他5県の計220地点の水田と畑。飯舘村や相馬市、南相馬市など福島県内の13市町村で、稲の作付けを制限する土壌1キログラム当たり 5000ベクレルを上回る地点があった。今後3000地点まで増やして調査を続ける。

いずれも文科省ウェブサイト(http://radioactivity.mext.go.jp/ja/)で30日以降閲覧できる。【野田武】

毎日新聞 2011年8月29日 20時20分

(読売新聞)土壌汚染、34地点がチェルノブイリ移住基準超(2011年8月30日03時05分)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110829-OYT1T01205.htm (2011年8月31日閲覧)

東京電力福島第一原子力発電所事故で拡散した放射性物質による土壌汚染の状態を調べた地図がまとまり、29日に開かれた文部科学省の検討会で報告された。

立ち入りが制限されている警戒区域や計画的避難区域で、チェルノブイリ原発事故での強制移住基準(1平方メートル当たりの放射性セシウム137が148万ベクレル)を超える汚染濃度が測定されたのは、6市町村34地点に上った。住民の被曝(ひばく)線量などを把握するのが狙い。菅首相が27日、「長期間にわたり住民の居住が困難になる地域が生じる」との見通しを示したが、それを裏付けた。

測定結果によると、6月14日時点で、セシウム137の濃度が最も高かったのは、警戒区域内にある福島県大熊町の1平方メートル当たり約1545万ベクレル。セシウム134と合わせると、同約2946万ベクレルとなった。

同300万ベクレル超となったのは、セシウム137で同町、双葉町、浪江町、富岡町の計16地点に上った。高い濃度の地点は、原発から北西方向に延びており、チェルノブイリ事故の強制移住基準を超える地点があった自治体は、飯舘村、南相馬市を加えた計6市町村だった。同省は約2200地点の土壌を測定した。

(2011年8月30日03時05分  読売新聞)



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例1) 見つけにくいSPEEDIについてのページ

SPEEDI[緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムS (システム) P (予測) E (環境) E(非常時)D(投与量)I(情報)]は、文部科学省管轄の財団法人、原子力安全技術センターが運用している。だが、原子力安全技術センターのウェブサイトのトップページには、SPEEDIについての情報や、SPEEDIのページに直接行けるリンクはない。
http://www.nustec.or.jp/index.html

トップページから、「業部内容紹介」ページを通って、 「原子力防災に関する業務」のページに到達して初めてSPEEDIについての情報が見つかる。
トップ業務内容紹介 > 原子力防災に関する業務 http://www.nustec.or.jp/japan/japan02.html




福島第一原発事故後、なぜSPEEDIのデータが公開されなかったかについての、 「たまちゃん」さん@tadagonpapaによるまとめはこちらをご覧ください。

SPEEDI君はなぜ 私達に姿を現さなかったの?
http://www.h3.dion.ne.jp/~tadagen1/okinawa2011/SPEEDI.htm




児玉龍彦教授の見解。8/5児玉龍彦(東大先端研教授)X津田大介(ジャーナリスト)Ustream対談からの抜粋。

津田「SPEEDIに関して言うとね、そうとう、当初公開が遅れてしまったって言うところで、まあいろいろ問題も指摘されてるんですが。また一方 で、その科学者の方の中でもああいったまあ、SPEEDIみたいなものを公開してもそれを一般市民が見ても正しく読み取れる人のほうが少ないんだから、む しろそれで混乱を招いてしまうんだから公開しなければいいんじゃないかっていう意見をお持ちのかたも多いと思うんですが。児玉先生はそのへんはどう考えて…」

児玉龍彦「ええとですね。その前にですね。あの科学者の人も勘違いしてるんですよ。」

津田「ほうほう。といいますと」

児玉龍彦「あの昔の人はね、疫学とか統計学が好きなんです。今コンピューター世代の研究者って、予測とシュミレーションが好きなんです。それでね、疫学と統計学と、予測とシミュレーション、我々やってると全然違います。」

津田「はあどう違うんですか」

児玉龍彦「あのね、疫学とか統計学をやんのにはパラメーターが多いほど正確になるっていう考え方。だからあの、僕の専門、生活習慣病とかなんですが。よくメ タボリックシンドロームとか言うじゃないですか。そうすっと、周囲が何センチとか中性脂肪がどれくらいだとかコレステロールいくつ何とかの人が心筋梗塞に なったという統計処理をやって、これで病気のシンドロームを言うじゃないですか。こう言うのは、レトロスペクティブにやるときにはパラメーターは増やせば 増やすほど、ある因果関係きれいに見えたように思うじゃないですか。ところが予測、プロスペクティブにやってると、パラメーターが多いと外れます。パラ メーター少なくしないとだめ。少ないパラメーターで、メカニズムで予測しないとダメなわけですよ。それでね、SPEEDI問題もだから結局僕が見てると、 文科省とか原子力安全委員会が、シミュレーションというのを全く理解していなかった。経済産業省とか原子力・保安院の報告書を見ると、SPEEDIはデータが足りなかったから発表しなかったって。」

津田「足りないんだったらむしろそういうのが正しい訳なんですね」

児玉「だって予測って、データが全部あったら実測であって(笑)。そんなもんシミュレーションじゃないじゃないですか。」

津田「なるほどね。たしかにね」

児玉龍彦「だから、あの今発表したらパニックになるとか何とか言ってる人は、予測というのを全く理解していない。だから予測っていうのは少ないデーターで やってやるわけだから、少ないデーターの中で一番正確な予測がSPEEDIなんですよ。それで僕はコンピューターの色々やってますから知ってますけど。 SPEEDIはですね。その、まあ民間企業が動かしてるんですよ、はっきり言うと。国なんて全然出来ないの。それで、SPEEDIを動かしてるところはフ ルに動かしてました。だってそれであとでデーターが足りないってシミュレーションだから、当たり前なんですよね。だから多分コンピューターとかネットの人 はすぐわかるとおもうんですが。統計とか疫学ってのはある意味で古いんですよ。何かって言うと我々が今やろうとしてんのは、未来の予測をやろうとしてるわ けでね。そうすっとね、予測やろうとすると計算量もすごくなるしコンピューターもフルに使えないとダメだから、そういう予測をどんどん出さないとダメって いうのがまずイロハのイだと思うんです。だから今おっしゃってた議論の予測がなんとかだったら不安になるんじゃないかっていう議論は要するに過去の疫学と か統計とかを知らない人で、予測の仕方でより正確なものを出したら不安になるっていう議論がへんだとおもいません? だから予測って難しいんですよ。」 (太字は投稿者)

ブログ「ざまあみやがれい!」(書き起こし(1))より転載。
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65755777.html (last accessed 8/6/2011)

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