Tuesday, October 18, 2011

X.3.文部科学省が放射線等に関する副読本を作成

文部科学省は2011年10月14日、東京電力福島第一原発の事故を受けて作った、小学校、中学校、高校向けの放射線等に関する副読本を公表した。副読本は、13人から成る作成委員会(委員長=中村尚司東北大名誉教授)が編集し、放射線医学総合研究所など4団体が監修した。

(1)文部科学省HP http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/10/1309089.htm (2011年10月18日閲覧)

放射線等に関する副読本の作成について

平成23年10月14日
別添のとおり副読本を作成しましたのでお知らせします。

1.作成目的

東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故により、放射線や放射性物質、放射能(以下「放射線等」)に対する関心が高まっております。

  このような状況においては、国民一人一人が放射線等についての理解を深めることが社会生活上重要であり、小学校・中学校・高等学校の段階から、子どもたちの発達に応じ、放射線等について学び、自ら考え、判断する力を育成することが大切であると考えます。

そのため、文部科学省では、小学校・中学校・高等学校における放射線等に関する指導の一助としていただくために、放射線等に関する副読本を作成し、以下のとおり掲載しました。

なお、学校、教育委員会等には、印刷物が出来次第、校種別にご送付させていただきます。

2.掲載先

URL
http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/detail/1311072.htm
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1311072/index.html
(アクセス集中による閲覧制約を回避するため、2箇所に掲載しています。)

文部科学省ホームページ
トップ > 白書・統計・出版物 > 出版物 > その他 > 放射線等に関する副読本の作成について > 放射線等に関する副読本

資料

お問い合わせ先

文部科学省研究開発局開発企画課

電話番号:03-5253-4111(内線4129)
ファクシミリ番号:03-6734-4130

(2)放射線等に関する副読本作成委員会作成のイラスト入りまとめ (11頁)(2011年10月18日閲覧)

副読本作成委員会の名簿はこちら→ http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/10/__icsFiles/afieldfile/2011/10/14/1311072_05.pdf 

 監修:
社団法人 日本医学放射線学会 http://www.radiology.jp/
日本放射線安全管理学会 http://www.jrsm.jp/
日本放射線影響学会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jrr/
独立行政法人 放射線医学総合研究所 http://www.nirs.go.jp/index.shtml

(3)(日本経済新聞)放射線知識学ぶ副読本 文科省、小中高向け (2011/10/14 12:41) http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E3E1E2E6888DE3E6E3E2E0E2E3E39180E2E2E2E2;at=DGXZZO0195591008122009000000(2011年10月18日閲覧)

(記事全文を転載)(太字は投稿者)
文部科学省は14日、放射線の基礎知識を学ぶため、新たに作成した小中高校生向けの副読本を公表した。福島第1原子力発電所事故で児童生 徒や保護者の不安が高まり、どう教えるか悩む教員が多いことに対応した。放射線の性質や人体への影響、身の守り方などを紹介する一方、同原発事故には本文では言及しなかった

今月末にも全国の国公私立の小中高校と教育委員会に1部ずつ計約8万部を配布し、希望に応じて増刷する。14日からホームページでも公開。実際に授業で使うかは学校の自由という

小中高別に3種類あり、A4判約20ページそれぞれに対応した教員向け解説資料も作った。放射線が原発事故前から自然界に存在すると紹介。風邪のように伝染することはなく、医療や産業での利用例を挙げ、不必要に恐れないよう呼び掛けた。

大量に浴びるとやけどを負ったり、がんになったりすると明記。「100ミリシーベルト以下の低線量と病気との関係については明確な証拠はない」が、健康リスクを考え被曝(ひばく)量はできるだけ少なくすべきだとした。

原発事故などの際は放射性物質が体内に入るのを防ぐため、マスクを着け、規制値を超えた食品はとらないなど注意点も盛り込んだ。

福島第1原発事故は冒頭部分で作成の背景として言及したが、本文では触れていない。

同省は昨年度、原子力と放射線に関する副読本を初めて作成したが、事故後、原発の安全性を強調した部分が不適切と批判を受けたため、作り直 すことを決定。現職教員や放射線専門家ら外部有識者13人による作成委員会(委員長=中村尚司東北大名誉教授)が編集し、日本医学放射線学会など4団体が監修した

同省は編集方針について「作成委が議論し、放射線の基礎知識に絞った」と説明。原子力や原発に関する教育は「政府のエネルギー政策の方向性が決まった段階で検討する」としている。

放射線の授業は「脱ゆとり教育」の新学習指導要領に基づき、今年度から約30年ぶりに中学校で復活した。ただ指導法などのノウハウは乏しく、教え方に頭を悩ませる教員が多かった。

(転載終わり)

(4)(西日本新聞)小中高向け放射線の副読本 原発事故 ほぼ触れず2011年10月14日13:34)  http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/268323(2011年10月18日閲覧)

(記事全文を転載)(太字は投稿者)
福島第1原発事故を受け、文部科学省は放射線の基礎知識などをまとめた小、中学生、高校生向けの3種類の副読本を初めて作成した。事故後、福島県から県外に避難した子どもたちへのいじめなども起き、学校現場から「正確な知識を教える教材がほしい」との要望が相次いでいた。一般的な知識を詳しく紹介する一方、事故や健康への影響などについては、あまり触れていない。

副読本はA4判カラー刷りで22-18ページ。例えば高校編では、ガンマ線、中性子線などの種類や、半減期などの基礎知識を紹介。非常時には「長袖の服を着たりマ スクをする」など放射線から身を守る方法、医療や先端科学技術への利用-などついて、イラストを用いて説明。小学校編では、放射線が人から人へ伝染するこ とはないことなども紹介している。

一方、原発事故については、いずれも前書きで触れただけ。健康リスクについては「一度に100ミリシー ベルト以下の放射線を受けた場合、それだけを原因としてがんなどの病気になったという明確な証拠はありませんが、受ける量はできるだけ少なくすることが大切」(小学校編)などにとどまる。

現職教員や放射線の専門家でつくる委員会(13人)が執筆。事業費は約3600万円児童・生徒用と教員用を、10月末から全国の学校と教育委員会に1部ずつ配布。学校側の要望があれば、希望数を追加配布する。一般市民が見られるよう、文科省のホームペー ジでも14日から公表する。
=2011/10/14付 西日本新聞夕刊=

(転載終わり)

(5)(読売新聞)放射線副読本、本文では原発事故に触れず(2011年10月14日11時54分)http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111014-OYT1T00451.htm(2011年10月18日閲覧)

(記事全文を転載)
文部科学省は14日、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、放射線の基礎知識について内容を刷新した小中高校生向けの副読本を公表した。

昨年、初めて作成された副読本が原発の安全性を強調していたのに対し、今回は放射線関連の基礎知識に特化した内容となっている。福島第一原発事故には、前書きで触れただけだった。

同省や資源エネルギー庁は昨年、小中学校向けに原子力教育の副読本「わくわく原子力ランド」などを発行し、全国の小中学校に配布。原発の仕組みや、地球温暖化につながる二酸化炭素を排出しない利点などを紹介する内容だった。「大きな津波がおそってきても(原発の)機能が損なわれない」との記述もあり、福島第一原発事故後、内容に批判が集中したため、同省は使用を停止していた。

新しい副読本に原発関連の記述はなく、放射線の人体への影響を示す「シーベルト」などの単位の説明や、自然界にある放射線などを説明している。人体への影響については「一度に 100ミリ・シーベルト以下の放射線を人体が受けた場合、放射線だけを原因としてがんなどの病気になったという明確な証拠はありません」(小学生向け)と 記述したが、被曝(ひばく)量はできるだけ少なくすべきだと指摘している。
(2011年10月14日11時54分  読売新聞)

(転載終わり)

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2011年10月24日投稿

小出裕章・京都大学助教の批判 

(1)MBS「たね蒔きジャーナル」でのインタビューの録音 (2011年10月19日)
10月19日 子供たちのための新しい「放射線副読本」への批判 小出裕章(MBS)
(2011年10月24日閲覧)

(2)ざまあみやがれい!さまによる文字おこしを転載させていただきます。

小出裕章が批判! 子どもたちのためのエネルギーに関する新しい副読本に、「原発」の文字がない! 10/19 (2011年10月24日閲覧)

=====(文字おこし、ここから)
水野「小出さんこんばんは」
小出「こんばんは」
水野「そして東京に近藤さんです」
近藤「ああ、よろしくー、おねがいしまーす」
小出「こんばんは。おねがいします」
水野「まず、子供たちへの影響の問題なんですが」
小出「はい」
水野「このところ東京、そして今日は神奈川県小田原市の小学校でも問題となる値の放射性物質が検出されて来ています。で、こうしたときにやはり、子供たちに今どういうことが起こっているのかをちゃんと科学的に伝えるって、非常に大切な事かとわたくし思うんですが」
小出「はい」
水野「そうした声もあるのでしょう。文部科学省がエネルギーに関する教育の副読本を、今までのものとは内容を変えて登場させました」
小出「はい」
水野「これまでのものは、なんとタイトルが『わくわく原子力ランド』って言うてたんでしたね」
小出「はい」
水野「(苦笑)。これは大きな地震や津波にも、原子炉などの重要な施設は耐えうると、いう内容が書かれていたようで、さすがに文部科学省がこれは変えました。で、その変えた新しい内容、小出先生もご覧いただいていると聞いているんですが。」
小出「はい」
水野「まず、これ小学生のためのもの、中学生のためのもの、などございますが」
小出「はい」
水野「この小学生のためのものの副読本をご覧になって、ご感想いかがですか」
小出「えー……ウソは付いていないと」
水野「ウソは付いていない……」
小出「はい。しかし必要なことは書いていないと思います(咳)」
水野「例えば一例としてどういう事でしょう」
小 出「えー……。これまで、今水野さんおっしゃったように小学校でも中学校でも副読本で原子力はこんなにいいもんだと、放射線の障害なんてけして引き起こし ませんと、そういう教育をしてきたのだと思いますが。それが事実としてひっくり返ってしまったときに、えー、それらに全てに、全て、口をつぐんでですね、 なにか放射線というものの基礎的な話だけに、えー……後退して。それでもその医療上で役に立つとかですね、いろんなものが眼に見えるようになる、……眼に 見えるというか、知識がえられるようになるとかですね」
水野「えー、研究に役立つとかね!」
小出「はい(笑)」
水野「調査や研究に役立つとかねえ。細菌を退治するとか」
小出「はい」
水野「そういうメリットについては……」
小出「そうですね」
水野「大きく掲げてますねえ」
小出「はい。でも、一番今大切な事は福島第一原子力発電所の事故で、放射性物質が子どもたちの周りにも飛んできてるわけですし。それでこれから長い間被曝をしながら危険を負うということになってるわけですから。そのことについてこそ私は書くべきだと思うのですが」
水野「はい」
小出「いったいどうな……どういう人達なのかなと。私は思いました」
水野「あの……原子力発電所という文字が出てきますのは……」
小出「(苦笑)」
水野「一番初めに出てきます……」
小出「はい(苦笑)」
水野「『初めに』というタイトルのところだけに、福島第一原子力発電所で事故が起こったという事実は書いているんですが」
小出「はい」
水野「そのあと本文に入りますと、原発の文字は、1回も出てこなかったように思いますね」
小出「そうですね。私もそう思いました」
水野「えー……、例えば、『事故の時に身を守るにはどうしたら良いか』というページがありますけれども」
小出「はい」
水野「こんなふうに記述があります。『放射性物質を利用している施設の事故によって』って書いてます」
小出「(苦笑)」
水野「これ多分……原発のことだと思うんですけど」
小出「本当はそうですよね(苦笑)」
水野「原発とは書かない……」
小出「はい(苦笑)」
水野「というようないろいろな工夫がなされていると、思いますが……」
小出「そうですね。」
水野「えー……。近藤さんはご覧になりましたか?」
近藤「はい。あのー……、これは……なんちゅうんでしょうねえ。新聞とかテレビのニュースでご存知の原発の事故はありましたという前提のもとで、独立した文章にはなってないと思いますねえ。」
水野「はあ!」
近 藤「つまり、なんて言うんでしょう。教科書なら副読本なら副読本として、ここに、あの、1つの独立した文書として存在してるわけですから。なぜこういうふ うなものを作ったかという、目的、意識っていうか、そういうものが先に来ないと、これ見たときにものすごい違和感ありますよねえ」
水野「んー……」
近藤「何のためにこれを作ったんだという」
小出「(苦笑)」
水野「まあ、『一応皆さん疑問や感じてる人が多いと思って、放射線について解説・説明した副読本を作成しました』と、初めのところに書いてはありますが。この」
近藤「これ……要するに……」
水野「福島の問題と絡めて、本文の中で、何が起こったんだよということは全く無いですね」
近藤「その……必要性がどこからか出てこういうの作られたわけでしょ?」
水野「はい」
近藤「そ、でもこれぱっと見て行ったときに、むしろ安心させるっていいますかね」
水野「ええ……」
近藤「放射線ってのは別に身の回りにこんなにあるんだよと」
水野「あの普段自然から受ける放射線がいっぱいあるんだよっというイメージが強いように思いますねえ」
近藤「あります。だから危機意識ってのが非常に希薄で、これを読めば何かしら安心する感じすら、僕は持つんですよ」
水野「私もそういう感じが……あるんですが」
近藤「あの、小出先生がよく仰る、もともと地球上に存在しないものが溢れ出てるわけでしょ?」
小出「そうです(苦笑)」
近藤「ところがこれを読む限りは元々あるもんで、だから別に心配ないんだよという、そういうなんか全体のトーンになってるような……きがしてしかたがないんですがねえ」
小出「はい……何として原子力を進めていきたいという下心がみえみえのように私、には思えます」
近藤「これはよくないですねえ、ほんとに」
小出「はい」
水野「まあ放射線……を理科というか物理学的に見たらこうだよという話はあるんでしょうけれども」
小出「はい」
水野「社会の中で、私たちは今、放射線というものとどう付き合わなければいけないのか、そういう実態になってるのかという話がないように思いますね」
小出「そうですね」
水野「それから、これはどうでしょう。『事故が起こったときに心構え』のところで。また、放射線を使っている施設で事故が起こったらって話が書かれているんですが」
小出「……」
水野「国や県からの、避難などの指示が出され、この指示に基づいて行動しなさいってことなんですね。で、正確な情報を元に行動をすると、いうふうに大きく掲げられているんですが。この正確な情報ってなんなのかって、所こそが今、最大の問題ではなかったのかと」
小出「そうですね」
水野『思いますが」
小出「政府のほうが正確な情報を隠したということが事実であったわけですから。え……子供たちに正確な情報をと言ったところで子供たちはどうしていいかわからない、とおもいます。」
水野「この副読本を作っているのは文部科学省でして」
小出「はい」
水野「小出先生が事故直後から、とにかくSPEEDIの情報を……風向きが大切だから出すようにっておっしゃっていた、このSPEEDIを司っているのも、文部科学省なんですよね」
小出「はい、はい」
水野「それってどう受け止めたらいいんですか」
小出「(苦笑)」
水野「責任者が子供たちの副読本を作っているという仕組みなわけですね」
小出「そうですね」
水野「あの、一番子供に、どう今伝えるべきだと小出先生は思われますか」
小 出「いや、事実を伝えたらいいと思います。要するに原子力発電所というものはこれまで国が言っていたように安全のようなものではなかったし、事実として放 射能をまき散らしてそれによって汚染が生じて、被曝を、みんなが余儀なくされていると、言う事をまず伝えると。でその上でいかにしたら被曝が少なくできる かとかですね。放射線の基礎的な事に絡めて説明するというのは私はやり方だと思います」
水野「はい。どうもありがとうございました」
小出「はい」
水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生に伺いました」
=====(文字おこし、ここまで)
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2012年1月30日投稿

小玉重夫・東京大学大学院教育学研究科教授 「なぜ、『放射線教育』が必要か?」(『教職研修』2012年2月号、92-93)
http://311tgf.org/wp-content/uploads/2012/01/kodama-2012.pdf (2012年1月30日閲覧)

文科省の新しい放射線副読本の問題点を論じた部分を転載。



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2012年2月4日投稿

(たね蒔きジャーナル)文部科学省の「放射線副読本」を斬る!(2012年2月02日) http://www.youtube.com/watch?v=XY8YxSVQS1U&feature=youtube_gdata (2012年2月4日視聴)

元大阪市立小学校の教諭で脱原発の運動にも取り組んできた久保良夫氏が副読本の内容を検証。

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