Sunday, September 4, 2011

II.B.3. どさくさにまぎれて出す

例)2011年8月28日の民主党の代表選を受け、9月2日に野田内閣が発足した。この間、新聞やテレビは代表選や組閣をめぐる派閥間の駆け引きの「報道」に終始していた。内閣が発足した9月2日、保安院が、全電源喪失などを想定し炉心溶融などを予測した「緊急時対策支援システム(ERSS)」の解析結果を公表した。

東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏は、9月4日、次のようにツイートした。(太字は投稿者)

hasegawa24 長谷川幸洋
きのうの朝刊。野田内閣誕生の陰で「保安院が311直後の福島1号機の悪化予測を官邸に伝えていなかった」というニュースが小さく載っている。これは大変な話。官僚は大ニュースが起きたタイミングを狙って、自分たちに都合の悪い発表をする。これも情報操作の一例9月4日


(1)(日本経済新聞) メルトダウン予測資料、震災当日に作成 保安院公表(2011/9/2 22:06)(2011年9月4日閲覧)(太字は投稿者)

 経済産業省原子力安全・保安院は2日、東日本大震災の発生直後に作成した東京電力福島第1原子力発電所1~3号機の事故解析・予測資料を公表した。最悪の場合、3月12日未明に炉心溶融(メルトダウン)が起きうるとしていた。官邸の窓口に保安院職員を通じて渡したが説明はしておらず、どう活用されたかは不明という。事故調査・検証委員会の調査で焦点の一つとなりそうだ。 

 半年もたって急に公表した理由は明らかにしなかった。保安院によると解析は独立行政法人原子力安全基盤機構に依頼。同機構は原子炉への注水が止まり冷却できなくなった場合、炉内の状態がどう変わるかを「緊急時対策支援システム(ERSS)」で計算した。保安院は資料を3月11日午後10時に作成した。

 同資料によると、11日午後10時50分に燃料棒が冷却水から露出すると予測。同11時50分に燃料の被覆管が破損し始め、12日午前0時50分に溶融が 始まるとした。同3時20分に原子炉格納容器が設計上の限界圧力に達してベント(排気)が必要になり、放射性物質が外部に出ると予測した。

 保安院によると資料は3月11日午後10時44分、12日午前0時17分の2回、官邸危機管理センターからアクセスできる電子フォルダーに入れた。官邸にいた保安院職員が印刷して担当者に渡したが、内容の重要性を説明した形跡はないという。

 3号機についても同様の解析・予測を進め、13日午前6時50分に官邸側に渡した。また1号機は放射性物質の外部への影響なども計算したが、官邸には送らなかった。

 保安院は「ちぐはぐな対応で、良かったとは思っていない」としている。東電は「炉心の損傷割合など社内の計算結果を保安院に出した」というが、保安院の予測が東電と共有されたかは不明だ。 


(2)(毎日新聞)福島第1原発:炉心予測、官邸活用せず 保安院管理ずさん (2011年9月2日 21時53分)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110903k0000m040137000c.html (2011年9月2日閲覧

経済産業省原子力安全・保安院は2日、東日本大震災当日、東京電力福島第1原発1~3号機で全電源喪失などを想定し炉心溶融などを予測した「緊急時対策支援システム(ERSS)」の解析結果を、約半年たって公表した。2、3号機の予測は官邸に送信したが活用されず、1号機は送信もしていなかった。保安院の情報管理のずさんさが問われそうだ。

 保安院によるとERSSを開発した原子力安全基盤機構(JNES)は3月11日、保安院の依頼でERSSを起動。同原発で全電源が断たれた事態を想定したパターンを使い、1~3号機の原子炉内の水位や圧力、温度が今後どう推移するかの予測結果を出した。

 2号機のデータは11日午後9時半ごろ、JNESから保安院に届いた。保安院の職員はデータを基に「22時50分 炉心露出 24時50分 燃料溶融」など予想される展開を文章にし、同日午後10時45分ごろと12日午前0時過ぎ、危機管理センターに常駐していた保安院職員を通じ内閣府の職員に手渡した。3号機については13日午前6時半ごろに届いたデータを同様の方法で約20分後に官邸に届けたという。しかしこれらは周辺住民の避難指示などに活用されなかった。保安院の森山善範・原子力災害対策監は2日の会見で「事実に基づいたデータではないので活用を思い至らなかった」と釈明した。

  また、保安院は1号機の予測から導いた放射性物質の推定放出量を基に「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」で拡散予測を実施 していた。しかしすぐには公表せず、避難指示などにも活用しなかった。保安院はこれまで「全電源喪失でSPEEDIが機能しなかった」と説明していた。 【久野華代】

 【ことば】緊急時対策支援システム(ERSS)
  原発事故の際、原子炉内の温度や圧力、水位などを即時に入手し、それに基づいて事態の進展や放射性物質の放出量を予測するために保安院が導入した コンピューターシステム。事故時、電力会社から集めた運転情報や放射線計測値などを収集し、さまざまな事故のパターンをデータベースから選んで計算する。 炉の状況や予測結果は、経済産業省などオンラインで結ばれた場所で閲覧できる。

毎日新聞 2011年9月2日 21時53分

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