Friday, July 15, 2011

V.6. 1950-60年代大気圏内核実験からの残存放射性物質を強調

例) 日本放射線影響学会「福島原子力発電所の事故に伴う放射線の人体影響に関する質問と解説 (Q&A)」から (強調は引用者)

Q29 福島原発事故に伴う人への放射線リスクはどのくらいと推測されるのですか?

A:福島第一原発の近辺を除けば、放射線リスクは放出された核分裂生成物の降下物による汚染に起因します。今回の福島第 一原発事故のリスクを推測する参考事例としてチェルノブイリとスリーマイル島の事故を引用していますが、核分裂生成物による汚染は、実はそれより以前の方 がかなりひどいということも思い起こす必要があろうかと思います。195060年代、米国などの国連の安全保障理事会常任理事国が大気圏内核実験をくり 返し行ったため世界中の大気が汚染され、世界平均で1平方メートルあたり74キロベクレル(UNSCEAR2000 ANNEX C)の放射性セシウム(セシウム137)が降下していました。また、日本の国土にも福島第一原発事故以前の通常検知されていた量(1平方メートルあたりお およそ0.020.2ベクレル)の約1,0001万倍(1平方メートル当たり2002000ベクレル)の放射性セシウムが降下していました。しかも その汚染は核実験が禁止されるまで10年位続いていました( 参考資料 Igarashi Y et al, J Environ Radioactivity, 31:157-169, 1996.)。この過去の事実を広く知ってもらうことも不安を和らげるために役立つのではないかと思います。ちなみにチェルノブイリの時も短期間ですが、 福島第一原発事故以前の通常検知されていた量の約1,000倍の放射性セシウムが降下していました。現在50-60歳代以上の人は皆これらの被曝を経験していることになります。この人達にこれらのことによって健康影響がでているということはありません。くり返しますが、核分裂による放射性同位元素の世界規模での汚染は、福島第一原発事故以前の通常検知されていた量の1,000倍程度の放射性セシウムによる汚染を10年間、すでに経験ずみなのです。勿論、こ のことが安全性を確約するものではありませんが、もし、影響があったしても、そのリスクは非常に少ないと思われます。どのくらい少ないのかを正確に理解するためには低線量放射線の生体影響研究の今後の進展を待たなければなりません。
(掲載日:平成23327,平成2346日改訂)

日本放射線影響学会「福島原子力発電所の事故に伴う放射線の人体影響に関する質問と解説 (Q&A)」
福島原発事故に伴うQ&Aグループ
代表:渡邉正己(京都大学原子炉実験所放射線生命科学研究部門・教授)
(2011年7月15日閲覧)
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2011年8月5日投稿 児玉龍彦東大先端科学技術研究センター教授のコメント

児玉龍彦(東大先端研教授)×津田大介(ジャーナリスト)

(8/5/2011) http://www.ustream.tv/recorded/16442790

(54分ごろ)
「1960年代は放射線量が高かったが今は下がっている、自然に下がってる」と言う人がいる。それを聞くと腹が立つ。(下がったのは)がんばった日本人がいたから。猿橋勝子博士。微量の放射線を測る器械を改良して、ビキニ環礁の海はセシウムが100倍になってると言った。米国のScripps研究所は猿橋の方法には疑いがあると言った。それで、猿橋博士は、Scripps に行って公開実験をした。色んな苦労をされたが、だんだんと米国の科学者も猿橋博士が正しいと認めた。大気圏内核実験の禁止条約には、この日本人女性の努力がメッチャ大きい。『昔はセシウム、プルトニウムが高かったから心配ない』なんてとんでもない」
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2011年10月10日投稿  
(1)中川恵一准教授 「わたくしが生まれた50年前、プルトニウムの量は今の1000倍だった」(2011年5月、テレビNNNの番組で)
http://www.youtube.com/watch?v=bHEMrOMqRio(2011年10月10日閲覧)

(番組の一部の書き起こし)

キャスター: 一般市民、わたしたちの生活にはどんな影響があるんでしょうか?
中川; はい、これはありません! 例えば、わたくしが生まれた50年前は、プルトニウムの量は今の1000倍だったのですよ
キャスター: はー、それはなぜですか?
中川: これは原水爆の核実験。  
キャスター: あー
中川: ですから今はですね、多少増えたとはいっても 、実は、まぁ、かなり減ってるんですね~。ですので、基本的には心配はありません。

【動画】 プルトニウムとは 専門家解説 ( さまの投稿)


 **中川氏の、放射線の健康への被害についての見解は、このページにあります

(2)押川 正毅・東京大学物性研究所教授のツイートより

(a)ツイートまとめ: 昔は核実験のために今よりずっと多くの放射能が東京に降っていた?
http://togetter.com/li/134485 (2011年10月10日閲覧) 

(b) 2011年9月27日ツイート
MasakiOshikawa Masaki Oshikawa

話題に乗り遅れてますが「都道府県別環境放射能水準調査の測定結果(福島県)の修正について」 http://ow.ly/6FS9I 7/19 Cs-137 750MBq/km^2 って核実験時代でも年間でこの数値を超えることはあまりなかった。 http://ow.ly/6FShm

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 2011年12月2日投稿

(asahi.com) 3月に降ったセシウム、過去最高の50倍超 気象研観測 (2011年12月2日0時57分) http://www.asahi.com/special/10005/TKY201112010588.html(2011年12月2日閲覧)

(全文転載)(太字は投稿者)

気象庁気象研究所(茨城県つくば市)は1日、福島原発事故で放出され、3月に観測したセシウム137は1平方メートル当たり3万ベクレル弱(暫定値)で、核実験の影響で過去最高を記録した1963年6月の50倍以上だったと発表した。船を使った調査で、北太平洋上に広く降ったこともわかった。 

つくば市に降ったセシウム137は4月には数十分の1に減り、夏には1平方メートル当たり数十ベクレルとチェルノブイリ事故後のレベルになったという。 環境・応用気象研究部の五十嵐康人室長は「福島原発事故前の水準に下がるまで数十年かかるのでは」と話している。過去最高値は同550ベクレル(移転前の 東京都で観測)。

4~5月に海水を採った調査では、福島原発から大気中に出た放射性物質は北太平洋上の広範囲に降り注いだことがわかった。米西海岸近くでも降っていた。

大気中から降るものとは別に、福島原発から海に流れ出たセシウム137とセシウム134は、それぞれ少なくとも3500テラベクレルと試算した。

表層では北太平洋を東へ広がり、その後潜り込んで南西に流れ、中層の流れにのったものの一部は20~30年後に日本沿岸に戻ると予測している。地球化学研究部の青山道夫主任研究官は「北太平洋全域の継続調査が必要」と話している

核実験の影響を監視するため、気象研は1954年から放射能を観測してきたが3月末、今年度予算が突然凍結され、観測中断を迫られた。今回の結果は、それを無視して観測を続けた研究者の努力で得られたものだ。(中山由美) 

(転載終わり)

投稿者注:2011年12月2日現在、気象研究所のHPではこの発表は見つかりませんでした。 http://www.mri-jma.go.jp/
 

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