東電福島第一原発事故の収束が全く見えず、原発作業者や住民の被曝も拡大する中、国民とメディアの耳目が原発事故に集中していた3月末、国会は、両院の委員会・本会議ともに超スピードで、2011年度から5年間の在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関する新たな特別協定を可決、承認した。その驚くべきスピードは、原発事故収束や原発作業者・住民の被曝からの保護、被災者への補償・支援など、火急を要する立法の遅れ・不在とあざやかな対照をなす。
思いやり予算 賛成多数で承認 (沖縄タイムス 2011年4月1日 09時24分)
(2011年8月15日閲覧)【東京】2011年度から5年間の在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関する新たな特別協定は31日、衆参両本会議で与党と自民、公明両党などの賛成多数で可決、承認された。4月1日に発効する見通し。新協定の年度内承認で、旧協定の期限切れに伴う 「空白」期間は回避された。
新協定の国会審議開始が遅れて「空白」が危ぶまれたが、米側は年度内承認を要望。31日は衆院通過前に参院で委員会審議を始める「異例の対応」(政府関係者)で米国に配慮した。
野党側は参院外交防衛委員会で、米軍再編によって2014年までに在沖海兵隊8千人などがグアムへ移り、駐留経費が減る中、日本側負担額を5年間維持する新協定を疑問視した。
松本剛明外相は「大きな施設返還が実現し、経費全体の削減が見込まれたら調整を行う可能性はある」と説明。北沢俊美防衛相は3年後に日米間で協議する枠組みはあるとした。
新協定で日本が労務費を負担する基地従業員の上限数を段階的に430人減らす方針について、北沢氏は「首を切られるのではない」として、雇用は担保されると指摘。負担する側が米国に移るだけと述べた。
与党瑞慶覧氏 反対
県関係議員 賛成は3氏
県関係議員 賛成は3氏
【東京】在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)の新特別協定をめぐる31日の衆参本会議採決で、瑞慶覧長敏衆院議員(民主)は与党の一員でありながら反対した。「日米地位協定では駐留経費は米国が持つとしている。『思いやり』で日本が負担するのと齟齬 (そご)そごがある」と改善を訴えた。
東日本大震災で日本が国難を迎える中、思いやり予算を削減し、復興費に回すよう県選出議員や党内に呼び掛けた。「与党から声を上げたかった」とした。
瑞慶覧氏に加え県選出・関係で反対したのは衆院の照屋寛徳氏(社民)と赤嶺政賢氏(共産)、参院の山内徳信(社民)と糸数慶子氏(無所属)の4人。全員が震災の復興費へ充てるべきだとの意見で一致していた。
賛成したのは衆院の下地幹郎氏(国民新)と玉城デニー氏(民主)、参院の島尻安伊子氏(自民)で、「外交の基軸となる日米同盟の維持に必要な予算」などと理由を説明した。
(太字は投稿者)
外務省 プレス・リリース 在日米軍駐留経費負担特別協定の発効 平成23年4月1日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/23/4/0401_02.html
(2011年8月15日閲覧)
- 在日米軍駐留経費負担特別協定*は,日米間での承認を通知する外交上の公文の交換を経て,本1日(金曜日),効力を生じました。
- 本特別協定に基づく在日米軍駐留経費負担は、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で,日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保し,日米同盟関係を維持,強化していく上で極めて重要な役割を果たすものです。
【参考1】協定のポイント(太字は投稿者)
(1)対象期間: 5年間。
(2)経費負担: 日本側が労務費,光熱水料等及び訓練移転費の全部又は一部を負担。なお,訓練移転費につき,国内への移転に伴い追加的に必要となる経費に加え,グアム等米国の施政下の領域への訓練移転に係るものも負担対象に追加。
《運用方針(往復書簡)》
◎労務費:日本側が負担する上限労働者数を,協定の期間中に,現在の23,055人から22,625人に段階的に削減。
◎光熱水料等 :249億円を各年度の負担の上限としつつ,新たに日米間の負担の割合を定め,かつ,協定の期間中に,日本側の負担割合を現在の約76%から72%に段階的に削減。
(注)労務費及び光熱水料等の減額分は提供施設整備費(特別協定の枠外)に加算し,これらを合計した在日米軍駐留経費負担の額は,平成23(2011)年度からの5年間,現在の水準(平成22(2010)年度予算(1,881億円)が目安)で維持。
(3)節約努力: これらの経費につき,米側による一層の節約努力を明記。
【参考2】本協定の署名から発効に至るまでの主な手続の流れ
1月21日 署名(於:東京)
2月 1日 国会提出
3月31日 衆議院可決
同日 参議院可決
同日 承認及び公布のための閣議
4月 1日 承認を通知する外交上の公文の交換(於:東京)
公布(官報告示)
*正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」。
[参考資料]
外務省 プレス・リリース 在日米軍駐留経費負担特別協定の署名 平成23年1月21日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/23/1/0121_01.html
在日米軍駐留経費負担特別協定(概要)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/pdfs/gaiyo_110121.pdf
在日米軍駐留経費負担特別協定 (和文テキスト)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/pdfs/kyotei_110121.pdf
外務省 「日米安全保障体制」ページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/index.html
No comments:
Post a Comment