2011年12月4日投稿
(東京新聞)原発用語言い換え危険な印象消す?(2011年12月4日 朝刊)から抜粋。http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011120402000034.html (2011年12月4日閲覧)
- 廃スラッジ:汚染水浄化装置で発生する放射性汚泥。ただのゴミのような呼称だが、実は超高濃度。
- バックエンド:使用済み核燃料の再処理を含む核廃棄物の処理業務全般のこと。字面からの類推は全く不可能。
- クリアランス:一定の線量未満の核廃棄物を一般廃棄物扱いする法制度。「クリア」といいながら放射性物質は含む。
- MOX燃料:毒性の強いプルトニウムを含むが、それを感じさせないようにした呼称。直訳は「混合酸化物燃料」。
* * *
「クリアランス」について
- Merriam-Webster Dictionaryの定義 http://www.merriam-webster.com/dictionary/clearance
- 東京電力による説明(東京電力) 「クリアランスとはどういう意味ですか?」http://www.tepco.co.jp/nu/qa/qa11-j.html
【関連記事】
珍しいケースですが、ニュースの分野によって訳語が異なる用語があります。もともとは英語のストレステストです。
海江田万里前経済産業相が、運転停止中の原発の再稼働問題を受けストレステストの実施を表明し、その後、紙面にこの用語が度々登場することになりました。
原発用語では、原発の耐久性や安全性などをさまざまな角度から調べる検査を意味します。訳語は各紙で異なります。東京新聞はストレステスト(耐性評価)と記載しています。
これより先、福島第一原発の事故を受け欧州連合(EU)が六月から実施した際は、安全審査(ストレステスト)と表記しました。安全性を評価するのか耐性か悩ましいところです。
経済用語では、一連のリーマン・ショック報道の際に使用されました。欧米の金融機関が景気悪化に耐える体力を備えているか判断する検査を意味する言葉として使われ、ストレステスト(資産査定)と記載していました。 (校閲部・菅生彰二)
(転載終わり)
(転載終わり)
-12月4日の投稿はここまで。
_____________________例1)「ベストミックス」とは?
2011年10月3日、経済産業省総合資源エネルギー調査会総合部会の 第1回基本問題委員会が開かれた。委員の一人の 橘川武郎・一橋大学大学院商学研究科教授の提案を受け、会議はニコニコ動画で生中継された。委員会の配布資料、議事次第、名簿などは、 資源エネルギー庁サイトのこのページへ。
第一回目の会議ということで、出席した委員全員が、順ぐりに各自重要だと考えることを述べていった。その中で際立ったことの一つは、何人もの委員が「ベストミックス」を見つけることの重要性を強調していたことだ。
「ベストミックス」とは「電源のベストミックス」ということで、文字通り解釈すれば、様々な電源の「最も良い組み合わせ」ということを意味するとも言えよう。だが、実際に業界や政治家がこの用語を使って推進してきた内容とは、そんな価値中立的なものではない。例えば、全国の電力会社の業界団体である電気事業連合会はそのウエブサイトで、「原子力をベースに、火力、水力など、それぞれの発電方式の特性を活かし、組み合わせる形が日本における『電源のベストミックス』」、と述べている。
カタカナ用語を使うことによって、意味をアイマイにし、実は<原発推進を前提にした最適の組み合わせ>に他ならないことを隠蔽するコトバの操作と言えるだろう。
(1)電気事業連合会
「電源のベストミックス」のページから全文転載(太字は投稿者)(2011年10月4日閲覧)
日本のエネルギー自給率はわずか4%。この脆弱なエネルギー構造のもと、国内の電気事業は、伸び続ける需要や昼夜間における需要格差の拡大といった多くの課題に対応しながら営まれています。
かつては水力発電が主流だった日本の発電。やがて豊富で安価な石油を使った火力発電へと移行しましたが、オイルショック以降、発電方式の多様化が求められ、原子力や天然ガスなど石油に変わるエネルギーの開発と導入が進められてきました。
特に、確認埋蔵量の約6割が政情が不安定な中東諸国に偏在している石油と違い、原子力発電の燃料となるウランは、世界各地に分布しているので、安定して輸入できます。
さらに原子力発電は発電時にCO2を排出しないという点で、地球温暖化防止に寄与するとともに、他電源と比べ発電コストが安く、発電コストに占める燃料費の割合も低いため、安定したコストで発電できます。
こうした背景の中で、将来にわたって安定かつ経済的に電気をお届けするために、原子力をベースに、火力、水力など、それぞれの発電方式の特性を活かし、組み合わせる形が日本における「電源のベストミックス」と考えています。
(2)日本経済団体連合会 『エネルギー政策に関する第1次提言』 2011年7月14日(2011年10月4日閲覧)
「3.中長期的視野に立ったエネルギー政策の見直し」の「(1) 新たなエネルギーのベストミックスの必要性」のみを転載。(太字は投稿者)
(1) 新たなエネルギーのベストミックスの必要性
準国産エネルギーである原子力の果たす役割は引き続き重要である。安全性確保を大前提に国民の理解を十分に得ながら、引き続き着実に推進していく必要がある。しかしながら、現行のエネルギー基本計画における原子力の計画は見直しを余儀なくされよう。これによる供給力の不足分は、化石燃料、再生可能エネル ギー、省エネルギーにより補わねばならない。今後のエネルギーのベストミックスを検討する際には、各エネルギーの長所・短所、技術革新の動向を現実的・客観的に分析すべきである。そのうえで、安定供給や経済性など国内でまず実現すべき目標を踏まえ、開かれた国民的な議論を行う必要がある。実現性やコスト負担のあり方等を十分に検証することなく、安易に政治的な数値目標を掲げるべきではない。
当面、重点的に推進すべき施策は以下の通りである。
- 原子力
原子力を活用していくうえでは、国民・国際社会の信頼の回復が最優先課題である。
東日本大震災を踏まえた事故の再発防止策の徹底と、安全基準の抜本的見直しを含めた安全性向上にかかる不断の取り組みが必要である。併せて、自治体や住民の意向を十分に踏まえ、情報開示のあり方についても再検討すべきである。
また、わが国の英知を結集し、最高水準の安全性を備えた原子力の研究開発に取り組む必要がある。
- 化石燃料
化石燃料は、安定調達・供給と高効率利用に向け、研究開発をはじめとする取り組みが重要である。
官民協力による、上流権益の確保や、燃料源の多様化、調達先の分散化が求められる。その際、資源国や資源メジャーとの価格交渉のための国内体制のあり方も検討すべきである。
さらに、火力発電の高効率化、CCS#3の実用化等の研究開発を強化する必要がある。
- 再生可能エネルギー
再生可能エネルギーは、エネルギー自給率向上や地球温暖化対策等の観点から重要であるが、普及には高コスト問題の解決が不可欠である。
まず、費用対効果や物理的な制約を踏まえたわが国の導入ポテンシャルについて、客観的な分析をしたうえで、わが国の自然環境に相応しい現実的な導入計画を 策定していく必要がある。その際、高価格・低効率の機器の普及を急ぐよりも、研究開発や設備投資の支援、事業者間の競争によるイノベーションを通じた、高 効率化、低コスト化をまず図るべきである。さらに、地熱発電や風力発電等については、思いきった立地規制等の緩和が不可欠である。
- 省エネルギー
省エネルギーについては、ユーザーによる主体的な取り組みを後押しする観点から、引き続き、省エネ機器や電力の使用状況の見える化機器の導入、設備投資へ の政策支援、研究開発の重点化を図るとともに、国民運動として、国民のライフスタイル、ワークスタイルの見直しを進めるべきである。
(転載終わり)
(4)北海道電力ウェブサイトの「電源のベストミックスの必要性」のページ (画像入りで説明)
(5)九州大学・炭素資源国際教育研究センター 「エネルギーベストミックス研究会」のページの *エネルギーベストミックス研究会とは?の文章だけを転載。(2011年10月4日閲覧)
昨今のエネルギー情勢については、国際的エネルギー需給バランス・温暖化対策要請・エネルギー関連技術の進化などの構造変化が見られます。今後のエネルギーの将来像については“どのようなエネルギーの組み合わせが最適か”というエネルギーベストミックスの考え方に立ち戻って考える必要があります。
こうした背景に立ち、総合的かつ長期的にエネルギーベストミックスを検討する研究会を設置しました。本研究会は、国公私立大コンソーシアム・福岡の 助成を受けて九州大学が開催するもので、各関係研究機関の協力、参加のもとに、東京にて研究会を開催しています。今年度の研究会は委員メンバーによる議論ですが、将来的には人材育成、情報発信を行っていきます。そのため、報告内容については、資料を公開し広く情報発信を行います。ただし、掲載された資料の無断転載及び複写はご遠慮ください。(投稿者注:文中のリンクは原文の中のもの)
(6)(東京新聞)【特報】「ベストミックス」という虚構 円居総一・日大教授に聞く (2011年9月29日)(2011年10月4日閲覧)
(東京新聞サイトには記事の<前文>しか掲載されていません。その前文をを転載)
政府が来春までに具体案をまとめるという「ベストミックス」(電源の最適な組み合わせ)。脱原発と原発推進の「二項対立」を避ける現実路線だというが、 実際には原発再稼働への道を開く案にすぎないのかもしれない。肝心なのは、国民にとって“ベスト”な選択か否かだ。元銀行マンで、政府の諮問委員なども務 めた円居総一・日本大学教授(経済学)は数字からも疑問を呈している。 (鈴木泰彦)
この記事の全文は日々坦々さまのブログで読むことが出来ます。 「ベストミックス」という虚構 円居総一・日大教授に聞く(東京新聞)
(7)(しんぶん赤旗)自民党の「ベストミックス」論 原発推進の合言葉 (2011年7月22日)(2011年10月4日閲覧)
(記事全文を転載)
自民党の国家戦略本部(本部長・谷垣禎一総裁)が20日に発表した「日本再興」と題した報告書。中長期的な政策立案の柱となる同報告書で示されたのが、財界の要求に応えた原発の維持・推進政策でした。
同報告書は、「ただちに再生可能エネルギーで原子力による発電量分をカバーすることは、極めて難しい」と強調した上で(1)節電、省エネ(2)原発の稼働維持(3)LNG・火力発電の効率化(4)再生可能エネルギーの普及促進の「ベストミックス」を主張したのです。
これは停止中原発の再稼働を求めて日本経団連が発表した「エネルギー政策に関する第1次提言」(14日)とうり二つのものです。同提言は「原子力 の果たす役割は引き続き重要である」と強調した上で再生可能エネルギーを「高コスト」と攻撃。「エネルギーの新たなベストミックスを構築すべきである」と 主張しました。
なによりもこの「ベストミックス」論は、東京電力が「中長期的なエネルギー情勢に最も適した組み合わせを選択する『電源のベストミックス』を推進」としているように、電力会社自身が原発推進のために盛んにふりまいてきたものです。
まさに「ベストミックス」という言葉が、原発推進の“合言葉”となっているのです。
自民党も財界と同様に、再生可能エネルギーを先送りする立場ですが、原発に依存し続けてきた政治の遅れにこそ現在の電力供給の問題があります。
この5年間で原子力対策に2兆円以上の税金をつぎ込む一方、自然エネルギーにはわずか6500億円でした。原発撤退を決断し、予算の使い方を抜本的に転換すれば、再生可能エネルギーの爆発的普及は可能です。
自民党の谷垣総裁は福島原発事故の直後、「現状では(原発)推進はなかなか難しい状況なのは事実だ。今回の事故を総括、分析して新しい対応を打ち出したい」(3月17日の会見)などと述べていました。その一つの結論である今回の報告書が「新しい対応」だとしたら、あまりにも古すぎるといわざるをえ ません。 (松田繁郎)
(全文掲載終わり)
_________________________
2011年11月7日投稿
2011年11月7日、読売新聞社と(財)日本エネルギー経済研究所特別フォーラム「エネルギー・ベストミックスと原子力」を共催。原発導入の立役者、正力松太郎が社主だった読売新聞は、東電福島第一原発事故の後も、原発を推進。
(1)(読売新聞)読売国際会議2011特別フォーラム http://info.yomiuri.co.jp/release/2011/10/post-340.html (2011年11月7日閲覧)
読売国際経済懇話会(YIES)と読売新聞社は11月7日(月)、東京で読売国際会議2011特別フォーラム「エネルギー・ベストミックスと原子力」を、(財)日本エネルギー経済研究所と共催します。
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、今後のエネルギー構成のあり方をどう考え、その中で原子力発電をどう位置づけるのか、日本、欧米、アジアの有識者を招き、各国の実例を聞きながら考えます。聴講無料。
◇特別フォーラム「エネルギー・ベストミックスと原子力」
◇日時・場所=11月7日(月)午前9時30分~午後5時40分、ホテル グランパシフィック Le台場(東京都港区台場)
◇基調講演=井手明彦経団連資源・エネルギー対策委員長、田中伸男前国際エネルギー機関事務局長ら
◇パネリスト予定者=リチャード・モーニングスター米ユーラシア地域エネルギー問題担当特使、ベルナール・ビゴ仏原子力・代替エネルギー庁長官、ハンス・ペーター・カイテル独産業連盟会長、趙成昆中国原子力エネルギー業協会副理事長ら(同時通訳付き)
◇申し込み方法 〒住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記し、〈1〉はがき=〒104・8243読売新聞東京本社調査研究本部、読売国際会議係〈2〉 ファクス=03・3245・0219 同係〈3〉電子メール=yif@yomiuri.comへ、10月21日必着で。抽選で100人を招待。28日の入 場証発送を発表に代えます。
(2011年10月17日)
(2)(読売新聞)経産副大臣「原発の安全性、世界最高水準に」(2011年11月7日14時10分) (2011年11月7日閲覧)
(全文転載)
読売国際会議2011の特別フォーラム「エネルギー・ベストミックスと原子力」(読売国際経済懇話会=YIES=、読売新聞社、日本エネルギー経済研究所共催)が7日午前、東京のホテルグランパシフィックLe台場で始まった。
日本と世界の今後のエネルギー選択のあるべき姿を議論するもので、東京電力の福島第一原子力発電所事故を踏まえ、原発の安全性などについての議論が交わされている。
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、今後のエネルギー構成のあり方をどう考え、その中で原子力発電をどう位置づけるのか、日本、欧米、アジアの有識者を招き、各国の実例を聞きながら考えます。聴講無料。
◇特別フォーラム「エネルギー・ベストミックスと原子力」
◇日時・場所=11月7日(月)午前9時30分~午後5時40分、ホテル グランパシフィック Le台場(東京都港区台場)
◇基調講演=井手明彦経団連資源・エネルギー対策委員長、田中伸男前国際エネルギー機関事務局長ら
◇パネリスト予定者=リチャード・モーニングスター米ユーラシア地域エネルギー問題担当特使、ベルナール・ビゴ仏原子力・代替エネルギー庁長官、ハンス・ペーター・カイテル独産業連盟会長、趙成昆中国原子力エネルギー業協会副理事長ら(同時通訳付き)
◇申し込み方法 〒住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記し、〈1〉はがき=〒104・8243読売新聞東京本社調査研究本部、読売国際会議係〈2〉 ファクス=03・3245・0219 同係〈3〉電子メール=yif@yomiuri.comへ、10月21日必着で。抽選で100人を招待。28日の入 場証発送を発表に代えます。
(2011年10月17日)
(2)(読売新聞)経産副大臣「原発の安全性、世界最高水準に」(2011年11月7日14時10分) (2011年11月7日閲覧)
(全文転載)
読売国際会議2011の特別フォーラム「エネルギー・ベストミックスと原子力」(読売国際経済懇話会=YIES=、読売新聞社、日本エネルギー経済研究所共催)が7日午前、東京のホテルグランパシフィックLe台場で始まった。
日本と世界の今後のエネルギー選択のあるべき姿を議論するもので、東京電力の福島第一原子力発電所事故を踏まえ、原発の安全性などについての議論が交わされている。
経済産業省の松下忠洋副大臣は冒頭、「原発の安全性を世界最高水準まで高め、事故の経験と教訓を世界と共有し、国際的な原子力安全の向上に貢献し ていきたい」とあいさつし、海外の原子力開発に協力していく姿勢を強調した。経産省・資源エネルギー庁の朝日弘審議官は「原発事故を踏まえ、原発の安全性の確保と、自然災害に強い供給体制の確保がエネルギー政策の基本になった」と述べた。
(2011年11月7日14時10分 読売新聞)
(転載終わり)
(3)(読売新聞)【社説】原発耐性テスト 早期再稼働へ安全確認を急げ(10月29日付・読売社説)(2011年10月29日01時17分) http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111028-OYT1T01258.htm?from=y10 (2011年11月7日閲覧)
(全文転載)
原子力発電所の再稼働問題の今後を占う試金石となるだろう。
関西電力が28日、大飯原発3号機(福井県)で実施していたストレステスト(耐性検査)の評価結果を政府に提出した。
福島第一原発の事故を受け、全国の原発に課せられているテストだが、結果の提出は初めてだ。
大飯原発3号機は、13か月ごとの定期検査で停止している。政府は今回の評価結果を踏まえ、再稼働の可否を決める方針だ。
関電の評価によれば、大飯原発3号機は、設計上の想定の1・8倍の地震や、4倍の高さの津波には耐えられるという。政府は、その妥当性を早急に判断する必要がある。他の原発の再稼働に確たる方針を示すことにもなろう。
ストレステストは、原発が設計上の想定を超える大きな地震や津波などに襲われた時、重要な設備がどこまで耐え得るか、安全の余裕を調べる検査だ。法律で義務づけられたものではない。
福島第一原発の事故を受け、このテストを導入した欧州は、運転の可否を決める条件にはしていない。むしろ、安全余裕をどう向上させるか、その余地を見極めることを目指している。
日本では、福島第一原発のような津波災害について、すでに政府が、浸水防止策の強化といった緊急安全対策を取るよう各原発に指示し、対応が進んでいる。
当面の安全対策としては、これで十分とする専門家は多い。
政府は、ストレステストの結果を、経済産業省原子力安全・保安院や内閣府の原子力安全委員会に確認させ、首相と関係3閣僚が最終判断する、としている。
問題なのは、具体的な判断基準が示されていないことだ。
国際原子力機関(IAEA)への評価の依頼や、原発に批判的な技術者を加えた評価組織の設置など、再稼働に向けた最終判断をさらに遅らせかねない手続きも、政府内で検討されている。
福井県など、原発がある自治体は、一向に方針が定まらない政府の対応に困惑している。
定期検査で停止している各地の原発も、再稼働のめどは立っていない。稼働している原発はすでに全体の2割を切る10基まで減っている。夏に続き今冬も、電力不足が心配されている。
特に関電は、電力の半分程度を原発11基に頼っているが、年明けには、稼働中が1基になる。
この危機的状況を、野田内閣は直視し、対応を急ぐべきだ。
関西電力が28日、大飯原発3号機(福井県)で実施していたストレステスト(耐性検査)の評価結果を政府に提出した。
福島第一原発の事故を受け、全国の原発に課せられているテストだが、結果の提出は初めてだ。
大飯原発3号機は、13か月ごとの定期検査で停止している。政府は今回の評価結果を踏まえ、再稼働の可否を決める方針だ。
関電の評価によれば、大飯原発3号機は、設計上の想定の1・8倍の地震や、4倍の高さの津波には耐えられるという。政府は、その妥当性を早急に判断する必要がある。他の原発の再稼働に確たる方針を示すことにもなろう。
ストレステストは、原発が設計上の想定を超える大きな地震や津波などに襲われた時、重要な設備がどこまで耐え得るか、安全の余裕を調べる検査だ。法律で義務づけられたものではない。
福島第一原発の事故を受け、このテストを導入した欧州は、運転の可否を決める条件にはしていない。むしろ、安全余裕をどう向上させるか、その余地を見極めることを目指している。
日本では、福島第一原発のような津波災害について、すでに政府が、浸水防止策の強化といった緊急安全対策を取るよう各原発に指示し、対応が進んでいる。
当面の安全対策としては、これで十分とする専門家は多い。
政府は、ストレステストの結果を、経済産業省原子力安全・保安院や内閣府の原子力安全委員会に確認させ、首相と関係3閣僚が最終判断する、としている。
問題なのは、具体的な判断基準が示されていないことだ。
国際原子力機関(IAEA)への評価の依頼や、原発に批判的な技術者を加えた評価組織の設置など、再稼働に向けた最終判断をさらに遅らせかねない手続きも、政府内で検討されている。
福井県など、原発がある自治体は、一向に方針が定まらない政府の対応に困惑している。
定期検査で停止している各地の原発も、再稼働のめどは立っていない。稼働している原発はすでに全体の2割を切る10基まで減っている。夏に続き今冬も、電力不足が心配されている。
特に関電は、電力の半分程度を原発11基に頼っているが、年明けには、稼働中が1基になる。
この危機的状況を、野田内閣は直視し、対応を急ぐべきだ。
(2011年10月29日01時17分 読売新聞)
(転載終わり
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