Monday, October 24, 2011

IX.9.「武器輸出三原則」緩和への動きが活発化

全国紙と通信社の報道によると、11月12、13両日にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に際して行われるオバマー野田会談をひかえて、日本政府が「武器輸出三原則」の見直し・緩和を鮮明にしつつある。かねてから日米軍事同盟の強化を持論にし、自衛隊の海外での武器使用拡大も唱えてきた前原誠司・民主党政調会長が、「武器輸出三原則」緩和についても先頭に立って論議を推し進め、政府に「提言」、「要請」した。その結果、当初懐疑的な態度を記者会見で表明していた藤村官房長官も、10月21日、政府として検討に入っていることを認めた。
インターネットで見る限り、この問題に関しては毎日新聞が最も精力的に報道してきた。10月24日午前現在、読売新聞(10月14日)と産経新聞(10月21日)の二紙が、11月のオバマ大統領との会見で野田首相が緩和を表明する意向だと伝えている。

以下、関連報道を早いものから時系列的に並べた。 これらの記事から見えてくるのは、米ワシントンでの発言でこの問題を「再燃」させた前原氏から、オバマ会談への「手土産」(産経新聞によれば)として緩和を表明するとされる野田首相まで、国民無視は言うに及ばず、国会でさえ議論せず、緩和への政策転換があわただしく進められている、ということだ。まさに、原発事故長期化・放射性物質拡散というどさくさにまぎれての動きだといえよう。

(1)(毎日新聞)「武器輸出三原則」見直し論が再燃 前原政調会長が口火 国際共同開発の潮流を受け(2011年10月11日)http://mainichi.jp/select/seiji/forum/file/news/20111005org00m010037000c.html (2011年10月24日閲覧)(全文を転載)(太字は投稿者)

■安保・防衛
 政府・民主党内で「武器輸出三原則」の見直し論が再浮上している。政策決定の要にいる前原誠司民主党政調会長が「見直すべきだ」と発言したことがきっかけだ。昨年末に閣議決定した新防衛大綱の策定過程でも検討されたが、国会対策や民主党内の異論などで先送りされた難題だ。しかし防衛省と産業界には 国際的な共同開発・生産の流れから取り残されるという強い危機感が募っている平和国家の基本理念との兼ね合いもあり、その是非を巡り論議が沸騰する可能性がある。

 前原氏の発言の舞台は米ワシントンで開かれた日米同盟に関するシンポジウムの講演だった同氏は武器輸出三原則について「見直さなければならな い」と明確に語り、「日本の防衛産業が共同技術開発への参画すら検討できず、最先端技術にアクセスできないことから生じるリスクを回避できる。装備品高騰 への対応も可能だ」とその理由を述べた。

 一方で「国際共同開発・生産に踏み込むと、日本の技術が第三国に移転される。慎重な議論は必要だ」とも発言。国際紛争に日本の技術が悪用され平和国家の理念に反しかねない事態が生じるおそれがあることも指摘することを忘れなかった。

 前原氏は外交・安全保障問題では民主党内随一の論客。しかも、野田佳彦政権下で、政府の政策決定への事前審査の権限が与えられた政調会長という要職に就いた人物の発言だけに、米側関係者の視線もことのほか熱かった。同じ講演で、日本の国際貢献の拡充に向けて、国連平和維持活動(PKO)の武器使用基準について「他国の軍隊を急迫不正の侵害から防衛できるようにすべきだ」と緩和すべきだとの考えも表明した。

 日米同盟の深化に向けて日本の主体的な防衛力整備は重要で、それを支える防衛産業の維持・育成が必要というのは前原氏の持論だ。帰国後、武器輸出 三原則とPKOで海外に派遣された自衛隊の武器使用基準の見直しについて、党政調の防衛部門会議で議論するよう指示したことを明らかにした。長い間の懸案 が与党・民主党の正式な政策論議のテーブルに載せられることになった。同氏は「武器の共同生産については党内で意見がまとまっている」と、党内の一部から 「唐突で、いつものパフォーマンスだ」との批判に反論している。

 武器輸出三原則は、東西冷戦真っ盛りの自民党の佐藤栄作内閣にさかのぼる。1967年4月の衆院決算委員会で佐藤首相が、(1)共産圏諸国(2) 国連決議により武器輸出が禁止されている国(3)国際紛争当事国またはそのおそれのある国--に対して武器輸出を認めないことを表明した。さらに三木武夫 内閣時の76年2月、三原則対象地域以外の地域についても「武器輸出を慎む」との政府統一見解を出し、事実上あらゆる地域への輸出が禁じられた。

 しかしその後、同盟関係にある米国から技術供与の要請が強まり中曽根康弘内閣時の83年1月、官房長官談話で対米武器技術供与への道を開いた。それ以後、支援戦闘機(F2)や弾道ミサイル防衛の関連技術など計20件の対米技術供与が認められている

 東西冷戦構造が崩壊した後、「冷戦時代の遺物」として三原則の見直しは自民党政権時代からいく度となく議論の俎上に載せられた。背景には90年代以降、国防予算削減への対応から米欧の軍需産業の統合・再編が激しくなり、国際的な共同開発・生産がグローバル化の進展に伴って世界的な潮流になってきている状況がある。

 日本の防衛産業は、三原則の縛りがあるため、民間企業でありながら生産する装備品がすべて防衛省・自衛隊向けに限られている。その生産額は約2兆円で、自動車産業の約20分の1にとどまっているが、関連企業が戦車で約1300社、戦闘機は約1200社、護衛艦では約2500社といわれ、その裾野の広いのが特徴だ。中小企業対策としても防衛産業の維持・育成は重要との声が高まっている

 防衛省と防衛産業界にとって現在の最大の懸念は、F2戦闘機の生産が今年度で計94機をもって終了した後、50年代後半から続いていた戦闘機生産 が空白期を迎えることだ。F2戦闘機は、80年代後半、日米貿易摩擦も絡んで国産か輸入かの外交問題になった。結果的に日米共同で開発されることになり、 対米武器技術供与のシンボル的な存在だ

 主力装備品の戦闘機は、最新鋭の技術が凝縮されており、同省は「防衛生産技術の基盤の維持と育成に極めて重要」としている。航空自衛隊の次期戦闘機(FX)の候補機種の一つとされるF35は、米、英、蘭、伊など9カ国により共同開発されたが、対米以外の共同開発を認めていない日本はカヤの外に置かれた。

 菅直人前内閣は昨年、新防衛大綱の策定にあたり、三原則を緩和した新たな基準を作、米国以外の国も含めた共同開発・生産に参加できるようにすることと、PKOで活用した重機など装備品を相手国に供与することを認めるように見直しをする方針だった。しかし、国会対策で社民党の協力を得る必要があっ たことなどから、最終的に菅氏は踏み切ることができなかった

 それでも新大綱で「装備品の国際共同開発・生産が先進国では主流。このような大きな変化に対応する対策について検討する」と明記し見直し論議への下作りをしている。また、中期防衛力整備計画(11~15年度)の期間中に「真に国内に保持すべき重要なものを特定し、その分野に維持・育成に注力する、 選択と集中の戦略を策定する」こととしている

 これを受けて、防衛省は有識者による「防衛生産・技術基盤研究会」(座長・白石隆政策研究大学院大学学長)を昨年12月発足今年7月にまとめた 中間報告「従来の国産か輸入かという二者択一論ではなく、国際共同開発・生産が選択できる枠組みが不可欠だ」と、武器輸出三原則の緩和を提起している。
2011年10月11日

(2)(毎日新聞)武器輸出三原則:見直し求め、民主防衛会議が政府に提言へ(2011年10月13日 21時49分)http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111014k0000m010088000c.html (2011年10月24日閲覧)(全文転載)(太字は投稿者)

民主党防衛部門会議(座長・榛葉賀津也元副防衛相)は13日、原則すべての武器輸出を禁じる「武器輸出三原則」の見直しを政府に求める方針を改めて確認した。前原誠司政調会長を通じて提言する。

党側は、武器輸出を例外的に認める基準として、▽完成品の海外移転は平和構築や人道目的に限定▽国際共同開発・生産の対象国は抑制的に▽相手国との間で第三国移転の基準と体制整備--の3点を要求する。 

民主党は、昨年12月の党常任幹事会で三原則見直しを盛り込んだ「防衛計画の大綱(防衛大綱)見直しに関する提言」を了承。しかし、党内の護憲派や政権運営への協力を期待していた社民党が反発したため、当時の菅政権は防衛大綱での明記を見送っていた。

前原氏は今年9月、国内の防衛産業が最先端技術に参画できるよう三原則を見直すべきだとの考えを示している。部門会議は三原則見直しに積極的な前原氏を後押しした形だが、党内の慎重論は根強く、調整が難航する可能性もある。【朝日弘行】
毎日新聞 2011年10月13日 21時49分


(3)(読売新聞)武器輸出3原則を緩和、米大統領に表明へ (2011年10月14日03時08分) http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111014-OYT1T00078.htm (2011年10月24日閲覧)(全文転載)(太字は投稿者) 

 野田首相は、原則としてすべての武器と関連技術の輸出を禁じる政府の武器輸出3原則を緩和する意向を固め、11月に行われる見通しの日米首脳会談で、オバマ大統領に表明する調整に入った。

複数の政府筋が13日、明らかにした。緩和は、世界的な潮流である武器の国際共同開発・生産への参加に道を開くもの で、巨額の財源が必要な防衛装備品調達のコストダウンにもつながる。米国は、日本の高い技術力を共同開発に生かすことを以前から求めており、首相は、日米同盟の強化にも資すると判断した

武器輸出3原則は、冷戦時代の1967年、佐藤内閣が共産圏諸国や紛争当事国などに武器や関連技術の輸出を認めない方針を打ち出したのが源流で、三木内閣が76年、対象をすべての国に広げる見解を出した。

今回の緩和は、輸出を禁じる対象国を限定し、国連決議など国際的な武器の輸出管理規制に参加する国に限って共同開発・生産を行うことなどが柱。緩和により、戦闘機や艦船、ミサイル防衛など重要装備の国際共同開発に日本企業が参加できるようになる。また、人道支援のための装備品輸出も可能になる
(2011年10月14日03時08分  読売新聞)

 (4)(毎日新聞)武器輸出三原則:見直し論議に否定的見解 官房長官(2011年10月14日 12時58分(最終更新 10月14日 13時19分))http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111014k0000e010062000c.html (2011年10月24日閲覧)

藤村修官房長官は14日午前の記者会見で、武器輸出三原則について「政府として何か今、変更するということではない」と述べ、現時点での見直し論議には否定的な見解を示した。一方で、民主党防衛部門会議が13日に前原誠司政調会長を通じて政府に見直しを求めることを決めたのに対しては「要請された時点で、そこから検討が始まる」とも述べた

一川保夫防衛相も14日午前の記者会見で「具体的にどうするという方向を決めたわけでもない」としつつ、部門会議の意見を踏まえ「政府でしっかり議論して方向性を出した方がいい」と述べた。【朝日弘行】
毎日新聞 2011年10月14日 12時58分(最終更新 10月14日 13時19分)

(5)(毎日新聞)武器輸出三原則:首相が見直しに前向き(2011年10月14日)http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111015k0000m010046000c.html (2011年10月24日閲覧)

野田佳彦首相は14日、武器と関連技術の輸出を原則禁止する武器輸出三原則に関し「(昨年12月の)新防衛大綱に書いてある通りだ。平和国家の理念を堅持しながら、そのあり方については、具体的な不断の検討は必要だ」と述べ、見直しに前向きな考えを示した。視察先の横浜市で記者団に語った。民主党 の前原誠司政調会長は武器の共同開発・生産への参加を可能にするため見直しを主張しており、首相発言はこれを事実上容認したとみられる。

民主党は13日の防衛部門会議で見直しを政府に求める方針を確認した。首相は「党で議論していることは承知しているし、これからの参考にしたい」と述べ、党内情勢を踏まえて判断する意向も示した。

ただ、11月に予定されているオバマ米大統領との会談の際に見直しを表明するとの見方については、「事実ではない」と明確に否定した民主党内には異論があり、政権が連携を模索する公明党でも見直しへの反対論が根強いことから、首相は表明する時期を慎重に見極める考えとみられる。

武器開発は開発・製造コストの高騰から、国際共同開発・生産が主流になっている。しかし、日本は三原則が制約となり、米国などが行っているF35 の共同開発に加われなかった。このため、年末に決める次期主力戦闘機(FX)も、他国から購入せざるを得ず、割高になるとの指摘がある。防衛予算が縮小さ れる中、防衛産業にはこのままではじり貧になるとの危機感も強い。米国も日本の技術を活用するために見直しを求めてきた。

見直しを巡っては、昨年12月の「防衛計画の大綱」(防衛大綱)策定の際、当時財務相だった首相や外相だった前原氏ら関係4閣僚は見直し方針で一致した。だが、社民党の反対で大綱への明記を見送っていた。【朝日弘行、中島和哉】
毎日新聞 2011年10月14日 19時37分

(6)(msn産経)首相、武器輸出三原則緩和に前向き「不断の検討必要」(2011.10.14 22:59) http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111014/plc11101422590023-n1.htm (2011年10月24日閲覧)(全文を転載)(太字は投稿者)

 野田佳彦首相は14日、武器輸出三原則に関し「あり方について不断の検討が必要だ」と述べ、緩和に前向きな考えを示した。視察先の横浜市で記者団の質問に答えた。

 三原則緩和は、世界の趨勢となった戦闘機などの国際共同開発に日本の防衛産業を参加可能にするための措置。三原則は昭和42年の佐藤栄作首相(当時)の国会答弁にすぎず法的拘束力はないため、官房長官談話で緩和方針を打ち出すことを想定している。

 三原則の制約で日本は航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)候補のF35ライトニング2の共同開発に参加できなかった。今後20年以内に予定される現主力戦闘機F15の後継機の共同開発に道を開くには三原則の緩和が不可欠となる。

 このため緩和に際しては、三原則の理念は維持しつつ、紛争当事国などへの輸出を禁じ、輸出管理が適正な国との共同開発を可能とすることなどが柱となる見通し。

 民主党も13日の防衛部門会議で、昨年11月に党外交安全保障調査会がまとめた提言をたたき台に早急な検討を政府に求めることを決めた。菅直人前首相も緩和を検討したが、社民党との連携を優先し見送った。

 (転載終わり)


(7)(時事通信)日本の武器輸出緩和を協議へ=来週の日米防衛相会談 (2011/10/21-10:28)http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011102100211 (2011年10月24日閲覧) (全文転載)(太字は投稿者)
【ワシントン時事】米国防総省高官は20日、来週訪日するパネッタ国防長官が、一川保夫防衛相との会談で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画履行を再確認するとともに、日本政府が検討を進めている武器輸出三原則の緩和についても意見を交わすことを明らかにした

同高官は、日米防衛相会談では6月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で協議した内容が対象になると説明。米軍再編のほか、武器輸出三原則緩和やミサイル防衛、軍拡を進める中国、北朝鮮の核など地域の安全保障問題を挙げた。

2プラス2の共同発表では、日本政府が防衛装備品の国際共同開発・生産の流れに対応するための「検討を促進する」とし、米側は武器輸出三原則緩和に向けた日本の取り組みに期待を表明。野田佳彦首相も日米同盟強化の観点から三原則緩和を検討する姿勢を見せている

同高官は、難航している普天間飛行場移設について、「日米が合意した現行の移設計画は長年にわたる日本政府との協議を経てできたものだ」と述べ、現行計画履行に向けた方針を堅持することを改めて強調した。

パネッタ長官は21日に日韓などのアジア初歴訪に出発。日本には24~26日に滞在し、25日に野田首相、一川防衛相、玄葉光一郎外相と会談。在日米軍兵士との対話集会も予定されている。

訪日前の23日にインドネシア・バリ島での東南アジア諸国連合(ASEAN)国防相会議に出席。訪日後、韓国を訪れ、金寛鎮国防相らと米韓定例安保協議を行う。(2011/10/21-10:28)

(8)(時事通信)武器輸出緩和の検討認める=藤村官房長官 2011/10/21-19:12 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011102100659(2011年10月24日閲覧)(全文転載)(太字は投稿者)

藤村修官房長官は21日午後の記者会見で、原則として全ての武器と関連技術の輸出を禁止する武器輸出三原則の緩和について、「政府としても今検討に入っ ていることは事実だ」と述べ、具体的な検討を開始したことを明らかにした。野田佳彦首相は、11月に想定される日米首脳会談でオバマ米大統領に緩和の方針を表明することも視野に入れており、政府内の議論を加速させたい考えだ。

藤村長官は、民主党の前原誠司政調会長から先週、要請があったと説明。「防衛大綱見直しの過程で、防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対する方策を検 討することは明記されている」と指摘し、緩和検討の必要性を強調した。ただ、結論を得る時期については「はっきりといつまでにと検討しているわけではな い」と述べるにとどめた。

三原則が緩和されれば、米国をはじめ他国との間で戦闘機などを共同開発することが可能になるため、政府・民主党内には国内防衛産業の技術力アップにつながるとの期待がある。(2011/10/21-19:12) 

9)(msn産経ニュース)5つの対米公約表明へ TPP、武器輸出三原則… 来月の日米首脳会談(2011.10.21 01:37 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111021/plc11102101370002-n1.htm(2011年10月24日閲覧)(全文転載)(太字は投稿者)

野田佳彦首相は、11月のオバマ米大統領との首脳会談で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加や武器輸出三原則緩和など5つを「対米公 約」として早急に実現に移す考えを表明する方針を固めた複数の政府高官が明らかにした。日米最大の懸案となっている米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市) 移設問題に進展の兆しがない中、米側がかねて要求してきた案件をすべてのまざるを得ない状況に追い込まれた。[投稿者註]

首相が表明する「対米公約」 は、(1)TPP交渉への参加(2)武器輸出三原則の緩和(3)南スーダンの国連平和維持活動(PKO)への陸上自衛隊派遣(4)牛海綿状脳症(BSE) 問題を機に実施された米国産牛肉輸入規制の緩和(5)国際結婚の子の親権に関するハーグ条約加盟-の5つ。

首相は、11月12、13両日にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に際し行われるオバマ大統領との会談で、5つの案件を早急に実現する考えを表明した上で、安全保障・経済の両面で米国との関係強化を打ち出す。

オバマ大統領は9月21日に米ニューヨークでの初の首脳会談で、普天間移設について「結果を求める時期が近づいている」と不快感を表明した上で、TPP、牛肉輸入規制、ハーグ条約加盟の3案件を挙げ「進展を期待する」と迫った。[投稿者註]

普天間問題では、名護市辺野古に関する環境影響評価(アセスメント)の評価書提出以上の進展が望めないだけに、首相は、TPPなど3案件に、かねて米側が求めてきた武器輸出三原則緩和と南スーダンPKOを「おまけ」に加えることで、オバマ大統領に理解を求める考えだという。[投稿者註]

加え て、オバマ大統領は来年11月の大統領選を控え、高失業率や反格差社会デモにあえいでおり、協調姿勢を打ち出す好機だと判断した。米側が韓国を「太平洋安 保の礎」と位置づけ、自由貿易協定(FTA)を推進するなど対韓関係強化に傾斜する動きに歯止めをかける狙いもある。

対米公約に武器輸出三原則緩和を加えた意義は大きい。戦闘機開発などで日本の技術への米側の期待は高く、北大西洋条約機構(NATO)加盟国などとの共同開発も可能となる。

一方、TPP交渉参加をめぐり民主党内は賛否が二分しており、首相が対米公約に掲げれば混乱に拍車をかける可能性がある。ハーグ条約加盟も、ドメスティック・バイオレンス(DV)からの母子保護などの観点から反対が根強い。

(転載終わり)

投稿者註:この記事でも使われ、9月21日のオバマー野田会談についての報道にも頻繁に現れた、オバマ大統領が野田首相に「迫った」(圧力をかけた)という表現には問題があるという指摘があります。詳しくはこの記事をご覧ください, Peace Philosophy Centre、「野田オバマ会談報道はおかしい 「琉球新報」10月1日の2記事 オバマ発言はねつ造と」
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/10/blog-post.html(2011年10月24日閲覧)



【参考資料】

(1)経済産業省 『武器及びその部分品等の輸出について』 http://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/sinsa-unyo/sinnseisyo-tenpsyorui-itiran/tenp1kou/bukioyobisonobubunhin.htm
(2011年10月24日閲覧)(ページ全体を転載)

武器及びその部分品等の輸出について

輸出注意事項56第5号・56貿局第38号
昭和56年 2月 2日 貿易局

 最終改正 輸出注意事項17第2号・平成16・12・24貿局第3号

平成17年1月20日 貿易経済協力局

 武器及びその部分品等の輸出について、政府は、「武器輸出三原則」及び昭和51227日に国会において表明した「武器輸出について」の政府方針(参考参照)に則り、厳格な運用を行っているところであります。
 しかしながら、最近、我が国から韓国内の企業向けに輸出貿易管理令上砲の部分品と認められるものを通商産業大臣の承認を受けずに輸出するという事例が発生しました。
 かかる事例の発生は、まことに遺憾であり、政府としては、上記方針に反して武器並びにその部分品及び附属品を輸出するようなことがあれば、今後とも断固たる姿勢で対処することとしております。
 輸出者各位におかれては、このような政府の武器輸出に関する方針を十分御認識のうえ、いやしくも政府の方針に反することのないよう十分注意して下さい。
 なお、輸出しようとする貨物が、輸出貿易管理令に基づき規制対象となっている武器等に該当するか否かについて疑義がある場合には、「特定貨物・役務取引 等の許可申請に係る事前相談及び一般相談について(お知らせ)」の規定に基づき、輸出しようとするものの依頼に応じ、回答しますので、念のためお知らせします。

(参 考)
武器輸出について
昭和51年2月27日
1 政府の方針
 「武器」の輸出については、平和国家としてのわが国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては、従来から慎重に対処しており、今後とも、次の方針により処理するものとし、その輸出を促進することはしない。
1)三原則対象地域については、「武器」の輸出を認めない。
2)三原則対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」の輸出を慎むものとする。
3)武器製造関連設備(輸出貿易管理令別表第1の第109の項など)の輸出については、「武器」に準じて取り扱うものとする。
2 武器の定義
 「武器」という用語は、種々の法令又は行政運用の上において用いられており、その定義については、それぞれの法令等の趣旨によって解釈すべきものであるが、
1)武器輸出三原別における「武器」とは、「軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるもの」をいい、具体的には、輸出貿易管理令別表第1の第197の項から第205の項までに掲げるもののうちこの定義に相当するものが「武器」である。
2) 自衛隊法上の「武器」については、「火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置 等」であると解している。なお、本来的に、火器等をとう載し、そのもの自体が直接人の殺傷又は武力闘争の手段としての物の破壊を目的として行動する護衛艦、戦闘機、戦車のようなものは、右の武器に当たると考える。

(注)
1「武器輸出三原則」とは、次の場合には原則として武器の輸出を認めないことを内容としている。
1)共産圏諸国向けの場合
2)国連決議により武器等の輸出が禁止されている国向けの場合
3)国際紛争当事国又はそのおそれのある国向けの場合
 したがって「三原則対象地域」とは上記(1)、(2)及び(3)の地域をいう。

2 「武器輸出三原則」上の「武器」には輸出貿易管理令別表第1に「部分品」又は「附属品」が規定されている場合は、その「部分品」又は「附属品」も含まれる。

注:平成311月の輸出貿易管理令の一部改正により、1-(3)の「第109の項」及び2-(1)の「第197の項から第205の項」は、「第1の項」に変わっております。

(2)(一般法人 安全保障貿易センター)『武器輸出三原則』のページ http://www.cistec.or.jp/export/buki3gensoku/index.html (2011年10月24日閲覧)

武器及びその部分品等の輸出について  (経済産業省HP)
国策となっている武器輸出三原則についての経済産業省通達です。  

(3)防衛生産・技術基盤研究会中間報告(2011年7月6日)

防衛省・自衛隊HP 防衛生産・技術基盤研究会のページから http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/seisan/houkoku/houkoku.html(2011年10月24日閲覧)

(4)防衛省・自衛隊HP 「防衛生産・技術基盤研究会」の設置について http://www.mod.go.jp/j/press/news/2010/11/29c.html(2011年10月24日閲覧)

防衛省では、「防衛生産・技術基盤研究会」を設置しましたのでお知らせします。

なお、本研究会の開催趣旨・構成員については、別紙1及び別紙2のとおりです。

(5)(毎日新聞)質問なるほドリ:武器輸出三原則、見直す動きがあるの?=回答・坂口裕彦 (2011年7月15日)http://mainichi.jp/select/wadai/naruhodori/archive/news/2011/07/20110715ddm003070115000c.html (2011年10月24日閲覧)(読みやすさのために、見出しと質問を太字にしました―投稿者)

<NEWS NAVIGATOR>
武器輸出三原則、見直す動きがあるの?

 ◇他国と共同開発、目的に コスト減狙い、なし崩し緩和の恐れ

なるほドリ 日本は武器輸出を原則禁止していたと思うけど「輸出しやすくしよう」という話し合いを米国としたそうだね。

記者 防衛省の研究会が6日、戦闘機などを他国と共同開発・生産するため「武器輸出三原則」の見直しを提案しました。日米の外務・防衛担当閣僚に よる6月の安全保障協議委員会(2プラス2)も国際共同開発参加に向け、「日本政府は現在行っている(三原則見直しの)検討を促進する」と文書を交わしま した。

Q 三原則とは?
A (1)共産圏(2)国連決議で禁止した国(3)紛争当事国--への輸出を認めないこと。76年に三木武夫首相(当時)が三原則の対象国以外の国への輸出も「慎む」と踏み込み、全面輸出禁止となりました。

Q 例外は?
A 83年に米国向けの武器技術供与を、04年にミサイル防衛の日米共同開発・生産を官房長官談話で例外としました。政府開発援助(ODA)によるインドネシアへの巡視船無償供与も認めています。

Q 見直しの背景は。
A 装備品のハイテク化、高価格化が加速する中、欧米諸国は財政負担を減らすため、開発、生産をほかの国と分担しています。しかし、日本の場合は、完成品、部品の国境を越えた移動を制限する三原則が障害になっています。また、財政難に苦しむ日本は防衛予算の抑制を進めており、注文数減少によるコ ストと販売価格の上昇、一層の注文減という悪循環に国内防衛産業が陥りかねません。そこで海外との共同開発でコストを下げようという動きが強まっているの です。

Q 問題はないの?
A 2プラス2は、日米が共同開発する海上配備型迎撃ミサイルの、米国から第三国への輸出を認めました。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題が行き詰まり、米国内の対日強硬論が強まる中、「ミサイルを輸出したい」との米国の要望に配慮する形で結論を急ぎました。日本が開発に携わったミサ イルが、米国以外に輸出されることは三原則の事実上の緩和です。歯止めとして、「日本の安全保障に資する場合」「国際平和や安定につながる場合」との基準を置きましたがいずれもあいまいで、日本の平和外交の理念である三原則がなし崩しになる恐れがあります。見直しの際には、対米配慮だけでなく国民への分かりやすい説明と透明性ある議論が欠かせません。(政治部)
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武器輸出三原則を巡るこれまでの動き
1967年 4月 佐藤栄作首相が衆院決算委で三原則を表明
76年 2月 三木武夫首相が衆院予算委で厳格化を表明
83年 1月 中曽根康弘内閣が米国向け技術供与を例外化
2004年12月 小泉純一郎内閣が米国との弾道ミサイル防衛システムの共同開発・生産を例外化
11年 6月 日米両政府が海上配備型迎撃ミサイルの米国から第三国への輸出容認を確認

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なるほドリコーナーへの質問をお寄せください。〒100-8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係 naruhodori@mainichi.co.jp
毎日新聞 2011年7月15日 東京朝刊

(6)(毎日新聞)前原政調会長:PKO武器使用基準「緩和すべきだ」 (2011年9月8日 11時27分(最終更新 9月8日 14時06分))http://mainichi.jp/photo/archive/news/2011/09/08/20110908k0000e010031000c.html (2011年10月24日閲覧)(全文転載)

【ワシントン古本陽荘】民主党の前原誠司政調会長は7日、ワシントンで開かれた日米同盟に関するシンポジウムで講演し、自衛隊の国連平和維持活動 (PKO)を拡充するため、他国の軍隊を防護できるよう武器使用基準を緩和すべきだとの考えを表明した。PKOなどで海外に派遣された自衛隊が一緒に活動する他国の軍隊を守るために武器を使用することは憲法で許される「必要最小限の武器使用」を超えると解釈されてきたが、前原氏は「急迫不正の侵害から防衛できるようにすべきだ」と提起した。

また、同様に憲法上、行使できないとされている集団的自衛権についても「未解決の課題」と指摘し、憲法解釈の見直しが必要との認識を示した。さらに、日本の防衛産業が戦闘機などの国際共同開発に参加できるよう「武器輸出三原則を見直さなければならない」と明言した。

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題については「一定の時間が必要だ」と述べ、問題の早期進展は困難との見通しを示した。「鳩山政権以 降、移設計画が転換されたことで沖縄に多大な迷惑をかけた」と率直に認めた上で、「米側から見て(物事が)全く進んでいないように見えても、進んでいることもあり得る」と米側に理解を求めた。

一方、台頭する中国については「既存の規則を変更しようとしているとの指摘がある」と語り、国際規範に従わせるため日米両国が連携すべきだとの考えを強調した。
毎日新聞 2011年9月8日 11時27分(最終更新 9月8日 14時06分)

(7) (東京新聞)【社説】ミサイル輸出 国是なし崩しにするな (2011年6月14日) http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011061402000045.html (2011年10月24日閲覧)(全文転載)(太字は投稿者)

北沢俊美防衛相はシンガポールでゲーツ米国防長官と会談し、日米で共同開発を進めているミサイルの第三国への輸出を認める方針を伝えた。武器の禁輸方針になぜ風穴を開けようとするのか。

このミサイルは、飛来する弾道ミサイルを迎撃するミサイル防衛(MD)システムに含まれる海上発射型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」で、一九 九九年から日米で共同技術研究を進めてきた。米国と日本が保有するイージス艦から発射するため、第三国への輸出は想定する必要がなかった。

風向きが怪しくなったのは、二〇〇六年六月、日米交換公文で事前同意のない第三国への供与を禁じた時点である。事前同意さえあれば、武器禁輸の例外扱いとなっている米国を経由して、日本の技術で製造されたミサイルを第三国へ輸出できる余地が生まれた。

米国はSM3ブロック2Aを地上発射型とする改造を進めている。オバマ米政権は核開発疑惑のあるイランの弾道ミサイルを迎撃するため、東欧にレー ダー、ミサイルなどのMDシステムを置き、地上発射型のSM3ブロック2Aを一八年にポーランドへ配備する計画を明らかにしている。

MDシステムの東欧配備は米軍が武器類を持ち込み、運用する。第三国への輸出は含まれないのに、日本に輸出容認を迫るのは、将来、SM3ブロック2Aを他国に売却する狙いと推測できる。

一方、日本側の狙いは、かなりはっきりしている。今月二十一日、日米安全保障協議委員会(2プラス2)の開催が見込まれているが、確定していな い。沖縄の普天間飛行場移設など日米が合意した案件が軒並み足踏みしているからである。せめて米国が求めるミサイルの第三国移転で正式合意できるならば、 2プラス2の開催が確実になるというハラだろう。

菅直人政権は、昨年十二月閣議決定した「防衛計画の大綱」に武器輸出三原則の緩和を含めようとした。連携を想定していた社民党の反対で先送りされたが、北沢防衛相に至っては一〇年一月、防衛産業が集まった賀詞交歓会で見直しをぶち上げている

ミサイルの第三国移転を認めれば、なし崩しのうちに武器輸出が解禁されかねない。ましてや菅政権は末期状態にある。日本は武器輸出三原則を堅持し、一発の弾丸も一丁の銃も輸出してこなかった。その国是を議論らしい議論もないまま転換してはならない

(転載終わり)
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2011年11月19日投稿

1. 「武器輸出三原則」見直しについての続報

11月12-13日のAPEC会議に際して行われたオバマ-野田会談についての日米両政府の発表、大手報道機関の報道には、武器輸出の問題は出てこない。


(1)外務省HP: 日米首脳会談(概要)平成23年11月18日 http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_noda/apec_2011/j_usa_1111.html (2011年11月19日閲覧) 

投稿者注:この概要は11月18日づけになっているが、、「野田総理大臣のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議出席」のページにある日米首脳会談(概要)へのリンクには11月13日の日付が書いてある。http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_noda/apec_2011/index.html%20

確かに、13日には既に概要は掲載されていた。 Satoko Oka Norimatsu さんが13日にツイートしている。

PeacePhilosophy Satoko Oka Norimatsu
外務省:日米首脳会談(概要) fb.me/1c6QXY0wB
11月13日

とすると、概要の内容は、18日に改定されたのだろうか?だとしたら、外務省のHPからは、何がどう改定されたのかわからない。 (それとも、単なる数字の打ちまちがいだろうか。。。?)

(2) The White House Office of the Press Secretary, Remarks by President Obama and Prime Minister Noda of Japan (November 12, 2011) [ホワイトハウス 報道官室 「オバマ大統領と日本の野田首相の発言(2011年11月12日)] http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2011/11/12/remarks-president-obama-and-prime-minister-noda-japan (2011年11月19日閲覧)


(3) The White House Office of the Press Secretary, Readout by the Press Secretary on the President's meeting with Prime Minister Noda of Japan (November 12, 2011) [日本の野田首相との大統領の会談についての報道官の読み上げ文(2011年11月12日)]http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2011/11/12/readout-press-secretary-presidents-meeting-prime-minister-noda-japan (2011年11月19日閲覧)  


2. 石井光太氏のブログ、石井光太 - 旅の物語、物語の旅 -より。

武器輸出について (2011年9月08日) http://kotaism.livedoor.biz/archives/2011-09.html#20110908(2011年11月19日閲覧)  

(転載はじめ)

武器の輸出条件を緩和させようという動きがあるらしい。
今後、武器市場にはロボット技術がかなり導入されるだろうし、その技術は今の所日本が一番。
八方ふさがりの経済状況のなかで、軍需産業の進出が「復興」の足がかりになるかもしれない、と考えているのだろうか。

が、僕は、ほんと、これだけはダメなのである。

日本にいると、武器を輸出することがどういうことか想像できない。
しかし、戦争している国に訪れると、それが痛いほどわかる。

以前、コンゴでゲリラ兵に話を聞いたことがあった。
戦争で捕虜として捕えられたゲリラ兵に塀の中で話を聞いたのだ。
そのゲリラ兵は、僕が日本人だと名乗ると、「日本製は素晴らしい」と言った。
何が素晴らしいのかと尋ねてみると、車が素晴らしいと思う。よく言われることなので、とりあえず「ありがとう」と答えておいた。
すると、その兵士はニッと笑ってこう言った。

つづきをよむ

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2011年12月23日投稿

(東京新聞)武器三原則緩和へ 共同開発参加認める(2011年12月23日) http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011122302000028.html (2011年12月23日閲覧)(全文投稿)(太字は投稿者)

27日にも閣議決定

 政府は二十二日、武器と関連技術の輸出を原則として禁止している「武器輸出三原則」を緩和し、国際共同開発・生産と人道目的での装備品供与を認める方針を固めた。二十七日の閣議で決定し、藤村修官房長官が談話を発表する方向で調整している。

 見直しは旧共産圏と紛争当事国、国連武器禁輸国への輸出を禁じた三原則は維持しながら(1)米国や友好国との国際共同開発・生産への参加(2)自衛隊が国連平和維持活動(PKO)などの海外派遣で使用した装備品の人道目的や平和構築目的での供与-を可能にする。

 政府は見直しに合わせて、官房長官談話に「国際紛争の助長を回避する」などの文言を盛り込み、平和国家の理念の堅持に努める方針を明らかにする。

 一九七六年に政府統一見解で事実上の全面禁輸を決めて以降、対米関連などの例外措置を除き、抜本的な見直しは初めて

 戦闘機などハイテク装備品の開発・生産では、高騰化した調達コストを下げるため、先進国の間では共同出資や分業が主流となっている。日本はこれまで三原則により、米国以外との共同開発には参加できなかった。

 防衛省は予算を効果的に使うため、共同開発への参加を認めるように主張。産業界も、国内の防衛産業基盤が衰退するとの懸念から緩和を求めていた

 民主党は昨年、国際共同開発の対象として武器輸出管理の厳格な国▽共同開発の相手国との間で秘密保持体制を整備-などの条件を示していた。
(転載終わり)

(2)(毎日新聞)武器輸出三原則:緩和、年内決定 27日にも 国際共同開発可能に (2011年12月23日)http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111223ddm001010051000c.html (2011年12月23日閲覧)(全文転載)(太字は投稿者)

政府は22日、戦闘機などの国際共同開発・生産と、国連平和維持活動(PKO)などで海外に持ち出した装備の他国への供与を可能とする武器輸出三原則の緩和を年内に正式決定する方針を固めた。27日にも官房長官談話として発表する方向で最終調整している。

戦闘機など最新鋭の装備は複数国による国際共同開発が主流となりつつあり、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)も米国など9カ国が開発中のF35に決定したばかり。防衛産業の育成や調達費の抑制のため、昨年12月、新たな防衛計画の大綱(防衛大綱)を策定する際にも三原則の緩和を検討したが、反対する社民党に配慮して見送った経緯がある。

政府は11月末以降、外務、防衛、経済産業各省の副大臣級会合(座長・長浜博行官房副長官)を3回開催。民主党が10年11月にまとめた提言を基に検討を進めてきた。官房長官談話は(1)装備品の海外移転は平和構築や人道目的に限定(2)国際共同開発・生産の対象国は同盟国の米国と北大西洋条約機構(NATO)加盟国などの友好国に限定(3)共同開発の相手国との間で第三国移転の基準と態勢を整備--を条件に三原則の例外を認める内容になる見通しだ。

政府関係者は「これまで個別に例外を認めてきたが、基準を作って整理する。武器輸出三原則自体は堅持する」と強調する。しかし、共同開発した武器や日本の技術が紛争当事国などに流出する懸念は消えず、民主党内の護憲派や公明党に慎重論も根強い。【朝日弘行】
毎日新聞 2011年12月23日 東京朝刊
(転載終わり)
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2012年3月11日投稿

2011年12月27日、政府は、武器の輸出を原則として禁じる「武器輸出三原則」の緩和を正式に決め、藤村官房長官の談話として発表した。これまでは、例外として輸出を認めるかどうか個別に判断した。これを抜本的に見直し、新たに設ける基準に従い、平和・人道目的や、国際共同開発・生産への参加であれば輸出を容認する。同日の安全保障会議(議長・野田佳彦首相)で了承し、閣議で報告した。

(msn産経ニュース) 藤村官房長官、武器輸出三原則緩和の談話発表 (2011.12.27 13:37)  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111227/plc11122713380014-n1.htm (2012年2月4日閲覧)(全文転載)
 
藤村修官房長官は27日午前の記者会見で、武器輸出を事実上全面禁止している武器輸出三原則について、国際共同開発・生産への参加や平和貢献・国際協力での装備品供与を例外として認める談話を発表した。同日の安全保障会議(議長・野田佳彦首相)で了承し、閣議で報告した。

政府はこれまで官房長官談話などで弾道ミサイル防衛(BMD)に関する日米共同開発など個別に例外を設定してきたが、談話では「包括的に例外化措置を講じる」と明記。昭和42年に佐藤栄作首相(当時)が三原則を表明してから初めて抜本的な緩和となる。

一方、「平和国家として国際紛争を助長することを回避するとの基本的理念を堅持する」として、共産圏や紛争当事国、国連武器禁輸国への輸出を禁止した三原則は維持する方針を強調した。目的外使用や第三国への移転については、日本政府の事前同意を義務付け、「厳格に管理が行われることを前提」として厳禁した。

戦闘機など高額な最先端装備品の調達は、複数国による出資や分業でコストを抑制する国際共同開発・生産が財政難の欧米では主流だが、 日本は三原則が障壁になり米国以外との国際共同開発に参画できない。談話では、米国以外の安全保障の協力関係国とも連携し、「防衛装備品の国際共同開発・ 生産を進め、最新の防衛技術を獲得し、わが国の防衛産業の生産・技術基盤を維持・高度化するとともにコストの削減を図るべきだ」としている。

平和貢献や国際協力については、自衛隊が国連平和維持活動(PKO)などの海外派遣で使用したヘルメットや防弾チョッキなど人を直接殺傷する可能性が低い装備品を派遣先の国に供与できるようになる。

武器輸出三原則は、佐藤内閣が政府の運用方針として国会答弁。51年には三木武夫首相(当時)がその他の国にも輸出を慎む政府統一見解を示し、事実上の全面禁輸となった。
(転載終わり)

(msn産経ニュース)武器輸出緩和、ハイテク装備品の国際共同開発に道 無人戦闘機も?(2011.12.27 22:37) http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111227/plc11122722380023-n1.htm (2012年2月4日閲覧)(全文転載)

武器輸出三原則緩和は、戦闘機をはじめ高度な技術開発と巨額な経費を要するハイテク装備品の国際共同開発・生産への参加に道を開くものだ。政府は これまで米国との弾道ミサイル防衛(BMD)共同開発などを除いて事実上の禁輸政策を続けたために、欧米諸国で主流になった国際共同開発・生産の枠組みか ら取り残されてきた。その遅れを取り戻すことが急務だ。(峯匡孝)

政府は共同開発国の相手として「わが国と安全保障面で協力関係にある米国以外の諸国」(藤村修官房長官談話)としているが、北大西洋条約機構(NATO)加盟国、豪州、韓国などが想定される。

20日に決定した航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の最新鋭ステルス戦闘機F35ライトニング2(米ロッキード・マーチン社)は米国主導で英国、イタリ アを含む9カ国の共同開発・生産の戦闘機だ。各国の開発費負担は異なるが、日本は三原則が障壁になって加われなかったため、参加国に比べ価格面などで不利 な条件を突き付けられるのは避けられそうにない。

欧米各国と同様に、日本政府も税収減や社会保障費の増大で財政難が続き、防衛関連経費はここ10年連続して削減され、現在の防衛力を維持、拡張するのは困難だ。また、F2戦闘機の生産終了で、国内での戦闘機生産にかかわる防衛産業の維持が喫緊の課題として残されている。

F35では実現できなかった国際共同開発・生産体制への参加わることで、将来的な装備品の調達コストを抑制できるほか、日本独自では開発が困難な最先端技 術の入手が期待できる。桜井修一官房副長官補は戦闘機開発を例に挙げ「日本は(完成機の)輸入かライセンス生産、国内生産の道しかなかった。友好国の技術 を取り入れれば、自国だけで作るより安くよりいいものが手に入る」と明言する。

例えば、「最後の有人戦闘機」ともいわれるF35の次世代機として、無人戦闘機の共同開発に日本が参加できれば、最新鋭の機体性能や武器、通信ネットワークといった国内の防衛産業にとって未知の最先端技術を入手できる可能性も開けることになる。
(転載終わり)

(msn産経ニュース)政府、JAXA法改正へ 平和目的規定を削除、安保分野での宇宙利用を促進 (2012.1.3 07:24) http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120103/plc12010307250004-n2.htm (2012年2月4日閲覧)(全文転載)

政府は、独立行政法人「宇宙航空研究開発機構」(JAXA)の設置法(JAXA法)を改正し、宇宙開発を平和目的に限定する項目を削除する方針を固めた。安全保障分野での宇宙利用促進が狙い。1月24日召集予定の通常国会に改正案を提出する。ミサイル防衛(MD)の精度向上に向け、偵察衛星や早期警戒衛星の研究開発が可能となり、中国の衛星攻撃兵器(ASAT)開発にも対抗できるようになる。

現JAXA法は、機構の業務を宇宙開発・研究、人工衛星の開発・打ち上げなどと規定するが、いずれも「平和目的に限る」としており、JAXAの活動は大きな制約を受けていた。

改正案では、平和利用規定を削除。宇宙開発の理念を定めた政府の宇宙基本法に合わせ「わが国の安全保障に資するよう行われなければならない」との規定を新たに盛り込む方針。

また、JAXAの所管を文部科学省から、文科省と内閣府の共管に改正。関係省庁が一体となって宇宙開発を進めることができるよう体制を整備する。

改正案提出に合わせ、内閣府に宇宙政策の司令塔となる「宇宙戦略室」や、統括役となる「宇宙審議官」を置くための内閣府設置法改正案も提出する方針。

宇宙開発をめぐり、衆院は昭和44年に全会一致で「わが国における宇宙の開発および利用の基本に関する決議」を採択。これにより、日本の宇宙開発は軍事以外の目的に限定された。

しかし、北朝鮮の核保有や、中国の軍事力増強を受け、日米両国はMDを推進。中国は対抗策としてASATを開発、平成19年1月には自国の人工衛星破壊に成功した。
このような情勢変化を受け、与野党は20年に宇宙基本法を制定。「非軍事」に限ってきた宇宙利用目的を世界標準の「非侵略」と再定義した。

■ 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙に関する基礎研究・開発を行う研究機関。平成15年10月に宇宙開発事業団、航空宇宙技術研究所、宇宙科学研究所 を統合した。国産ロケット「H2A」「H2B」の開発・打ち上げや、22年6月に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」の運用などを担ってきた。
(転載終わり)

(YOMIURI ONLINE) COME ON ギモン  Q. 日本は武器を輸出して「死の商人」になるの? (2012年1月5日)http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/qapolitics/20120105-OYT8T00356.htm (2012年2月4日)

Q. 日本は武器を輸出して「死の商人」になるの?

A. 厳格管理で懸念払拭

政府は昨年(2011年)12月27日、「武器輸出3原則」を緩和することを決めました。
これは、いわゆる「死の商人」のように、戦争や国際紛争をあおるような形で日本が武器を輸出する、ということではありません。

(毎日新聞)特集ワイド:今さらですが 武器輸出三原則 共同開発、供与進む緩和 「平和主義」守れる (2012年1月31日 東京夕刊) http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120131dde012010009000c.html (2012年2月4日閲覧)

 原則すべての武器の輸出を禁ずる「武器輸出三原則」が大幅に緩和され、友好国との武器の共同開発・生産や、国際協力のための供与が解禁された。生産コストの削減などのためだが、平和主義から生まれた三原則の形骸化を心配する声もある。今さらですが、「武器輸出三原則」とは?【宮田哲】

<中略>

◇武器輸出三原則緩和までの主な流れ

11年 9月7日 前原誠司・民主党政調会長が米国で「三原則」を見直すべきだと発言
8日 藤村修官房長官が「三原則の基本理念は堅持する。(見直しは)前原氏の持論」と否定
10月13日 民主党防衛部門会議が見直しの要求を確認
14日 野田佳彦首相が見直しに前向き発言
11月 4日 藤村官房長官が見直しの検討開始を表明
28日 見直しの副大臣級の初会合が開かれる。計3回開催
12月24日 一川保夫防衛相(当時)が緩和方針を表明
27日 安全保障会議(議長・野田首相)で、大幅緩和を決定。藤村官房長官が談話発表

=>全文を読む



【参考資料】

(1)日本国憲法
(昭和二十一年十一月三日憲法) 

政府のe-govサイトより

第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


(2)「防衛装備品等の海外移転に関する基準」についての内閣官房長官談話[PDF形式](H23.12.27)  首相官邸HP>官房長官談話等のページから転載

「防衛装備品等の海外移転に関する基準」についての内閣官房長官談話
平成二十三年十二月二十七日

政府は、 「平成二十三年度以降に係る防衛計画の大綱」 (平成二十二年十二月十七日閣議決定。以下「新大綱」という。 )を踏まえ、防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対する方策について慎重に検討を重ねた結果、次の結論に達し、本日の安全保障会議における審議を経て閣議において報告を行った。今後、防衛装備品等の海外への移転については、以下の基準によることとする。

一.  政府は、これまで武器等の輸出については武器輸出三原則等によって慎重に対処
してきたところである。

二.   他方、これまでも、国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則
等のよって立つ平和国家としての基本理念を堅持しつつ、 我が国が行う国際平和協力、国際緊急援助、人道支援、国際テロ・海賊問題への対処といった平和への貢献や国際的な協力(以下「平和貢献・国際協力」という。 ) 、弾道ミサイル防衛(BMD)に関する日米共同開発等の案件については、内閣官房長官談話の発出等により、武器輸出三原則等によらないこととする措置(以下「例外化措置」という。 )を個別に講じてきた。 

三.  新大綱においては、近年の防衛装備品をめぐる国際的な環境変化について、 「平和への貢献や国際的な協力において、自衛隊が携行する重機等の装備品の活用や被災国等への装備品の供与を通じて、より効果的な協力ができる機会が増加している。また、国際共同開発・生産に参加することで、装備品の高性能化を実現しつつ、コストの高騰に対応することが先進諸国で主流になっている。 」としており、政府は、こうした認識の下、平和国家としての基本理念を堅持しつつこのような大きな変化に対応するための方策について検討を行ってきた。 


 四.  今日の国際社会においては、国際平和協力、国際緊急援助、人道支援、国際テロ・海賊問題への対処等を効果的に行うことが各国に求められており、我が国は、平和国家として、国際紛争等を助長することを回避するとの基本理念を堅持しつつ、こうした平和貢献・国際協力への取組に、 より積極的・効果的に取り組んでいく必要がある。 
同時に、国際社会の平和と安定を損なうおそれがある防衛装備品等の不正な流通及
び拡散を防止するため、途上国等の輸出管理能力の強化に向けた支援などにも積極的に取り組んでいくべきである。
また、我が国は、これまで米国との間で安全保障に資する防衛装備品等の共同研
究・開発を行ってきたところであるが、国際社会が大きく変化しつつある中で、我が

国の平和と安全や国際的な安全保障を確保していくためには、米国との連携を一層強
化するとともに、我が国と安全保障面で協力関係にある米国以外の諸国とも連携して
いく必要があり、これらの国との間で防衛装備品等の国際共同開発・生産を進めてい
くことで、 最新の防衛技術の獲得等を通じ、 我が国防衛産業の生産・技術基盤を維持・
高度化するとともに、コストの削減を図っていくべきである。

五.   こうした観点から、政府としては、防衛装備品等の海外への移転については、平和貢献・国際協力に伴う案件及び我が国の安全保障に資する防衛装備品等の国際共同開発・生産に関する案件は、従来個別に行ってきた例外化措置における考え方を踏まえ、包括的に例外化措置を講じることとし、今後は、次の基準により処理するものとする。 

(1)平和貢献・国際協力に伴う案件については、防衛装備品等の海外への移転を可能
とすることとし、その際、相手国政府への防衛装備品等の供与は、我が国政府と相
手国政府との間で取り決める枠組みにおいて、我が国政府による事前同意なく、①
当該防衛装備品等が当該枠組みで定められた事業の実施以外の目的に使用される
こと(以下「目的外使用」という。 )及び②当該防衛装備品等が第三国に移転され
ること(以下「第三国移転」という。 )がないことが担保されるなど厳格な管理が
行われることを前提として行うこととする。

(2)我が国の安全保障に資する防衛装備品等の国際共同開発・生産に関する案件については、我が国との間で安全保障面での協力関係がありその国との共同開発・生産
が我が国の安全保障に資する場合に実施することとし、当該案件への参加国による
目的外使用や第三国移転について我が国政府による事前同意を義務付けるなど厳
格な管理が行われることを前提として、防衛装備品等の海外への移転を可能とする
こととする。なお、我が国政府による事前同意は、当該移転が我が国の安全保障に
資する場合や国際の平和及び安定に資する場合又は国際共同開発・生産における我
が国の貢献が相対的に小さい場合であって、かつ、当該第三国が更なる移転を防ぐ
ための十分な制度を有している場合でない限り、付与しないこととする。 


 (3)もとより、武器輸出三原則等については、国際紛争等を助長することを回避する
という平和国家としての基本理念に基づくものであり、上記以外の輸出については、
引き続きこれに基づき慎重に対処する。


(転載終わり)


(3)独立行政法人宇宙航空研究開発機構法
(平成十四年十二月十三日法律第百六十一号)

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14HO161.html

(4)宇宙航空研究開発機構(JAXA)HP宇宙航空研究開発機構法のページから
日本の宇宙法(宇宙法ページ)

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(1)(マガジン9)2012年 憲法どうなる? どうする? 第3回(その1)半田滋 「国是であったはずの武器輸出三原則の緩和。国会の論議さえなしに決定されたことは、大きな問題です。」(2011-02-01) http://www.magazine9.jp/kenpo2012/120201/ (2012年2月4日閲覧)

(2) 突然浮上した『武器輸出三原則の緩和・JAXA法改正』は、2004年の経団連の提言そのまんまだ!ざまあみやがれい!さまのブログより)(2012年2月4日閲覧)

武器輸出三原則の緩和と、軍事的な宇宙開発計画を可能にするJAXA法改訂を、2004年の経団連の「提言『今後の防衛力整備のあり方について』」との関連を分析。
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2012年4月11日投稿

(東京新聞)日英が武器共同開発 首脳会談 三原則緩和後初 (2012年4月11日 朝刊) http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012041102000105.html (2012年4月11日閲覧)(全文転載)

会談前にキャメロン英首相(左)と握手する野田首相=10日、首相官邸で
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野田佳彦首相は十日、英国のキャメロン首相と官邸で会談し、武器・装備品の共同開発を進める方針で合意した。日本政府は昨年十二月に武器輸出三原則に基づく事実上の禁輸措置を大幅緩和して以来、初めて共同開発に関する具体的な協議に踏み出す。

両首脳は、北朝鮮が「衛星」打ち上げと称する長距離弾道ミサイル発射について、弾道ミサイル技術の使用を禁じた二〇〇九年の国連安全保障理事会決議に違反するとして「深い懸念」を確認。自制を求めることで一致した。

武器の共同開発について米国以外と合意するのは初のケース。会談後、両首脳は共同声明を発表し「少なくとも一つの武器開発計画を早期に開始する」とし、日本側が条件に掲げる目的外使用や第三国移転の事前同意に関する取り決めを策定する方針を盛り込んだ。

日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)について野田首相は「早期の交渉入りに強い支持を期待する」と述べ、キャメロン首相は「英国は強力なサポーターだ。他の国を説得したい」と応じた。

国際的な課題への対応を協議する外相レベルの戦略対話の枠組み立ち上げを決定。イラン問題をめぐっては外交努力と経済制裁の両面から核開発放棄を求めるとした。

両首脳は東京電力福島第一原発事故に絡み、原発の廃炉や使用済み核燃料の管理について緊密な協力を確認した。

<武器輸出三原則の緩和> 1967年に佐藤栄作首相が(1)共産圏諸国(2)国連決議による武器禁輸国(3)紛争当事国-への武器輸出を認めな いと表明。76年に三木内閣が事実上、全面輸出禁止とした。83年に対米武器技術供与を、2004年に米国とのミサイル防衛の共同開発・生産を例外扱いと した。野田内閣は昨年12月、武器の国際共同開発・生産と人道目的での装備品供与を解禁する三原則の大幅緩和を決定。目的外使用や第三国移転について相手 国に事前同意を義務付けている。

(転載終わり)

(毎日新聞) 武器共同開発:三原則緩和後で初、英国と着手へ(2012年04月04日 10時26分(最終更新 04月05日 00時57分)) http://mainichi.jp/select/news/20120404k0000m010151000c.html (2012年4月11日閲覧)(全文転載)

日英両政府は3日までに、武器(防衛装備品)の共同開発に着手する方針を固めた。日本政府が昨年12月 に「武器輸出三原則」を緩和し、日本と安全保障協力がある国との間で武器・技術の国際共同開発・生産が解禁されてから初のケースとなる。野田佳彦首相は、 来日するキャメロン英首相との10日の首脳会談で、共同開発や技術供与の具体化に必要な政府間枠組みの構築に向け、正式に協議に入ることを確認する。

政府は、これまで武器輸出三原則の「例外」として、ミサイル防衛(MD)の日米共同開発・生産などを行ってきたが、米国以外の国と共同開発に踏み切るのは初めて。

三原則緩和を受け、オーストラリアやフランスなど複数の国が日本との共同開発に関心を示す中、英国を初 の共同開発の相手国に選んだのは、英国が特に日本の技術に期待感を示していることに加え、「昨年末の航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)選定の際、英国が 強く推したユーロファイターではなく米国中心に開発しているF35を選定した埋め合わせ」(政府筋)の意味合いもあるという。

防衛省はすでに担当者を英国に派遣し、具体的な共同開発案件について協議を始めている。ただ、武器輸出 三原則は緩和されたとはいえ、武器の国際共同開発・生産には高いハードルがある。目的外使用や第三国移転には日本の事前同意を義務付けており、第三国がさ らなる移転を防ぐ十分な制度を持たない限り同意しない仕組みだ。

このため防衛省幹部は「個別の案件より先に事前同意を得るための枠組み作りをする必要がある」と指摘。英国と具体的な案件を決めるには「1年くらいかか るかもしれない」との見通しを示す。「戦闘機などの大型案件ではなく装備品など小型のものから徐々に進める」(外務省幹部)意向だ。【横田愛、朝日弘行】

(転載終わり)
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2012年4月19日投稿

(東京新聞)【社説】英との武器開発 平和国家を汚さないか(2012年4月11日) http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012041102000131.html (2012年4月19日閲覧)(全文転載)

 日英両首脳が武器(防衛装備品)の共同開発で合意した。武器輸出を厳しく制限してきた日本が、武器の輸出や共同開発に積極姿勢へと転じれば、平和国家の体面を汚すことにならないか、心配だ。

 武器輸出や関連技術移転を禁じる武器輸出三原則は、冷戦下の一九六七年に佐藤内閣が打ち出し、七六年に三木内閣が確立した。

 その後、ミサイル防衛(MD)のために米国との共同開発を例外的に認めたことはあるが、昨年十二月、三原則を抜本的に緩和して米国以外との武器の共同開発を解禁したのは野田民主党内閣だ。

 解禁後、英国を含む多数の国から共同開発の打診があり、キャメロン英首相訪日にも軍事産業など多くの英財界人が同行している。

 武器を共同で開発すれば開発コストを抑え、相手国の技術力も活用できる。ともに財政事情が厳しく、防衛費削減と軍事・防衛産業の育成を迫られる日英双方の思惑が一致したのだろう。

 キャメロン首相はヘリコプターの共同開発に言及したようだが、どんな武器が対象なのかは両政府間でこれから検討するという。対象が決まらないまま話を進めるのは、とにかく共同開発を既成事実化したいからではないのか。

 英国側には高い技術力を持つ日本との共同開発で他国に売れる武器をつくり、自国の軍事産業を育てたいとの思惑があるのだろう。が、軍事的緊張が高まるアジアを武器売り込み対象として視野に入れているのなら看過できない。

 台頭著しい中国に対抗するためとはいえ、周辺国が最新鋭兵器を導入すれば、双方が軍拡を進め、地域が不安定化する「安全保障のジレンマ」に陥る可能性がある。

 野田内閣が三原則を緩和した際も共同開発の条件に「わが国の安全保障に資する場合」を挙げている。英国との共同開発がアジア・太平洋地域での軍事的緊張を高める結果になるのなら本末転倒だ。

 日本が武器輸出を禁止してきたのは国際紛争を解決する手段として武力の行使や威嚇をしない平和国家の崇高な理念からだ。

 武器輸出三原則と核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」という非核三原則を国是とした日本だからこそ、軍備管理・軍縮分野で影響力を持てたのではないか。

 武器輸出や共同開発をなし崩しで解禁すれば、日本の平和国家イメージを損ない、国益を毀損(きそん)する。野田佳彦首相はそのことをあらためて肝に銘じるべきである。

(転載終わり)


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