Saturday, October 29, 2011

IX.5.d.  インドへの原発輸出

野田政権誕生以来、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて停滞していた原発輸出をめぐる動きが活発化してきたが、10月28日にはインドのクリシュナ外相が来日。29日には玄葉外相と会談して、去年開始したが東電原発事故後事実上中断していた日本とインドの原子力協定の締結交渉を進展させることで一致した。

(1)(NHK)日印外相 原子力協定交渉進展を(10月29日 14時49分)    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111029/k10013598421000.html(2011年10月29日閲覧)

(全文転載)(太字は投稿者)
玄葉外務大臣は、インドのクリシュナ外相と会談し、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、事実上中断していた、日本とインドの原子力協定の締結交渉を進展させることで一致しました。

玄葉外務大臣は29日、外務省の飯倉公館で、日本を訪れているインドのクリシュナ外相と会談し、このあと両外相はそろって記者会見しました。この中で玄葉大臣は、原子力発電所の大幅な増設を検討しているインドに、日本からの原子力関連の技術供与をにする原子力協定の締結交渉が、福島第一原発の事故以降、事実上中断していることについて、「インドから要請があり、交渉を進展させるため実務レベルで緊密に協議していくことで合意した」と述べ、原子力協定の締結交渉を進展させることで一致したことを明らかにしました。そのうえで、玄葉大臣は「私からは、 原発事故の原因の調査状況、原子力安全への取り組みについて透明性をもって情報提供すると伝え、同時に日本の核軍縮・不拡散への立場にも理解を求めた」と 述べました。また、両外相は、ことし8月に両国間のEPA=経済連携協定が発効したことを受けて、両国間の貿易・投資の拡大や、レアアースの共同開発の推進などでも合意したことを明らかにしました。さらに、玄葉外務大臣とクリシュナ外相は、両国の首脳や閣僚の定期的な相互訪問を活発化させることを確認しま した。
(転載終わり)

(2)(asahi.com)日印、原発輸出・レアアース開発推進で合意 外相会談(2011年10月29日13時29分) http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201110290157.html(2011年10月29日閲覧)

(全文転載)(太字は投稿者)
玄葉光一郎外相は29日午前、都内でインドのクリシュナ外相と会談し、東京電力福島第一原発事故後に停滞している両国間の原子力協定交渉を進展させることで合意した。両国の企業によるレアアース(希土類)の共同開発を進めることも確認した。

両政府は、原発輸出のために必要となる原子力協定の締結交渉を去年始めたが、今年3月の原発事故以降は開いていなかった。会談後の会見で玄葉外相は交渉進展の合意を明らかにする一方、「被爆国日本の核軍縮不拡散への強い思いへの理解を求めた」と述べた。インドが核実験を実施しないことが原子力協力の前提 との日本政府の立場を改めて示したものだ。

会談では、政治・安全保障分野で近く日米インドの局長級協議を開催することや、海賊対策など海洋安全保障での協力強化で一致した。クリシュナ外相は、海上自衛隊とインド海軍の合同演習も提案した

クリシュナ外相は同日午後には野田佳彦首相を表敬訪問し、野田首相の早期のインド訪問に向けた調整をする予定だ。(松村愛)
(転載終わり)


(3)(msn産経ニュース)原子力協定交渉を進展で一致 日印外相会談(2011.10.29 13:26) http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111029/plc11102913280004-n1.htm (2011年10月29日閲覧)
 
 共同記者会見を終え、インドのクリシュナ外相(左)と握手を交わす玄葉外相=29日午後、外務省飯倉公館
共同記者会見を終え、インドのクリシュナ外相(左)と握手を交わす玄葉外相=29日午後、外務省飯倉公館

(全文転載)
玄葉光一郎外相は29日午前、インドのクリシュナ外相と都内の外務省飯倉公館で会談し、東京電力福島第1原発事故を受けて中断している原子力協定締結交渉を進展させることで一致した。レアアース(希土類)の共同開発を前進させることも確認した。

また、日本、インドが来年、国交樹立60周年を迎えることを契機に両国関係を強化することを確認。日本、米国、インド3カ国による対話を近い将来実施することでも一致。クリシュナ氏はインド海軍と海上自衛隊が合同演習を行うことを提案した。

会談後、玄葉氏は記者会見で「わが国はインドと基本的な価値観と多くの戦略的利益を共有している。インドの安定と発展は日本の国益にとって重要だ。日本と インドの関係を一段とレベルアップをさせる」と述べた。原子力協定締結交渉については「核軍縮、不拡散への配慮をしながら進めていく」と語った。

クリシュナ氏は午後に野田佳彦首相と公邸で会談する。

(転載終わり)

2011年10月30日投稿

(4)(東京新聞)日印、原子力協定前進へ レアアース共同開発も (2011年10月30日 朝刊) http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011103002000027.html (2011年10月30日閲覧)

(全文転載)
玄葉光一郎外相は二十九日、インドのクリシュナ外相と都内の飯倉公館で会談し、東京電力福島第一原発事故を受けて中断している両国の原子力協定締 結交渉を進展させていくことで一致した。昨年十月に当時の菅直人首相とシン首相が一致したレアアース(希土類)共同開発の推進も確認した。

この後、野田佳彦首相もクリシュナ氏と会談し「原発事故を検証して安全対策に貢献し、インドとの協力を考えたい」と強調。年内にインドを訪問する意向も伝えた。十二月二十八日を軸に両国で調整している。

日本はインドやトルコ、ブラジルなど五カ国と締結交渉をしていたが、事故後に見合わせている。今回の合意で原発輸出を進める姿勢を明確にしたが、事故が収束していない中で批判も出そうだ。

また玄葉氏は会談後の共同会見で「唯一の被爆国である日本の核軍縮への取り組みを理解してほしい」として、核実験時の協力停止の協定明記を求めた。

外相会談は二〇〇七年から毎年行われている「戦略対話」として実施。両外相は中国の海洋進出を念頭に南シナ海の安全保障に関するルールづくりが必要との認識で一致、十一月中旬に開かれる東アジアサミット(EAS)で主要議題とすることになった。

経済分野では、今年八月発効した経済連携協定(EPA)を踏まえた貿易や投資の促進、首都ニューデリーと西部の商都ムンバイを結ぶ貨物鉄道建設計画への協力で一致した。
(転載終わり)

(5)原発安全対策、インドに提供=野田首相、年内訪問伝える(2011年10月29日19時6分) http://www.asahi.com/politics/jiji/JJT201110290077.html (2011年10月30日閲覧)

(全文転載)(太字は投稿者)
野田佳彦首相は29日午後、首相公邸でインドのクリシュナ外相と会談し、外相間の戦略対話で交渉進展を確認した日印原子力協定について「(東京電力)福 第1原発事故の情報を提供し、安全対策についても貢献していきたい」と述べ、原子力技術とともに、原発事故の安全対策も積極的に提供する考えを示した。

また首相は自らのインド訪問について「首脳間の相互訪問を重視している。年内の双方の都合の良い時期で調整したい」と伝えた。日印両政府は12月28日を軸に検討している。 

[時事通信社]

(転載終わり)

【インドでも反原発デモ】

 (asahi.com)反原発デモで死者 インドの予定地、福島の事故引き金(2011年4月19日9時54分) http://www.asahi.com/international/update/0419/TKY201104190084.html (2011年10月30日閲覧)

(全文転載)
インド西部マハラシュトラ州の原発建設予定地で18日、建設反対派住民が警官隊と衝突し、警官隊の発砲で少なくとも住民1人が死亡した。福島第一原子力発電所の事故にもかかわらず、ラメシュ環境相が建設計画の見直しを否定したことが引き金となった。

PTI通信が伝えた。衝突が起きたのは、西部の中心都市ムンバイの南約300キロにある同州ジャイタプール。見直し否定に怒った住民ら600~700人が地元警察署に押しかけ、建物や車両に放火。警官隊が発砲したという。

インド政府は、この予定地に6基の原発を建設して同国最大規模の発電所を造る計画だ。昨年12月、フランスのサルコジ大統領がインドを訪問した際、フラ ンス側がまず2基を供与することで合意し、予定地を囲い込むフェンスの建設が始まっていた。(ニューデリー=武石英史郎)

(転載終わり)
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2012年1月22日投稿

野田首相が12月27日から29日、インドのデリーを国賓として訪問、原子力協定について、「両首脳間で,双方にとって満足のいく合意が得られるよう,協定交渉を進展させていくことで一致」した。

外務省HP 「野田総理夫妻のインド訪問(概要と評価)」(平成23年12月29日のページより抜粋。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_noda/india_1112/gaiyo.html(2012年1月22日閲覧) 

II.首脳会談概要 1.二国間関係 (3)経済・経済協力

 (カ)原子力協力については,シン首相から,日本のセンシティビティはよく理解している旨述べ,両首脳間で,双方にとって満足のいく合意が得られるよう,協定交渉を進展させていくことで一致。
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2012年4月16日投稿

 (週間金曜日ニュース)「日本はどうして原発をインドに売るのか」――インド南部住民の反対運動活発化 (2012 年4 月16 日 2:06 PM)http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=1855 (2012年4月16日閲覧)(全文転載)


クランクラム原発に近い漁村。運動拠点となっているキリスト教会裏敷地で議論する。(撮影/福永正明)
 
インド南端タミル・ナドゥ州のクダンクラム原子力発電所建設をめぐり、住民の反対運動が活発化している。二五年間一貫して原発反対を訴える非暴力運動に、インド国内外から支援が集まっている。

三月七日、反対運動拠点の漁村を訪ねると、二〇〇人ほどの住民たちが集い、周囲には昨年三月一一日の東京電力福島原発事故の説明ポスターも掲げら れていた。原発閉鎖を求める「核エネルギーに反対する民衆運動」(PMANE)のリーダーたちは筆者に、福島事故後の原子炉、避難民、放射能汚染などを 次々に問うてきた。筆者は「福島事故で原発の危険性に疑いはない。このクダンクラムでも起こりうる」と答えた。

インド政府の計画では、国営企業インド原子力発電公社がロシア原子力関連企業アトムストロイエクスポルトの援助で、ロシア型加圧水型原子炉二基を インド洋の海岸沿いに建設。昨年前半に一号機の工事が完了し、七月に試験用燃料での試験運転が行なわれ一二月より商業運転開始予定であった。

しかしそこに福島事故が起こった。衝撃を受けた住民は、数万人規模の原発反対運動を続けた。

一九八八年に露印首脳が合意したが長期中断。九七年に建設工事着工、二〇〇四年に資材搬入用の小港湾施設が完成。原発建設工事も本格化した。

計画発表当初からの原発反対運動は、〇一年に地元出身の元大学教授ウダヤ・クマール氏が帰国定住し、自ら設立したPMANEの代表となり活性化した。

リーダーたちは、原発にまつわる危惧一三項目を説明する。(1)津波と地震の危険性、(2)環境影響評価や安全分析報告などが、住民に非公開。公 聴会もない、(3)原発から半径二・五キロ地帯を強制立ち退きとする計画、(4)原発から半径三〇キロ圏内に一〇〇万人居住する、(5)冷却水と低レベル 廃棄物の海への投棄、(6)環境や食物の汚染の危険性、(7)将来、六基追加の計画、(8)露製原発への国際的懸念などである。

原子力発電拡大をめざす中央・州政府は、地元民一〇〇〇人の優先雇用、水道水の安価提供、福祉施設の充実、漁業補償金を掲げつつ、一方でPMANE幹部は反政府武装組織関係者であるなどとデマを流布した。

住民は昨年八月の避難訓練で、「鼻と口を覆って最も近い建物に逃げ込んでドアを閉めること」という指示を受け、怒りを爆発させた。原発反対運動は大きな炎をあげて燃え上がった。

八月以降、拠点となる教会裏敷地には、連日一万人以上が集結し、集会、デモ行進、女性たちの道路封鎖、無期限ハンストなどが繰り返された。建設工 事は中断、保安要員以外は施設内に入れず、七カ月が経過した。この間、ウダヤ・クマールさんらPMANEリーダーは、シン中央政府首相、ジャヤラリタ州首 相らと交渉を続け、ついに州首相は「住民の合意なき建設には反対」と決定した。

しかし今年三月一九日、州首相が方針転換を突如発表。中央政府へ建設容認を伝達した。翌日から工事が再開し、一万人以上の州警察武装部隊が投入さ れ、食糧・医薬品・水など物資搬入禁止、五人以上の集会禁止、PMANE幹部の逮捕状発行、メディアの報道規制、封鎖地域内の住民による外部への移動も禁 止の事態となった。

集会拠点には、無期限ハンストで抗議するウダヤ・クマールさんらリーダーを囲むように連日一万人の住民・支援者が集結し、鋭い抗議の叫びを上げ た。三月二三日に高等裁判所緊急判決で警察の封鎖は解除され、無期限ハンストは三月二八日に解除となった。逮捕者は五〇〇人以上とされるが、集結した住民 たちの数は減少せず、むしろ日に日に増加している。筆者が訪れた運動拠点村は、現在でも輪番でのハンストや集会が続き、原発稼働強行を阻止する態勢だ。

住民は、日印両政府が進行させる原子力協定交渉について「どうして日本は原発をインドへ売るのか」と問いかけた。インドの原発反対運動は、日本の人びとに「原発海外輸出」反対を求めている。
(福永正明・大学教員、4月6日号)

(転載終わり)

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