Monday, July 18, 2011

V.8. 信頼性の低い実験結果を流す

6月19日 環境省 第三回災害廃棄物安全評価検討会
資料6-3「一般廃棄物焼却施設の排ガス処理装置におけるCs、
Srの除去挙動」
http://www.env.go.jp/jishin/attach/haikihyouka_kentokai/03-mat_5.pdf

放射能汚染された瓦礫を焼却しても、
バグフィルター等の既存設備で、放射性核種をほぼ100%除去できることを「実験」した報告であるが、これは、現在問題になったいるごく小さな放射性微粒子に関しては、まったくの作文である。

これをもって、ごく小さなCsやSrの微粒子がほぼ100%
除去できることが証明されたなどと言うのは、子ども騙しのペテンである。

【1】いつ、どこで、実験を行ったのか。
報告書にはこれしか書いていない。

(実験試料の)
採取日 2009年「秋」
採取場所 「A」自治体、300t/dayのストーカ炉

そもそも、
放射性廃棄物を一般廃棄物焼却の焼却施設で燃やすようなことは、法律によっておよそ許されていない。実験者は、法律違反をして、極秘で放射性廃棄物をどこかの焼却炉で燃やしたのだろうか?

そうではなさそうである。それは、実験結果を見ればわかる。

【2】実験結果は、どうだったのか。

Csについて
「バグフィルタ(BF)前においては、stage4-
8までの非水溶性の粒子態の濃度が
定量下限以下であり、煙突での濃度は定量下限以下であった」

(Srについても、上と同様なので、引用省略)

「定量下限」以下というのは、こういう意味である。
http://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2010/201005nyuumon.pdf

(少し長いが、引用しておく)
quote
検出下限とは、検出できる最小量(値)のことであり、定量下限 (
mini- mum limit of determination, limit of quantitation; LOQ) とは,ある分析方法で分析種の定量が可能な最小量又は 最小濃度とされている。
すなわち, 前者は化学反応や 装置の電気信号として検出し得る最低量であり, 後者は 最終的に分析値として定量し得る最低量をそれぞれ示し ている。
後者は前者よりはるかに大きな数値であること はいうまでもないが, 更に後者は定量し得る数値につい ての信頼性(通常はばらつきの程度)とともに示すこと が不可欠である。定量し得る下限値とその数値の信頼性 とは相関がある(通常は下限値に近づくと信頼性が低下 する)ため, 信頼性の指標を明示しないで定量下限を示 すことはあまり意味がない
unquote

簡単に言うと、この実験の排気は、
もともと放射性核種の濃度が極めて薄いものだったのだろう。したがって、実験はしてみたが、超微粒子についての結果はネガティブであり、そこから何らかの結論を引き出せるような意味のある実験ではなかった、ということなのである。

【3】そこで、この実験結果を受けて、
実験者は何と言ったかというと:

「定量下限以下の数値に関しては、定量下限値の1/
2が存在したと仮定して、・・・除去率を求めた」

単に計算をしてみた、というだけのことだ。

***

この前の「資料6-2」では、
ろ紙と捕集水と活性炭をつかって放射性核種の捕集を試みた実験のことが書いてある。

極小さな微粒子は、もともと定量できないほど低濃度で、
おまけに、それはろ紙をすり抜けてしまっただけのことである。
捕集水でブクブクやっても、
水分子と接触しなかっただけのことである。

これも、まともな科学実験の報告書ではない。
空想似非科学作文にすぎない。

***

<参考>
http://gomitanteidan.blogspot.com/2011/05/by.html
これ以降の、同ブログに掲載された福本勤氏の記事

投稿: Terry Yabumoto さん

No comments:

Post a Comment