Wednesday, July 20, 2011

V.2.放射能の害は心理的害

例1)(埼玉新聞)放射線への過剰な不安に警鐘 さいたまで講演(2011年7月19日) 
http://www.saitama-np.co.jp/news07/19/04.html  (last accessed 7/20/2011)

参加者の質問に答える講師の坂井貴文氏と菊地透氏(右)=さいたま市浦和区の市民会館うらわ
放射線の健康への影響などを知るためのセミナーがさいたま市浦和区で開かれた。福島原発事故により、不安を抱く市民が多いことから市が企画、専門家が講演し放射線の基礎知識と風評に惑わされないことの大切さを強調した。参加した市民約70人も熱心に質問して関心の高さをうかがわせた。

 講師は埼玉大学理学部教授の坂井貴文氏自治医科大学RIセンター管理主任の菊地透氏が務めた。会場では放射線量計測器が手渡しで回され、放射線量が安全なレベルであることを参加者が自分の目で確認した。

 坂井氏は、放射線の性質や防護の方法などを説明。原発事故が起きる前から浴びている自然放射線量と比較しても、現在のさいたま市周辺は「心配するレベルではない」と語った。

  菊地氏は25年前のチェルノブイリ事故の教訓を「最も深刻な影響は不安・混乱と恐怖による風評被害」と指摘し、当時、欧州を中心にデマや誤解で10万人以上の妊娠・出産が回避されたという調査結果を紹介。「福島原発事故でも同じ轍(てつ)を踏まないことが重要」「実際にはほとんどない放射線を恐れ、子ども を屋外やプールで遊ばせないことによる身心の成長阻害や妊婦らへの心理的な健康影響の方が心配」と述べた。

 菊地氏は飲食物による内部被ばくについても「基準値の4倍超の放射性セシウムが検出された牛肉200グラムを知らずに食べても、被爆量は0・005ミリシーベルト(年間限度量1ミリ シーベルトの200分の1)で、影響の出るレベルでない」とし、過剰な不安を抱かないようにアドバイスした

 参加者からは「国内外の報道で深刻さが違う」「安心神話ではないのか」「家庭菜園の土は入れ替えた方がいいのか」などの質問が出され、講師らが終了後も丁寧に答えていた。 

 セミナーは大宮区の市民会館おおみやでも19日午後2時から同じ内容で開かれる。入場無料。問い合わせは、市安心安全課(048・829・1125) [太字は投稿者]

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2011年9月14日投稿
例2) チェルノブイリでの最も深刻な後遺症は、被災者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)」

(msn産経ニュース)福島レベル7 「最悪」評価はおかしい チェルノブイリとは全く違う2011.4.13 03:14
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110413/dst11041303140003-n3.htm (2011年9月14日閲覧)

(以下、記事の一部を抜粋)
 大量の放射性物質を飛散させたチェルノブイリ事故でも、白血病の増加は確認されていない。政府はその科学的事実の周知に力を注ぐべきである。チェルノブイリでの最も深刻な後遺症は、被災者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)である。」
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2011年11月5日投稿

例3) 福島県がこころの調査 

(1)(共同通信)福島県、来月から心の健康調査 年内に全妊産婦も (2011/10/17 19:24) http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011101701000835.html (2011年11月5日閲覧)(全文転載)

 東京電力福島第1原発事故を受け福島県が進める県民健康管理調査で、専門家による検討委員会は17日、避難区域などの住民約20万人を対象とした心の健康度調査を来月開始することを決めた。妊産婦約2万人の調査も年内に始める。

チェルノブイリ原発事故では、放射線への不安や生活環境の変化で精神的疾患が増えたとされ、県は原発事故による住民の精神面への影響を把握し、ケアに乗り出す。

調査は、0~6歳、小学生、中学生、高校生以上の4グループに分け、中学生以下は、行動の変化を尋ね、保護者が回答。高校生以上は、心のストレスと心的外傷後ストレス障害に関する質問で影響を調べる。

2011/10/17 19:24   【共同通信】
(転載終わり)

(2)山下俊一教授(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー、福島医科大学副学長、福島県 「県民健康管理調査」検討委員会委員)

「放射線は実はニコニコ笑っている人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。 これは明確な動物実験でわかっています。」


Uploaded by on May 8, 2011さまの動画を転載させていただきました。

【関連記事】

医療ガバナンス学会のメールマガジン Vol.303)亀田総合病院 小松秀樹 「放射能トラウマ」(2011年10月27日 06:00) http://medg.jp/mt/2011/10/vol303.html#more (2011年11月5日閲覧)

(記事の一部を転載)(太字は投稿者)

●放射能トラウマ
坪倉医師は、健診や健康相談で、一人当たり30分の時間をかけて、生活の状況や心配事を丁寧に聴いています。これまで大勢から話を聴いて、原発事故による 最大の被害は、子供の放射能トラウマだと確信するようになったそうです多くは、大人の放射能トラウマによる二次的放射能トラウマだそうです。年齢が低い ほどトラウマの程度が強い印象があるとのことです。女子高校生が将来子供を産めないと話しているということまで伝わってきます。さらに、鬱状態になった大 人がつらく当たって、子供に身体症状を伴うような深刻な影響が生じる事例が目に付くそうです。坪倉医師は、マスメディアの報道が、この地域に、放射能汚染 そのものを超える大きな害をもたらしていると感じています

医師でもある立谷秀清相馬市長も、子供の放射能トラウマが、地域の最大の問題だと考えています。 放置すれば、子供たちが、社会に上手に適応できなくなるか もしれません。子供の教育に差し障りが生じるかもしれません。教育に差し障りが生じれば、一生、ハンディを背負うことになります。結果として、子供たちと 地域社会の将来を奪うことになりかねません。科学的調査とそれに基づく対応策が求められます。それも、壮大な調査ではなく、調査目的を限定して、結果を早 く出す必要があります。慢性被ばくより、はるかに深刻な被害が生じうるので、素早く対応しなければならないからです。

(転載終わり)  全文はこちらから


【参考資料】

(1)(福島県HP)「県民健康管理調査について」のページ http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24287 (2011年11月5日閲覧)

(2)第4回福島県「県民健康管理調査」検討委員会  資料(平成23 年10月17 日) http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/kenkoukanri_231017shiryou.pdf  (2011年11月5日閲覧)

(3)福島県 「県民健康管理調査」検討委員会委員名簿 (平成23年7月24日) http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/230724meibo.pdf(2011年11月5日閲覧)
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2011年12月2日投稿

このサイトの別のページに投稿したように、 給食の安全性に対する保護者の不安を背景に、給食の独自の放射性物質検査をする自治体が増えている。群馬県での取り組みを報じた11月28日付けの読売新聞は、しかし、放射性物質の健康被害を軽く見積もり心理的害を強調する専門家の意見で記事を結んでいる。(ちなみに、その専門家・菊池透氏は、例1の埼玉新聞の記事にも登場している、)
 
 (読売新聞)「給食を測定」自治体急増…群馬 (2011年11月28日) http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/business/20111128-OYT8T00348.htm(2011年12月2日閲覧)(記事の冒頭と最後のみ転載)(本文中の太字は投稿者)

16市町村 放射性物質への不安受け

学校給食に含まれる放射性物質の測定に乗り出す自治体が急増している。「子供の食」への親の不安を背景に手探りで動き始めた形だが、自治体の予算規模による対応の格差もうかがえる。(酒井圭吾)

(中略)

食は安全なのか。放射性物質の測定は必要なのか。放射線に詳しい自治医科大RIセンターの菊地透管理主任に聞いた。

関東地域で出される学校給食を食べ続けても、子供への健康被害はほとんどないだろう。

食品には元々、放射性カリウム等が含まれている。例えば、1キロ・グラム当たりでお茶は600ベクレル、干し昆布で2000ベクレル。成人が平均 的な食事内容で1日3食取った場合でも、毎日約100ベクレルを摂取している。群馬の場合、原発事故で拡散した放射性セシウムの食生活への影響は、この 「100ベクレル」から受ける年間0・2ミリ・シーベルトの内部被曝(ひばく)線量に数%加算した程度にしかならない

食品の暫定規制値に対して疑念を抱く人もいるが、国際的な基準からも問題ない。生涯のがんの死亡率も子供(5歳)の場合、約30%から30・01%になると仮定出来る程度だ

ただ、安心を得るためにも、市場に出る「食品の監視」は必要だ。食品を「端から端まで」検査することはコスト的にも不可能。しかし、検査をすり抜けた暫定規制値超の食品をたまたま口にしたとしても、現在の汚染状況を考えれば影響はほとんどないだろう

それよりも、放射能を必要以上に怖がり、ストレスの増加、野菜などの摂取や運動が不足する方が、がんのリスクを100倍以上高める。放射能の正しい知識を持つことが重要だ。

(2011年11月28日  読売新聞)

(転載終わり)

投稿者註:記事中の専門家ががんの生涯「死亡率」を語っていることは重要だ。というのは、内部被曝の影響を軽く見積もる専門家は、がんによる「死亡率」が有意に上がるかどうかを「影響の有無」の基準としているのに対し、内部被曝の影響を重視する意見は、がん「罹患率」を問題にする。

これは、今年8月1日の国会での、古川俊治参議院議員と高木文科相(当時)との間での、 『原子力発電施設等 放射線業務従事者等に係る疫学的調査』(平成22年3月)をめぐるやりとりでも見られたことである。当サイトの「生活習慣病との比較」のページから抜粋。

【参考資料】
(1)2011年8月1日、参議院東日本大震災復興特別委員会で、医師でもある古川俊治議員(自民)は、文部科学省が財団法人・放射線影響協会に委託して行った、約27万7千人の原発従事者の疫学的調査の報告書『原子力発電施設等 放射線業務従事者等に係る疫学的調査』(平成22年3月)を取りあげ、この報告書の中のデータについて、高木文科相に質問した。古川議員は、データは、累積線量が平均13.3mSVでも、放射線従事者の方が一般の人より多くがんに罹ったことを示している、と分析。だが、高木文科相は、「死亡率への影響の明確な証拠中はなかった」という、放射線影響協会による総合評価を繰り返した。

質疑の動画と書き起こしを見る

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