Monday, September 26, 2011

X.2.「安全神話」復活の試み?

2012年2月14日投稿

横浜市の小中学校で、文部科学省が昨年10月に発表した『放射線等に関する副読本』を基にした教材を使って、放射線の基礎知識を教える授業が始まった。

『朝 日新聞』の報道によると、内容は放射線の性質や活用法についての説明が中心で、保護者からは、「放射能は役にたつ」という面が強調されて、子どもたちが 「大丈夫、安全」と思ってしまうのではないか、との不安の声が上がっているという。また、手探りで教える教員の間にも、「『安心神話』を振りまく授業にな りはし ないか」との懸念と戸惑いがあると同記事は伝えている。 

(朝日新聞)横浜市で放射線授業始まる 親ら不安の声、教員にも戸惑い(2012年2月10日) http://www.asahi.com/edu/news/TKY201202100321.html (2012年2月14日閲覧)(全文転載)

東京電力福島第一原発の事故を受け、横浜市立の小中学校で、放射線の基礎知識についての授業が始まった。内容は放射線の性質や活用法についての説明が中心で、保護者からは「放射線は怖くないと、子どもが思い込んでしまう」との不安の声も上がっている。

「私たちは今も昔も放射線がある中で暮らしています」。スイセンから放射線が出ていることを示す写真とともに、教材はこんな文言で放射線を説明する。X線などの活用法、放射線の単位や測定法、事故が起きた時の身の守り方などを解説している。

この教材は、文部科学省が昨年10月に公表した「放射線等に関する副読本」を横浜市教育委員会が要約し、A3判のプリントにしたもの。市教委は昨年12 月に教員向けの研修会を開き、年度内に授業をするよう求めた。小学校低学年で30分程度、中学校では100分程度の授業が始まっている。

緑区の小学2年の児童の保護者(41)は授業後、「放射能は役に立つ」という感想が多かったと聞いて不安になった。「子どもはスイセンや、X線の例など目新しい知識に注意を引かれ、『大丈夫、安全』という印象を持ってしまう」と心配する。

「事故前と今で身の回りの放射線量がどう変わったのかなど、今起きていることを教えて欲しい」

手探りで教える教員側にも戸惑いが広がる。旭区の中学校教諭(51)は「原発事故で多くの人が苦しんでいるのに、『安心神話』を振りまく授業になりはし ないか」。鶴見区の小学校教諭(56)は、「給食の汚染を心配して弁当を持参する子に対し、『心配しすぎ』という意見が出ないか」と懸念する。

市教委は「内容に偏りがあるという見方もあるが、公的に作られた副読本なので引用した。ニュースでも多く取り上げられるため、まずは基礎的な知識を学んでもらうのが狙い」と説明している。(星井麻紀)

■横浜市教委が作成した教材の抜粋
 
・放射線は、太陽や蛍光灯から出ている光のようなものです。
・目に見えていなくても、私たちは、今も昔も放射線がある中で暮らしています。
・放射線の利用が広まる中、たくさんの放射線を受けてやけどを負うなどの事故が起きています。
・自然にある放射線や病院のエックス線撮影などによって受ける放射線の量で健康的な暮らしができなくなるようなことを心配する必要はありません。
・一度に100ミリシーベルト以下の放射線を人体が受けた場合、放射線だけを原因としてがんなどの病気になったという明確な証拠はありません。しかし、(中略)放射線を受ける量はできるだけ少なくすることが大切です。
・事故が収まってくれば、それまでの対策を取り続けなくてもよくなります。

(転載終わり)

 【関連投稿】
 ―2012年2月14日の投稿はここまで。
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2011年9月22日、東電福島第一原発事故を受け、「原子力安全及び核セキュ リティーに関する国連ハイレベル会合」(United Nations High-Level Meeting on Nuclear Safety and Security)が潘基文(バン・キムン)国連事務総長の主催で初めて開かれた。その会議で演説した野田首相は、「原子力発電の安全性を世界最高水準に高める」と強調、原発輸出の継続も表明した。

3月11日から半年以上が経った今も、事故の収束すら見えてこない。原発からは放射性物質を出しつづけ、放射性汚染水は地下や海に流れこみ、溶融した炉心の位置や状態すらわかっていない。そんな「福一」の現状を見るとき、どうして原発の「安全性」 、ましてや「世界最高水準」の安全性などを真顔で語ることができるのか?

2011年3月11日に起きた東京電力福島第一原発の事故、そして事故収束の失敗で、日本の原発は絶対安全だという「安全神話」はわれわれの眼前でみごとに崩れ去ったように見えた。健康、家族、経済などあらゆる面で被害をこうむっている被災者、危険な放射線量・作業環境の下で非人間的な労働を強いられている原発作業員。無残な姿をさらして今も放射線を放出し続け、汚染水で地下水や海を汚し続ける原発。汚染がれきや増えつづける放射性汚泥の保管や処理も出来ないでいる現状、そして、とどまるところを知らない食品汚染。 

だが、(「福一」が収束するより速く)「安全神話」は修復されようとしている。 野田首相の国連での「安全宣言」もそうした努力のひとつだろう。国内では、事故以来、「安全」「安心」がキーワードになっているようだ。曰く、「安全な放射線のレベル」、「安心してもいい被曝量」。

3.11以来、放射線の「正しい理解」、「正しい怖がり方」についての啓蒙活動も盛んに行われてきた。おりしも、来年度からは、学指導要領改訂の結果、放射線教育が中学校で30年ぶりに再導入されることになっている。

今年6月24日のニューヨーク・タイムズ紙が、 原発業界や政府が原発併設のPR館や大金をかけた宣伝、学校教育を通じて、原発安全神話を子どもにも浸透させようとしてきたことを報じたが、いま、<学校で原子力や放射線についてどのように教えるか>という問題は、教師や生徒・保護者のみならず、広く日本社会全体にとっての関心事でなければならない。

こうした問題意識のもと、これに関連した報道記事や関連機関などを以下に掲載します。

【メデイアによる報道】

(1)(しんぶん赤旗)原子力教育 子どもたちに事実を 参院環境委 市田氏が迫る(2011年6月8日(水))(2011年9月26日閲覧)

(全文転載)(太字は投稿者)
日本共産党の市田忠義議員は7日の参院環境委員会で、小・中学校での「安全神話」に基づく原子力教育について抜本的に見直すよう求めました。

市田氏は、原子力施設の見学や副読本の普及、ポスターコンクールなどを行っている文部科学省の原子力教育支援事業について、「原発建設推進のためのエネルギー対策特別会計を原資としている。教育内容も原発推進にならざるをえない」と指摘しました。

福島第1原発での事故後、高木義明文科相が都道府県知事に出した通知(4月28日付)でも「風評被害等を考慮した放射線の正しい理解に関する取組について本交付金の活用を」と促していることをあげ、「まるで“放射線被害はたいしたことはないと教えろ”と言わんばかりだが、正確な情報を共有してこそ 風評被害も防止できる」と批判しました。

その上で市田氏は、「いま原子力教育でなすべきことは、事故を目の当たりにして事実を知りたがっている子どもたちに科学的な事実を教えることだ」 と強調。(1)「安全神話」の間違い(2)多様なエネルギーの可能性(3)放射線の有害さ―などをあげ、「安全神話」に基づく原子力教育のあり方について 抜本的に見直すよう求めました。

文科省の林久美子政務官は、副読本の差し替えや今年度のコンクールの中止を表明。「事実に基づき反省すべきは反省しながら、しっかりと次の世代の子どもたちに今回の事故を伝えていけるような教育のあり方を探っていきたい」と答えました。

(全文転載終わり)

(2)(琉球新報)県内でも「原子力教育」 全小中校に副読本 (2011年9月24日)(2011年9月26日閲覧)



(全文掲載) (太字は投稿者)
文部科学省が全国の教職員を対象に実施している原子力発電に関する研修で、1990~2009年までの20年間に少なくとも県内の教職員延べ343人が受講していたことが分かった。全国の受講者延べ約1万7150人の約2%に当たる。受講した教師からは「安全面ばかり強調していた」と違和感を訴える声が出ている文科省が作った原子力に関する副読本も県内全小中学校と教育委員会に配布されるなど、同省の「原子力教育」が原発の有無にかかわらず沖縄でも活発に続けられ、浸透していた

加藤彰彦沖縄大学長(児童福祉論)は文科省による教育現場への働き掛けについて「国の原発推進政策に沿い、事故があった際の危険性を十分に伝えずに原発の有益性を強調してきた」と偏りを指摘している

放射線利用の普及を目的とする財団法人・放射線利用振興協会などが研修を受託していた。研修は沖縄に技術者らを派遣して講義や実験を行い、放射線の性質などの基礎知識を伝える講師派遣と、原子力研究施設に教職員を招いて見学させるセミナーの2通りあった。受講者に交通費などが支給されたこともあった

10年度以降は九州などの研究施設に教職員を招くセミナーに形を変えており、沖縄からの参加者数などは不明。3月の福島第1原発事故後は多くの事業が募集を見合わせている

文科省研修の趣旨を「教職員が放射線の性質や社会で役立っている点などの基礎知識を習得し、現場で実践することを意識した内容構成で行ってきた。リスクの面も含めて説明している。ただ原子力発電への触れ方は今後、議論を要する」などと話している。

副読本は文科省が原子力教育支援事業で製作原発を「大きな地震や津波にも耐えられる」などと記述している「わくわく原子力ランド」(小学生向け)と「チャレンジ!原子力ワールド」(中学生向け)が本年度、県内全小中学校と教育委員会に計446部配布された。文科省は「不適切な記述は改修する」としている。新たな副読本の配布時期は未定

児童・生徒対象の原子力ポスターコンクールは昨年、県内から52件(全国6891件)の応募があり、原子力に関する課題研究コンクールは昨年県内から1校(全国35校)が参加。識者が学校に出向く出前授業は県内で昨年1回開かれている。(宮城隆尋)
(全文転載終わり)

(2)(下野新聞) 40年ぶり「放射線教育」 中学理科で来年度復活 県内各地研修の動きも
(9月25日 朝刊) (2011年9月26日閲覧)
(全文掲載)(太字は投稿者)
 学習指導要領の改訂により来年度、中学校理科で40年ぶりに教えるべき内容に加わった放射線。授業で扱ったことがない上、東京電力福島第1原発事故でデリケートな問題へと一変し、生徒にどう教えたらいいか困惑する教諭は多い。「子どもたちに正確な知識を伝えなければ」と、県内の教育現場も取り組みを始めている

16日、矢板市の塩谷南那須教育事務所。文部科学省主催の「放射線等に関する教職員セミナー」が開かれていた。

那須町の小中学校教員や塩谷地区の指導主事ら約40人が、丸いガラス容器をのぞく。「霧箱」と呼ばれる実験器具で、放射線が通った跡を見ることができる。身近ものの放射線量を測定する実験では、距離を離すことで数値が下がることを確認した。

那須町高久中の藤田和宏教諭は「学校が原発から90キロ圏にあるので影響を受けている。校庭の表土除去も行った。何が重要か学習することが大切だと思う」と真剣だった
教科ごとに勉強会を行う「中学校教育研究会理科部会」は独自に研修を実施した。

宇河地区の同部会は8月、帝京大宇都宮キャンパスで「放射線」「光と音」「光合成」の三つをテーマに講座を実施。それぞれ先着30人で募集したが、約100人の教諭のうち、半数以上が放射線の受講を希望したという。

同地区は昨年、同様の勉強会として東京電力主催の教員向けセミナーを利用。福島第1原発を見学していた。昨年と今年、2年連続で放射線のテーマを受講した宇都宮市内の男性教諭は「昨年は安全性を強調していたが、逆の事態になった」と複雑な表情を見せた。

こうした研修は同部会下都賀地区で6月に行われたほか、宇都宮市教委でも来年度前半までに実施できるよう検討に入っている。

理科教育を専門とする宇都宮大教育学部の人見久城教授によると、放射線が学習指導要領に盛り込まれたのは1972年の改訂以来

告示は東日本大震災前。『持続可能な社会の構築』のため、安定したエネルギー供給源として一歩理解を進めようという背景があったのだろう」と人見教授。その上で「状況が一変した今、教える、教わるという立場を越え、原子力とどうつきあうか一人一人が考えていけるよう導いていくのが教師の役目」と話している。
 (全文転載終わり)
 【政府(関連機関)の原子力教育情報提供サイト】
(1) 文部科学省 原子力教育支援情報提供サイト あとみん http://www.atomin.go.jp/
  •  教師のための資料・情報が主だが、児童・生徒用の「あとみんらんど」も用意
  • 教師用には、小学校、中学校、高等学校と分かれている 
  • 小学校、中学校、高等学校教師用のリンクには、それぞれ「先生用コンテンツ」と「児童・生徒用コンテンツ」がある
  • 盛りだくさんのコンテンツ: 先生用には、副教材、映像資料、実践事例・指導計画、イラスト・写真、図表、アトム博士の用語集、解説書、出前授業・セミナー情報。児童・生徒用には、動画、クイズ、ゲームなども
  • 高校の生徒用には、「進路情報」も 
  • 小学生用には「夏休み宿題サポート」のページも
  • カラフルで楽しいふんいきのウェブサイト。使い勝手も非常に良い
  •  サイトの運営は(財)日本原子力文化振興財団 科学文化部 教育支援センター

(2原子力教育情報ポータル Nuclear Educational Information Portal http://www.jaif.or.jp/jinzai/  

  •  原子力・エネルギー教育に役立つ知識や情報にアクセスしやすいよう、関連サイトを集めたリンク集
  • 社団法人日本原子力産業協会Japan Atomic Industrial Forum, Inc. (JAIF) が運営 http://www.jaif.or.jp/jinzai/
  • 「小学校総合学習」、「中学校理科」、「高専・大学・院生、業界情報」にわかれている 
  • 「授業や勉強の参考となる情報や資料集、施設見学や講師派遣のご案内、 就職関連情報」
  • 大学生用に原子力関連のインターンシップ情報も

(3) 経済産業省 資源エネルギー庁 「なるほど!原子力AtoZ」  http://www.enecho.meti.go.jp/genshi-az/index.html

   現在改定中(2011年9月26日現在)

 

 【非政府機関・個人のサイトやブログ】

(1)NPO法人 放射線教育フォーラム http://www.ref.or.jp/

「活動」→「内容」のページから、前文のみを転載 (太字は投稿者) 

NPO法人放射線 教育フォーラム」は放射線,放射能,原子力の専門家, 学校教育関係者の有志により1994年に発足し,2000年にNPO法人の認証を受けたボランタリ-組織で,エネルギー・環境及び放射線・原子力の正しい 知識を普及させることを目的として活動を行っています。当フォーラムは,人々の生活が科学技術の進歩の恩恵に依存しているにもかかわら若い人達に「理科離れ」が見られること,また,知識レベルの高い方々も放射線や放射能に対して過剰の不安感をもっており,そのことが原子力の平和利用を大きく妨げている現状を憂慮して、その改善に努力しています。活動の重点は,小・中・高等学校の教育,特に理科教育を改善し,放射線・放射能の正しい知識やエネルギー・環境 問題の教育の充実に置いて,以下に述べる活動をしています。 

 (前文転載終わり)

 役員

  • 理事長;松浦辰男(立教大学名誉教授)

(2)松浦辰男「これからの放射線教育のありかた」  (日付なし)(2011年9月26日閲覧)

(3)samakita 文部科学省の「原子力・エネルギーに関する教育支援事業交付金」4億8千6百万円Add Star (2011年9月26日閲覧)

10月2日追加 (東京新聞)原子力教育支援事業 6割以上一者応札 (2011年10月2日 07時12分)(2011年10月2日閲覧)

[10月7日追記 上のリンクは、10月7日現在削除されています。記事の内容に問題があったのかどうか、東京新聞に問い合わせてみます。]

(記事全文を転載)(太字は投稿者)  

本紙が情報公開請求で入手した入札資料によると、十七事業は入札価格と技術点で落札者を決める総合評価落札方式を採用。二年間で文科省は十三事業、エネ庁は四事業を計約十億円で委託した。

 このうち十一事業の応札は一者だけで、事実上の無競争だった。委託先の公益法人は計七団体原子力ポスターコンクールや原子力教育を支援するホームページの作成など、最多の七事業を日本原子力文化振興財団(東京)が受注した

 振興財団の役員名簿には、東京電力の清水正孝前社長や、関西電力の八木誠社長ら電力会社役員が非常勤理事に名を連ねている

 放射線測定器を学校に貸し出す事業は両年度とも日本科学技術振興財団(同)が落札。ここには文科省などの官僚OB三人が天下っている

 小中学校向けの副読本の作成は、旧通産省(現経産省)事務次官が理事に天下る日本生産性本部(東京)が〇九年度に受託。原発について「大きな地震や津波にも耐えられる」と記載しており、福島第一原発事故後の今年四月、当時の高木義明文科相が「事実と反した表現は見直す」と修正を表明した。同省は今後、放射線教育を重点化する方針だ

 委託事業の原資は、電力会社の販売電力に応じて課税される電源開発促進税電気料金に上乗せされており、最終的には消費者が負担している

 委託先が特定の公益法人に集中していることについて、文科省原子力課の担当者は「一般論として、どのような価格で入札するかなどは企業力の問題であって、民間か公益法人か、(官僚)OBがいるかいないかとは無関係では」と説明。「競争原理は働いている。入札説明書などの説明は丁寧に行っていると思うが、より分かりやすくを心掛けている」と話している。

(東京新聞)

(全文転載終わり)

2011年10月10日追加 (東京新聞) 原子力教育に過剰計上 交付金42億円、半分使わず(2011年10月10日 06時59分}(2011年10月10日閲覧)

(記事全文を転載)(太字は投稿者)
文部科学省が原子力教育を主な目的として進めてきた自治体への交付金事業で、同省が二〇〇二年度の制度創設から昨年度までの九年間に、教育現場の ニーズを大きく上回る計四十二億円の予算を計上し、ほぼ半分が使われていなかったことが分かった。予算が余っても、毎年度ほぼ同額の予算を計上していた。  

事業は「原子力・エネルギー教育支援事業交付金」。全国の小中学校や高校を対象に、文科省が都道府県を通じて支給してきた。一県当たり 一千万円が上限だが、福井、静岡県など原発立地自治体は増額が認められる。文科省は簡易型の放射線測定器や原発副読本の購入費などへの活用を期待してき た。

本紙の調べでは、交付金予算は毎年度、四億円台を計上昨年度までの総額は四十二億円に上ったが、実際に支出されたのは二十三億円で、予算の執行率は55%だった。

昨年度は、都道府県の三割近くが「学校のニーズがない」などとして申請すらしなかった。事業仕分けの影響もあり、ようやく文科省は本年度分について、昨年度より三割少ない三億五千万円を計上し、来年度の概算要求では三億二千万円に減らした

実際の交付金の使われ方をみると、原子力以外のエネルギー教材に活用するケースが目立った。全国最多の原発十四基が立地する福井県ですら、昨年度まで多くは風力発電機や燃料電池実験器などの教材購入に利用。原子力関連では、敦賀市の原発PR施設「あっとほうむ」を訪れる児童・生徒の見学費用などだった

文科省原子力課の担当者は「制度創設時は自治体の認知度も低く申請件数が少なかったが、近年は増加している。自治体の判断により、原子力も含めバランスよく(エネルギー教育に)取り組んでもらっている」と強調している。

交付金の原資は、電力会社の販売電力に応じて課税される電源開発促進税で、最終的には電気料金として消費者が負担しているエネルギー対策特別会計(エネ特会)から支出しており、文科省は余った予算をエネ特会に戻してきた

原子力教育をめぐっては、同省などが〇九~一〇年度に一般競争入札で教材作成などを委託した事業のうち、六割以上が一者応札だったことが本紙の取材で判明。落札したのはすべて官僚OBや電力会社の現役または元役員が理事などを務める公益法人だった

<原 子力教育> 2010年6月に閣議決定したエネルギー基本計画では、「小・中学生などの次世代層について、将来、原子力を含むエネルギーについて自ら考 え、判断するための基礎をはぐくむため」に原子力教育支援事業などを進めるとしている。09年3月に改定された高校の学習指導要領では、12年4月の入学者から、物理基礎で放射線や原子力の利用と安全性などを教える
(東京新聞)

(転載終わり)

【関連資料】

(1)(外務省HP)原子力安全及び核セキュリティに関する国連ハイレベル会合 野田総理大臣スピーチ (平成23年9月22日8:00-8:45(首脳セッション)、於:NY)(2011年9月26日閲覧) 【このページは、2011年9月26日午後9時現在、見られない状態になっています。】

2011年9月27日追加(首相官邸HP)原子力安全及び核セキュリティに関する国連ハイレベル会合野田総理大臣スピーチ

(2)(毎日新聞)野田首相:「原発輸出は継続」 国連原子力安全会合で演説 (2011年9月22日 22時18分(最終更新 9月22日 23時33分))(2011年9月26日閲覧)(全文転載)

【ニューヨーク高塚保、山科武司】野田佳彦首相は22日午前(日本時間22日夜)、米ニューヨークの国連本部で開かれた「原子力安全及び核セキュ リティーに関する国連ハイレベル会合」で演説した。東京電力福島第1原発事故の教訓をもとに「原子力発電の安全性を最高水準に高める」と強調。「原子力の利用を模索する国々の関心に応える」とも述べ、原子力関連技術の向上と原発輸出は継続する姿勢を鮮明にした。

野田首相は原発事故の収束へ向け、原子炉の冷温停止について「予定を早めて年内を目途に達成すべく全力を挙げている」と表明。これまでの原子力 政については「津波への備えに過信があったことは疑いがない。炉心損傷に至る過酷事故を想定した準備も不十分」と過ちを認め、その教訓から国内外で「原発安全性の総点検」を急ぐよう呼びかけた。

一方で「日本は再生可能エネルギーの開発・利用の拡大も主導する」とし、来年夏をめどに中長期的なエネルギー戦略を策定する考えも示した。ただ、 5月のドービル・サミット(主要国首脳会議)で再生可能エネルギーの数値目標を掲げた菅直人前首相と比べ当面の原発利用継続に重心を置いた演説となった。

会合は福島原発事故を受け、潘基文(バン・キムン)国連事務総長の主催で初めて開かれた。冒頭、潘事務総長は「事故は、従来の活動は許されないことを教えた。原子力の安全性を高め、関連国際機関の役割強化、国際的な対応強化が求められる」と訴えた。

会合ではフランスのサルコジ大統領らも演説。その後の閣僚級会合では玄葉光一郎外相が議長役を務める。

毎日新聞 2011年9月22日 22時18分(最終更新 9月22日 23時33分)

(全文転載終わり)

(3)(BSN新潟放送)首相、国連演説で「原発輸出継続」表明 (最終更新:2011年09月23日(金) 23:54) http://www.ohbsn.com/news/detail/jnnzenkoku20110923_10478.php(2011年9月26日閲覧)

【動画は9月30日現在削除されています】

(動画の書き起こしを新潟放送サイトから全文転載)

「福島第一原発の事故は人類が原子力にどのように関わっていくべきかという、深えんの問いを我々に改めて投げかけています」(野田首相)

国連本部で開かれた原子力安全に関する首脳級会合。

「国連本部前で脱原発を訴えるデモが始まりました」(記者)

会場の近くでは原発反対運動に取り組む日本とアメリカの複数の市民団体がデモを行いました。福島県川俣町から参加した佐藤幸子さんは、今回、ニューヨークやワシントンで原発事故の深刻さを伝えました。

「(福島の教訓から)本当に学びたかったら安全な原発などないのだということを学んでください」(佐藤幸子さん)

「特に子どもに関係する話を聞いて、涙が出そうになりました」(話を聞いた人)

野田総理は国連本部での演説で、福島第一原発の原子炉を年内に冷温停止する方針を明らかにするとともに、「事故のすべてを迅速かつ正確に国際社会に開示する」と約束しました。さらに・・・。

「日本は原子力発電の安全性を 世界最高水準に高めます」(野田首相)

野田総理は、こう宣言した上で「原子力利用を模索する国々の関心に応える」と語り、原発の輸出を継続する考えを表明しました。

「中長期的には原発への依存度を可能な限り、引き下げていくという方向性を目指すべきです」(野田首相、13日の所信表明演説)

10日前、国会ではこう訴えた総理ですが、国連では「脱原発依存」には直接言及せず、原発の利用に重点を置いた演説となりました。

演説を終え、大震災での各国の支援に感謝するレセプションを主催した野田総理夫妻。

「世界の平和と繁栄のために貢献をすることが、皆さまへのご恩返しだと考えています」(野田首相)

1時間後、会場から出て来た野田総理は、デモを行う人々のすぐ目の前で国連事務総長と握手を交わしましたが、デモの方に目を向けることはありませんでした。

「通りの反対側から声を上げている脱原発を求める市民グループの声、野田総理の耳に届いているでしょうか」(記者)
(23日16:13)
2011年09月23日(金) 18:29

 (動画の書き起こし転載終わり)

(4)福島の市民グループ NYで脱原発訴え uploaded by on Sep 23, 2011 (2011年9月26日閲覧)

福島県川俣町の農家の佐藤幸子さんは
ニューヨークの国連本部前で眼前に現れた野田首相に痛切に訴えた。
「野田首相、福島の子供達を守れないで原発の安全を世界中に言うなんて卑怯だ」

「去年と何も変わっていない美しい福島の風景の中に
確実に放射能は存在しています。
3月11日を境にして一変してしまいました。
農民が農地を捨てなければいけないこのつらさが
皆さんにお分かりになるでしょうか。
安全な原発は一つもないのだということを学んで下さい。
子供達の命のことを思えたら
今やらなければならないことは自ずと分かるはずです」

福島の市民グループ NYで脱原発訴え
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4833981.html

NY 福島の女性が原発廃止訴え
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110923/k10015799751000.html
http://megalodon.jp/2011-0923-1457-45/www3.nhk.or.jp/news/html/20110923/k1001...

福島の団体 NYで反原発訴える 国連本部前でデモ集会
http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011092301000202.html

(5)(47News)米紙、日本の原発安全神話に皮肉 PR施設「ファンタジー」 (2011/06/25 18:10)(2011年9月26日閲覧)

 【ニューヨーク共同】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は24日、福島第1原発事故に関連し、日本には原発の「安全神話」があると指摘、大金をかけた宣伝活動や教科書を使った学校教育を通じ、官僚や政治家が国民に原発の安全性と必要性を信じさせたと報じた。

また、各地の原発に併設されたPR施設を取り上げ「ファンタジー(夢想)でいっぱい」と皮肉った。
こうした施設を調査した学者の話を基に、かつては「技術の話に興味がある成人男性」を対象にした簡素な施設が、チェルノブイリ原発事故を機に若い母親の不安を払拭することを狙って「凝った

テーマパークに装いを変えた」とした。

2011/06/25 18:10   【共同通信】

6)(New York Times) ‘Safety Myth’ Left Japan Ripe for Nuclear Crisis (June 24, 2011)


Ko Sasaki for The New York Times
In Shika, Japan, a nuclear plant's visitor hall promotes nuclear power with “Alice in Wonderland” characters. More Photos »

(7)【東京電力】安全をうたった福島原発CM      http://www.youtube.com/watch?v=OET6nusv1Sg&feature=related

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