Saturday, September 24, 2011

II.G.3.原発事故対策統合本部主催共同記者会見へのフリー・独立系ジャーナリストの参加を制限する

例1)原発事故対策統合本部の共同記者会見へのフリー・独立系ジャーナリストの参加を制限する


<背景> 
3.11東電原発事故当初、政府と東電は、官房長官、保安院、東電が別々に記者会見を行っていた。それぞれ一日に複数回会見を行うこともあった。だが、4月25日からは、対策統合本部、保安院、東電、文科省、原子力安全委員会らが合同して、一日一回、対策統合本部主催で共同開催されるようになった。当初は平日毎日開催されていたが、7月25日から月曜日と木曜日の週2回となって、今日まで続いている。

<共同会見に事前登録制を導入>
それまで、保安院や東電の会見では、会見場の受付で名刺を渡し名前を記載するだけで参加できた。しかし、統合本部は、共同会見が始まる2日前に、 『福島原子力発電所事故対策統合本部の共同記者会見の実施について 』という文書で、事前登録制の導入を発表した。

 『福島原子力発電所事故対策統合本部の共同記者会見の実施について 』 (全文を転載。太字は投稿者)

                                                                    平成23年4月23日
                                                                            福島原子力発電所
                                                                            事故対策統合本部

4月25日(月)から、福島原子力発電所事故対策統合本部として、
野事務局長をはじめ、原子力安全・保安院、原子力安全委員会、文部科学
省、東京電力などが共同で、午後に一回
(午後5時を目途に)、定例の記
者会見を同本部の置かれている東京電力本店の3階会議室で開催するこ
ととします。
   なお、本記者会見には、下記の方々のご参加が可能です

    1 日本新聞協会会員
    2 日本専門新聞協会会員
    3 日本地方新聞協会会員
    4 日本民間放送連盟会員
    5 日本雑誌協会会員
    6 日本インターネット報道協会会員
    7 日本外国特派員協会(FCCJ)会員及び外国記者登録証保持者
    8 発行する媒体の目的、内容、実績等に照らし、1から7のいずれ
         かに準ずると認め得る者

    9 上記メディアが発行する媒体に定期的に記事等を提供する者(い
         わゆるフリーランス)

  メディアの方々は、別紙に記載された所定の手続きを行い、事前に登録
 してください
。(原子力安全・保安院のHP にも掲載されております。)

   なお、参加する方は、報道倫理を厳守するとともに、入館手続きや施設
内での移動・取材などに当たり、職員の指示に従ってください。職員の指
示に従わない場合等には、退出していただくこともあります


 【事前登録に関する問い合わせ先】
  原子力安全・保安院ERC広報班kyodokishakaiken-toroku@meti.go.jp
     ※ 電話でのお問い合わせには応じておりません                                                                                         以 上

別紙

  会見参加への事前登録は、下記の通りとさせて頂きますので、御理解の程よろしく お願いいたします。

 Ⅰ.事前登録の流れ

1.事前登録

    電子メールによる事前申請内容の送付(会見前日の正午まで) → 審査 → 会見参加の可否に関する通報 (原則として電子メールでご連絡を差し上げます)

   (一度、登録された場合は、2回目以降の会見参加の際の事前登録は原則不要と します。また、初回の会見参加の受付時に入構証を発給いたします。)

2.会見への参加

    会見参加のための開始時刻の通報(原則メール。原則2時間前 ※) → 東電 正面玄関口に集合 → 入構手続 → 東電職員の誘導により記者会見場到着 (誘導は会見開始の1時間前より開始) → 会見参加 → 会見終了後は東電職員の誘導により東電正面玄関口へ

   ※ なお、会見開始時刻のご連絡については、十分な余裕をもってお知らせできない場合や急に変更される場合もありえますので、その際にはご容赦ください

Ⅱ.事前登録申請内容

  下記の内容を事前に電子メールで連絡してください。

1.氏名(本人確認用書類と同じ氏名を記載してください)/フリガナ
2.(使用されている場合)ペンネーム
3.住所(本人確認用書類と同じ住所を記載してください)
4.電話番号
5.携帯番号
6.電子メールアドレス
7.所属報道機関名(所属先がない場合には「フリーランス」と記載してください)
8.所属報道機関連絡先(なお、7.で「フリーランス」と記載された方につきましては、 本項目の記載は結構です。ただし、過去6ヶ月以内に日本新聞協会、日本民間放送連盟、日本雑誌協会、日本専門新聞協会、日本地方新聞協会、もしくは日本イ ンターネット報道協会の媒体に掲載した2つ以上の署名入り記事を原子力安全・保安院ERC広報班あてにFAX(03-5512-8502)もしくは電子メールで事前に送付してください。)

   ※ 提供いただいた上記情報につきましては、福島原子力発電所事故対策統合本部にて、適切に管理させていただきます。

Ⅲ.会見当日

1.会見当日には、下記の書類をご持参ください。

(1)本人確認用書類:公的機関の発給した身分証明書(氏名・住所・顔写真入りのもの)

(2)(お持ちの場合) 日本新聞協会、日本民間放送連盟、日本雑誌協会もしくは日本イ ンターネット報道協会加盟社に所属する記者であることを示す身分証明書(社員証)、もしくは外国記者登録証

2.セキュリティの関係上、会見に参加される方は東京電力正面玄関口におこしいただき、必要な入構手続きを取って頂きます。

3.スペースや時間の関係で、参加のご希望に沿えない場合、希望者全員が質問で きない場合などもありえますので、あらかじめご了承ください
                                                                                                  以上

(転載終わり)

自由報道協会が共同会見実施に関する要望を提出>

東電原発事故以来、記者クラブに属さない/記者クラブから排除されているフリーやインターネットジャーナリストが、他の仕事を犠牲にし身銭を切ってまでして昼夜記者会見に参加し、大手メデイアの訊かない厳しい質問を政府と東電に投げかけていた。それら非記者クラブ系ジャーナリストが会員になっている自由報道協会は、新たに導入される事前登録制における評価基準があいまいであり、フリーやネットジャーナリストを排除する口実に使われることを危惧し、4月24日、以下の要望書を統合本部長宛に提出した。

「共同記者会見」実施に関する要望(全文を転載)

細野豪志・福島原子力発電所事故対策統合本部事務局長殿

あす4月25日(月)より、東京電力福島第一原子力発電所の事故に関しての記者会見は、原子力安全・保安院、原子力安全委員会、文部科学省、東京電力などが合同して、対策統合本部主催で共同開催される見通しとなった。

事故以来、当協会所属のフリー、インターネット、海外、専門誌の記者は、昼夜を問わず、国民の知る権利に応えるために各々の記者会見に参加してきた実績がある。

今回の共同会見への移行に伴って、対策統合本部には、憲法で保障された「言論の自由」の損なわれることのないよう、一層の配慮をお願いしたい。

また、国民の知る権利が侵されることのないよう、細野事務局長にはこれまで以上に、公平で自由な記者会見の運営を強く要望する。

以上

平成23年4月24日
自由報道協会暫定代表 上杉隆

(転載終わり)

(ニコニコニュース)福島原発統合本部が共同会見 参加条件にフリー記者らから意見集中 2011年4月26日(火)16時39分配信 (2011年9月24日閲覧)(全文転載。太字は投稿者)

tougou.JPG 福島原子力発電所事故対策統合本部は2011年4月25日、東京電力、経済産業省原子力安全・保安院、内閣府原子力安全委員会など、これまで個別に行われてきた会見を一本化し、はじめての共同記者会見を開いた。会見には、細野豪志内閣総理大臣補佐官などが出席。テレビ局・新聞社・フリーランスなど250名以上の報道陣が集まり、質疑応答も含めて会見は4時間にも及んだ。
  冒頭には、細野補佐官が共同会見の意図として「これまでは個別の会見ごとに重複があったり齟齬があっ たテーマごとに一元化した情報発信をすることで正確性を確保したい。今後、原則として、全てのデータを公開していく。より透明性の高い情報発信を図っていきたい」と述べた。

これまで東電や原子力安全・保安院の会見では、会見場の受付で名刺を渡し名前を記載するだけで参加することが可能 だった。しかし、今回の共同会見からは事前にメールで参加登録を申請しフリーランスの場合はそれに加えて、過去6ヶ月以内に日本新聞協会、日本民間放送 連盟、日本雑誌協会、日本専門新聞協会、日本インターネット報道協会の媒体に掲載した2つ以上の署名入り記事をFAXか電子メールで事前に送付しなければならない

これ対して、フリーランスのジャーナリスト・記者らを中心に意見が集中。ジャーナリストの寺澤有氏は「これまでの東電、保安院の会見に比べて出席条件が厳しくなった。厳しい質問をするフリーランスを排除しているのではないか。条件を改めて欲しい」と求めた。また、フリーライター の畠山理仁氏も「ここに出席している複数の記者が、参加申し込み直前の時点で身分が保障されていないと出席を断られる事例も起きている」と指摘した。

これに対し、共同会見参加についての「基準作りにも関わった」という細野補佐官は、
フリーランスは全て受け入れている 完全に機会を平等化したつもり。今後は運用で何が出来るか再検討したい。最終的には私が判断する
と述べ、取材者への機会の平等を図っていくことを強調した。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]寺澤有氏らの発言から視聴
http://live.nicovideo.jp/watch/lv47677825?ref=news#02:49:35

ふじいりょう

(ニコニコニュースの全文転載終わり)

投稿者註: 細野補佐官(当時)は4月25日の初共同会見で、「フリーランスは全て受け入れている」と答えたが、それが事実でなかったことは、下の日隅一雄氏の例を参照。

<それまで会見に参加していたフリー/インターネットジャーナリストの支持者たちもツイートなどで支援を表明>

この件に関するツイートのtogetherが、otss645さまによるtogetherのサイト、東電、記者会見からフリーを排除 http://togetter.com/li/127442 にあります。otss645 さんによるまとめを以下に転載します。

「東電の記者会見が4月25日から1日1回に減少しフリージャーナリストを記者会見から締め出す動き。会見参加可否は保安[院]が審査する。

追記:河野議員の?働きかけかわからないが今まで記者会見に出席していたフリーの人たちはほぼ審査が通り参加出来るようになった。

■参加可
岩上安身とIWJの撮影スタッフ @iwakamiyasumi
木野龍逸 @kinoryuichi
田中龍作 @tanakaryusaku 小川裕夫 @ogawahiro
白石草 @hamemen
江川昭子 @amneris84
畠山理仁 @hatakezo
自由報道協会
日隅一雄 @yamebun 4/28に許可
おしどり♀マコリーヌ @makomelo 5月25日参加可に」

<元産経新聞記者の弁護士で市民メディアNPJ(News for the People in Japan)の編集長・日隅一雄氏が当初、許可されず>

(以下、2011年4月27日の日隅氏のブログから、この件についての投稿の全文を転載。太字は投稿者)
東電原発事故に関する会見に先月16日から参加してきたが、統合対策本部の主導で、本部、保安院、東電、文科省、原子力安全委員会の合同で行われるようになったのを機に、私は会見からはずされるようになった。つまり、NPJ(News for the People in Japan)の編集長として申請しても回答が来なかったのだ。人づてに、私が東電を被告とする訴訟(原発とは無関係)の代理人をしているからだという理由を聞いてはいた。しかし、正式な回答がないので、反論すらできないまま時間がたった。今日の会見で岩上さんのスタッフが私のことについて確認してくれ、正式に、代理人であることが理由で許可されないことが細野補佐官の口から説明された

これは極めて興味深いことになった。

つまり、東電から億単位の広告費をもらっている大手メディアよりも単にテーマの違う訴訟の代理人をしている私の方が利害関係が深いということになるからだ

いや、それとも、利害関係の深さではなく、敵対的な方向にありうるものは入れないが、友好的な方向にありうるものは入れる、ということなのだろうか

実は、本日、裁判所に会見への参加を求める仮処分の手続きを行った。というのも、昨日の会見で岩上さんがマスメディアと広告料の関係について細野補佐官に質問した時、細野補佐官は、仮にこれまで広告料がマスメディアの在り方をゆがめたとしても、この一大事にはそんなことは関係ない、という趣旨の発言をし た。それを聞いて、決意した(※)。もし、昨日の深夜を回っても、私に案内が届かなかったら、法的手続きをとるしかない、と

完全に平等権に反する。広告料をもらっているマスメディアはスルーで記者を送り込める、NPJのほかのメンバーには許可が出ている、私にだけ許可を出さない。その理由は、私が別件の訴訟の代理人をしているから…

あえていうが、その別件訴訟によって私が得る利益は、おそらく、時間に換算すれば、事務所の経費すら出ないようなものだ。その仕事をする間、別の仕事をしている方がいいくらいだ。弱者のために、という某先輩の誘いに乗ったのがきっかけの訴訟だ。

この間、ず~と出席してきた東電の会見で私が関連する訴訟に関係のある質問はしたことはないし、原発事故を伝える際に、その訴訟に関連することに触れたこともない

そもそも、東電単体の会見には出ることができていたのに、統合本部という政府、東電混成チームの会見に出ることができないことにも納得がいかない。

私の東電との利害は、国の一大事よりも大きく、私の取材・報道姿勢をゆがめるのだろうか?

そもそも、仮に私の取材・報道姿勢がゆがんでいるとしても、それによって不利益を被る可能性があるのは、私から情報を受け取る人であり、東電ではない。東電にいかなる不利益があると言うのか?
※「今回の事態はそういう状況をはるかに超えていると思いますよ」
「大企業でこれまで原発のことでものが言えなかったと言われるような企業やそこに努めている方々もそういう前提を完全になくして判断するような状況になっていると思いますよ」
「すべての国民がこれまでの前提を白紙にしていろんな議論をすべき時期が来ていると私は思う」(http://www.ustream.tv/recorded/14288549 の14分30秒当たりからご覧ください。細野さんの発言は15分15秒から)

…私も日本に住む者の一人としてできることをしたいと思っているのに(涙)。

(転載終わり)

投稿者註:上のotss645 さんのまとめにもあるように、翌4月28日、日隅氏への許可がおりました。

統合会見出席可否条件質疑 1-3、 2011.9.20>
9月20日の共同記者会見で、 ジャーナリストの寺澤有氏とフリーランスの畠山理仁氏が園田康博閣府大臣政務官に、共同会見出席が許される条件について質問した参加を希望するが許可されていないフリー・独立系ジャーナリストが現在7名いるという(動画2では、これまで拒否された人は全部で13名と言っている)。主な論点は次の通り。
  • 4月23日の統合本部文書に書かれた基準の不合理さ、基準の恣意的な適用
  • 実績の基準が当初と比べて厳しくなっている - 厳しい質問をする独立系メデイアへの締め付けともとれる
  • 学校新聞を排除しているのはなぜか
  • 会見場にある監視カメラの目的について
園田政務官は、「させていただく」を多用(濫用)する(例:「本人確認の書類をみなさまがたにお求めをさせていただいた」「こういう規定を作らさせていただきまして」)典型的官僚的答弁に終始した(「ご指摘のようなことがないようにしていかなければならないと考えております」)が、畠山氏らからの、この問題について園田氏と会見以外の場で話し合いを持ちたいという申し出には同意をされました。

No comments:

Post a Comment