(1)IAEA、福島とチェルノブイリ「完全に別物」と強調 (MSN産経ニュース 2011.4.13 01:37)(全文転載)(太字は投稿者)
国際原子力機関(IAEA)のフローリー事務次長は12日、日本政府が福島第1原発事故の国際評価尺度(INES)を「レベル7」に引き上げたことを受けて記者会見し、福島原発事故と旧ソ連のチェルノブイリ原発事故は規模などの面で「完全に別物だ」と強調した。
フローリー氏は、福島第1原発の全ての原子炉が東日本大震災直後に停止したとする一方、チェルノブイリ原発は原子炉が試験運転中に爆発するなどの事態が発 生したと指摘。放出された放射性物質もチェルノブイリに比べ少ないとして、福島の事故をめぐる日本側の措置を「信用している」と述べた。(共同)
(2)「チェルノブイリと違う」 レベル7に東電副社長反論 (MSN産経ニュース 2011.4.12 22:45)(全文転載)(太字は投稿者)
東京電力福島第1原発の事故が、国際評価尺度(INES)で旧ソ連のチェルノブイリ原発と並ぶ最悪のレベル7に引き上げられたことを受け、12日夜 に記者会見した東電の武藤栄副社長は「今回の事故とは相当違う」と、あくまでも二つの事故レベルが異なるとの立場を崩さなかった。 評価レベル引き上げ後、経営陣として初めて会見に臨んだ武藤副社長は「重く受け止めている。ご心配、ご迷惑をお掛けし申し訳なく思う」と淡々とした表情で謝罪。「収束に向けて全力で取り組みたい」と述べた。
武藤副社長は、これまで東電が、チェルノブイリのような事故は日本の技術では起こらないと広報してきたことを指摘され「原子炉全体が暴走し、大量の放射性物質を短時間で放出したチェルノブイリ事故と比べ、今回は放出のされ方や量が相当違う」と反論した。
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(4) チェルノブイリ事故との比較 (平成23年4月15日)
長瀧 重信 長崎大学名誉教授
(元(財)放射線影響研究所理事長、国際被ばく医療協会名誉会長)
佐々木 康人 (社)日本アイソトープ協会 常務理事
(前(独) 放射線医学総合研究所 理事長)
首相官邸災害対策ページ内の「原子力災害専門家グループ」ページに掲載 http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g3.html (2011年8月29日閲覧)
[以下、全文を転載]
チェルノブイリ事故の健康に対する影響は、20年目にWHO, IAEAなど8つの国際機関と被害を受けた3共和国が合同で発表(注1)し、25年目の今年は国連科学委員会がまとめを発表(注2)した。これらの国際機関の発表と東電福島原発事故を比較する。
長瀧 重信 長崎大学名誉教授
(元(財)放射線影響研究所理事長、国際被ばく医療協会名誉会長) 武藤副社長は、これまで東電が、チェルノブイリのような事故は日本の技術では起こらないと広報してきたことを指摘され「原子炉全体が暴走し、大量の放射性物質を短時間で放出したチェルノブイリ事故と比べ、今回は放出のされ方や量が相当違う」と反論した。
(3)保安院・西山審議官、BBCとのインタビューで、チェルノブイリとの違いを強張
Fukushima crisis 'no Chernobyl', says nuclear watchdog (4/12/2011)
http://www.bbc.co.uk/news/13045756 (last accessed 8/3/2011)______________________________
8月29日投稿
長瀧 重信 長崎大学名誉教授
(元(財)放射線影響研究所理事長、国際被ばく医療協会名誉会長)
佐々木 康人 (社)日本アイソトープ協会 常務理事
(前(独) 放射線医学総合研究所 理事長)
首相官邸災害対策ページ内の「原子力災害専門家グループ」ページに掲載 http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g3.html (2011年8月29日閲覧)
[以下、全文を転載]
チェルノブイリ事故の健康に対する影響は、20年目にWHO, IAEAなど8つの国際機関と被害を受けた3共和国が合同で発表(注1)し、25年目の今年は国連科学委員会がまとめを発表(注2)した。これらの国際機関の発表と東電福島原発事故を比較する。
- 原発内で被ばくした方 *チェルノブイリでは、134名の急性放射線障害が確認され、3週間以内に28名が亡くなっている。その後現在までに19名が亡くなっているが、放射線被ばくとの関係は認められない。 *福島では、原発作業者に急性放射線障害はゼロ(注3)。
- 事故後、清掃作業に従事した方 *チェルノブイリでは、24万人の被ばく線量は平均100ミリシーベルトで、健康に影響はなかった。 *福島では、この部分はまだ該当者なし。
- 周辺住民 *チェルノブイリでは、高線量汚染地の27万人は50ミリシーベルト以上、低線量汚染地の500万人は10~20ミリシーベルトの被ばく線量と計算さ れているが、健康には影響は認められない。例外は小児の甲状腺がんで、汚染された牛乳を無制限に飲用した子供の中で6000人が手術を受け、現在までに 15名が亡くなっている。福島の牛乳に関しては、暫定基準300(乳児は100)ベクレル/キログラムを守って、100ベクレル/キログラムを超 える牛乳は流通していないので、問題ない。 *福島の周辺住民の現在の被ばく線量は、20ミリシーベルト以下になっているので、放射線の影響は起こらない。
長瀧 重信 長崎大学名誉教授
佐々木 康人 (社)日本アイソトープ協会 常務理事
(前(独) 放射線医学総合研究所 理事長)
原典は以下の通り。
[注1]. Health effect of the Chernobyl accident : an overview Fact sheet303 April 2006 (2006年公表)
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs303/en/index.html
[注2]. United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation, SOURCES AND EFFECTS OF IONIZING RADIATION UNSCEAR 2008 Report: Sources, Report to the General Assembly Scientific Annexes VOLUMEⅡ Scientific Annex D HEALTH EFFECTS DUE TO RADIATION FROM THE CHERNOBYL ACCIDENT Ⅶ. GENERAL CONCLUSIONS (2008年原題/2011年公表) P64~
http://www.unscear.org/docs/reports/2008/11-80076_Report_2008_Annex_D.pdf
[注3]. (独)放射線医学総合研究所プレスリリース「3月24日に被ばくした作業員が経過観察で放医研を受診」2011.4.11
http://www.nirs.go.jp/data/pdf/110411.pdf
(「チェルノブイリ事故との比較」転載終わり}
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2011年9月16日投稿 上記「チェルノブイリ事故との比較」の批判 ― Peace Philosophy Centreさまのブログから
(1)IPPNW「チェルノブイリ健康被害」新報告と、首相官邸資料「チェルノブイリ事故との比較」との驚くべき相違
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_17.html (2011年9月16日閲覧)
(2)福島とチェルノブイリの原発事故の比較に関する首相官邸ホームページ専門家グループ解説の医学的疑問点: 医学博士 松崎道幸」
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/05/blog-post_22.html (2011年9月16日閲覧)
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2011年9月14日投稿
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110413/dst11041303140003-n1.htm (2011年9月14日閲覧)(以下、全文転載)(太字は投稿者)
福 島第1原子力発電所の事故に対する国際評価尺度(INES)が、急遽(きゅうきょ)「深刻な事故」とされる「レベル7」に引き上げられた。経済産業省の原 子力安全・保安院が、内閣府の原子力安全委員会の見解などを踏まえて発表した。暫定評価 とはいえ、レベル7の意味は非常に重い。
福 島第1原子力発電所の事故に対する国際評価尺度(INES)が、急遽(きゅうきょ)「深刻な事故」とされる「レベル7」に引き上げられた。経済産業省の原 子力安全・保安院が、内閣府の原子力安全委員会の見解などを踏まえて発表した。暫定評価 とはいえ、レベル7の意味は非常に重い。
INESの基準で最も重いレベルに相当するだけでなく、25年前に起きた史上最悪のチェルノブイリ原発事故とも並ぶからだ。日本政府の発表によって、世界の抱く福島事故の印象は、チェルノブイリ事故と完全に二重写しになって焼き付いてしまう。
≪保安院の発表には矛盾≫
菅直人政権は、レベル7評価の及ぼす影響を理解していないのではないか。事故の実態を国際社会に正しく伝え、誤解を是正していく活動に直ちに取りかからなければならない。
保安院の発表には矛盾がある。福島事故で放出された放射性物質の量は、チェルノブイリの10分の1に過ぎないと認めているではないか。レベル7の根拠は、 2号機が爆発した3月15日ごろの数時間、最大で毎時1万テラベクレル(テラは1兆)の能力を持つ放射性物質が外部に放出されていたと報告されたことである。しかし、今はその1万分の1に減っている。
経済産業省が事故後1週間で示した暫定評価は「レベル5」であった。それが今の時点で、いきなり7に引き上げられると、誰しも事態の急な悪化を想像してしまう。あるいは、何か深刻な状況を隠しているのではないかと疑心暗鬼にかられかねない。
一時的にレベル7の適合要件を満たしていたからといって、それだけで結論を下すのはいかがなものか。評価を引き上げ、発表を急がないと事故が拡大するという局面だろうか。だが、そういう要素は何一つない。唐突感と驚きを振りまいただけである。
福島事故とチェルノブイリ事故は重大度が全く違う。チェルノブイリ4号炉は、運転中に暴走して大爆発を起こし、炉心ごと吹き飛んだ。だから外部にばらまかれた放射能の量も汚染面積も比べものにならない。
福島事故では放射線被曝(ひばく)による死者が皆無であるのに対し、チェルノブイリでは約30人の発電所員らが死亡している。
福島では、4基の原発から放射性物質が漏れたのに加え、収束に日数を要しているものの最悪の方向には進んでいない。
国際関係では、東京などに拠点を置く海外企業の日本脱出に拍車がかかる可能性がある。外国からの観光客も日本を避ける。日本からの輸出産品への規制がさらに強まる恐れもある。
環境問題の打開のため、原発活用に舵を切ろうとしていた諸外国のエネルギー政策に及ぼす影響も一段と深刻なものになる。
1979年のスリーマイル島事故以来、凍結されていた国内原発の建設再開に着手していたオバマ米政権は、計画の見直しを余儀なくされかねない。
菅政権は、レベル7への引き上げに際し、世界に波及していく負の衝撃波を検討したのか。国際感覚が問われよう。
≪心配な輸出品への規制≫
国内へのレベル7ショックも甚大だ。相次ぐ大きな余震だけでも国民の平常心は揺らいでいる。そこに原発事故の深刻化を誤解させかねない発表が追い打ちをかけることになった。
東電以外の他電力の原発も運転継続が難しくなりつつある。首都圏や東北では、今夏に予想される電力不足の深刻化が心配だ。
大量の放射性物質を飛散させたチェルノブイリ事故でも、白血病の増加は確認されていない。政府はその科学的事実の周知に力を注ぐべきである。チェルノブイリでの最も深刻な後遺症は、被災者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)である。
日本でもその予防に努めるべきときに、不安を肥大させるだけのレベル引き上げは、不用意の一言に尽きよう。原発周辺住民の退避問題についても、非常時にお ける対外発表手法の改善が望まれる。今回の福島原発事故は、人災と天災の境界線上に位置するものである。日本の原子力発電の安全性回復に向けた努力を丁寧に世界に伝達していきたい。
事故レベルの確定は、その後でもよかったはずである。
(全文転載おわり)
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日本財団主催の国際会議「放射線と健康リスク」(2011年9月11、12日)の「国際専門家会議『放射線と健康リスク』 結論と提言」(2011年10月1日)(第4回福島県「県民健康管理調査」検討委員会 資料(平成23 年10月17 日)の中の「資料1」 http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/kenkoukanri_231017shiryou.pdf
(2011年11月5日閲覧)
(一部を抜粋)(太字は投稿者)
1)福島の原発事故。。。 今日まで、原発事故による急性放射線障害は発生していない。安定ヨウ素による甲状腺ブロックは、住民に対して原則施行されず、甲状腺の直接測定結果の報告では甲状腺被ばく線量は比較的低かったとされており、必ずしも服用の必要はなかったと考えられている。これらの事象に加えて、報告されている大気圏や海洋へ放出された環境放射能汚染レベルを考慮に入れると、避難民も含めて、一般住民への直接的な放射線被ばくによる身体的健康影響は、チェルノブイリに比べて限定的で非常に小さいと考えられる。チェルノブイリでは、高いレベルの放射性ヨウ素で汚染されたミルクを飲んだことで惹き起こされた小児甲状腺がんのみが、唯一放射線誘発の健康影響であると証明されている。しかしながら、福島原発事故の社会的、精神的、そして経済的な影響は、甚大であることが予想される。 。。。
福島事故とチェルノブイリ事故は重大度が全く違う。チェルノブイリ4号炉は、運転中に暴走して大爆発を起こし、炉心ごと吹き飛んだ。だから外部にばらまかれた放射能の量も汚染面積も比べものにならない。
福島事故では放射線被曝(ひばく)による死者が皆無であるのに対し、チェルノブイリでは約30人の発電所員らが死亡している。
福島では、4基の原発から放射性物質が漏れたのに加え、収束に日数を要しているものの最悪の方向には進んでいない。
国際関係では、東京などに拠点を置く海外企業の日本脱出に拍車がかかる可能性がある。外国からの観光客も日本を避ける。日本からの輸出産品への規制がさらに強まる恐れもある。
環境問題の打開のため、原発活用に舵を切ろうとしていた諸外国のエネルギー政策に及ぼす影響も一段と深刻なものになる。
1979年のスリーマイル島事故以来、凍結されていた国内原発の建設再開に着手していたオバマ米政権は、計画の見直しを余儀なくされかねない。
菅政権は、レベル7への引き上げに際し、世界に波及していく負の衝撃波を検討したのか。国際感覚が問われよう。
≪心配な輸出品への規制≫
国内へのレベル7ショックも甚大だ。相次ぐ大きな余震だけでも国民の平常心は揺らいでいる。そこに原発事故の深刻化を誤解させかねない発表が追い打ちをかけることになった。
東電以外の他電力の原発も運転継続が難しくなりつつある。首都圏や東北では、今夏に予想される電力不足の深刻化が心配だ。
大量の放射性物質を飛散させたチェルノブイリ事故でも、白血病の増加は確認されていない。政府はその科学的事実の周知に力を注ぐべきである。チェルノブイリでの最も深刻な後遺症は、被災者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)である。
日本でもその予防に努めるべきときに、不安を肥大させるだけのレベル引き上げは、不用意の一言に尽きよう。原発周辺住民の退避問題についても、非常時にお ける対外発表手法の改善が望まれる。今回の福島原発事故は、人災と天災の境界線上に位置するものである。日本の原子力発電の安全性回復に向けた努力を丁寧に世界に伝達していきたい。
事故レベルの確定は、その後でもよかったはずである。
(全文転載おわり)
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2011年11月5日投稿
日本財団主催の国際会議「放射線と健康リスク」(2011年9月11、12日)の「国際専門家会議『放射線と健康リスク』 結論と提言」(2011年10月1日)(第4回福島県「県民健康管理調査」検討委員会 資料(平成23 年10月17 日)の中の「資料1」 http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/kenkoukanri_231017shiryou.pdf
(2011年11月5日閲覧)
(一部を抜粋)(太字は投稿者)
1)福島の原発事故。。。 今日まで、原発事故による急性放射線障害は発生していない。安定ヨウ素による甲状腺ブロックは、住民に対して原則施行されず、甲状腺の直接測定結果の報告では甲状腺被ばく線量は比較的低かったとされており、必ずしも服用の必要はなかったと考えられている。これらの事象に加えて、報告されている大気圏や海洋へ放出された環境放射能汚染レベルを考慮に入れると、避難民も含めて、一般住民への直接的な放射線被ばくによる身体的健康影響は、チェルノブイリに比べて限定的で非常に小さいと考えられる。チェルノブイリでは、高いレベルの放射性ヨウ素で汚染されたミルクを飲んだことで惹き起こされた小児甲状腺がんのみが、唯一放射線誘発の健康影響であると証明されている。しかしながら、福島原発事故の社会的、精神的、そして経済的な影響は、甚大であることが予想される。 。。。
(抜粋終わり)
「国際専門家会議についての詳細はこちらから。
投稿者注:10月27日に発表されたフランスの放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の試算によると、6月の東電発表推計値の20倍にあたる量の放射性セシウムが海洋に流出したとされている。くわしくは、こちらへ。
【参考資料】
2011年10月30日投稿
東電による「福島第一での想定放出量」と「チェルノブイリで放出量」の比較
東京電力「東日本大震災における原子力発電所の影響と現在の状況について」 (日付なし)http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/images/f12np-gaiyou.pdf(2011年10月30日閲覧)
12ページ目の「INES(国際原子力・放射線事象評価尺度)」に掲載。
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