Friday, August 26, 2011

II.A.7. ほんとうに「想定外」?

例2) 10メートル超津波 東電、直前に試算報告
(毎日新聞 2011年8月24日 20時54分[最終更新 8月25日 1時22分])
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110825k0000m040070000c.html
(2011年8月26日閲覧)

東京電力は24日、「福島第1原発に10メートルを超える津波が押し寄せる可能性がある」との試算結果を08年 4~5月にまとめていたことを明らかにした。しかし「評価の必要がある」として具体的な対策を取らず、経済産業省原子力安全・保安院に報告したのも事故直前の今年3月7日だった。これらの事実を東電も保安院も公表せず、10メートルを超す3月11日の津波について「想定外だった」との説明を繰り返していた。

 試算は06年の原発耐震設計審査指針改定に伴い、保安院が指示した再評価作業の一環。東電は、政府の地震調査研究推進本部の見解に基づき、三陸沖から房総沖で明治三陸地震(1896年)並みの地震(マグニチュード8.3)が起きたと想定した。その結果、福島第1原発 に到達する津波は▽5、6号機が10.2メートル▽1~4号機が8.4~9.3メートル▽防波堤南側で15.7メートルなどと推定された。

 しかし東電は結果を保安院へ報告せず、1~4号機で5.7メートルとしていた想定津波高の見直しもしなかった。

 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は24日の会見で「(10メートル超は)あくまで試算で、運用を変えるほど 信用に足る数値か慎重に判断する必要があった」と説明。事故後、津波を「想定外」としたことについても「うそをついたわけではない。運用変更は学説や試算でなく固まった評価基準で行われるべきだ」と釈明した。

 保安院によると、3月7日の報告では耐震安全審査室長が報告書面を受け取り「設備面で何らかの対応が必要」と指導したが、4日後に巨大地震が発生。想定を大幅に上回る津波が深刻な事故を招いた。

 東電は08年12月にも、869年の「貞観(じょうがん)地震」を想定した試算で「8.7~9.2メートル」との結果をまとめ、09年9月、保安院に報告した。しかし報告は口頭だったうえ、保安院の担当者から上司に伝わったかどうかも不明という。

 保安院は、事故直前の東電からの報告も含め、こうした事実を公表しなかった。森山善範対策監は24日、政府の事故調査・検証委員会には説明したことを明らかにし、「規制機関として十分な対応を取れていなかった」と話した。【藤野基文、岡田英】 (太字は投稿者)


[9月2日追加]
(1)(読売新聞)東電、15m超の津波も予測…想定外主張崩れる(2011年8月25日10時31分)

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110824-OYT1T00991.htm (2011年9月2日閲覧) 

東京電力が東日本大震災の前に、福島第一原子力発電所に従来の想定を上回る10メートル以上の津波が到来する可能性があると2008年に試算していたことが政府の事故調査・検証委員会で明らかになった問題で、東電は同じ試算で高さ15メートルを超える津波の遡上(そじょう)を予測していたことが24日わかった。
 大震災で同原発は、14~15メートルの津波に襲われたが、「想定外の津波」としてきた東電の主張は、15メートル超の遡上高の試算が明らかになったことで崩れた。東電は試算結果を津波対策強化に生かさず、大震災4日前の今年3月7日に経済産業省原子力安全・保安院に対し報告していた。
 東電によると、国の地震調査研究推進本部が02年7月に新たな地震の発生確率などを公表したのを受け、東電は、08年にマグニチュード(M)8・3の明治三陸地震(1896年)規模の地震が、福島県沖で起きたと仮定して、福島第一と第二の両原発に到達する津波の高さを試算した。第一原発の取水口付近で高さ8・4~10・2メートルの津波が襲来。津波は陸上をかけ上がり、1~4号機で津波の遡上した高さは海面から15・7メートル、同5・6号機で高さ13・7メートルに達すると試算した。
(2011年8月25日10時31分  読売新聞)
(2)10m津波想定 東電副社長も把握
[書き起こし ― 上のリンクから転載させていただきました] (太字は投稿者)
8月25日 17時12分
東京電力が、福島第一原子力発電所で設計段階の想定を超える10メートル以上の津波が来る可能性があるという試算を3年前に行っていたにもかかわらず、国への報告が東日本­大震災発生の直前だった問題で、試算した当時、その結果が東京電力の副社長にも伝えられていたことが分かりました。

福島第一原発では、設計段階の想定の5.7メートルを大幅に超える10メートル以上の津波が来る可能性があるという試算が3年前の春行われましたが、東京電力が国に報告し­たのは東日本大震災発生の4日前に当たる、ことし3月7日だったことが、24日に明らかになりました。

この試算結果について東京電力は、原発の津波対策に取り組んでいる土­木学会に調査を委託しましたが、当時の武黒一郎副社長にも伝えられていたことを明らかにしました。東京電力の松本純一本部長代理は「試算は仮定を積み重ねた計算で、具体的­な根拠がないので外部には公表しなかった。今後も公表するつもりはない」と述べました。

一方、原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は、国への報告が震災の直前だ­ったことについて「試算であっても評価の材料になるから、東京電力は早く報告すべきだった。結果的に津波対策は不十分だったと考えている」と述べて批判しました。 

枝野官房­長官は記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所で、設計段階の想定を越える10メートル以上の津波のおそれがあるという試算が3年前に行われていたことについて、「事前­に大規模な津波が到来する可能性を、東京電力は2008年に認識していたと聞いている。十分に対応する時間的な余裕があり、認識しながら対応できていなかったことは、たい­へん遺憾だ」と述べ、東京電力の対応を批判しました。そのうえで枝野官房長官は「予測をしている情報が調査を踏まえないと出てこなかったこともたいへん遺憾だ。引き続き、­政府が設置した『事故調査・検証委員会』には、これまで明らかになっていない事実関係について、できるだけ広範かつ詳細に検証してもらうことを期待している」と述べました­。


Monday, August 22, 2011

VI.2.保安院も「やらせ」を依頼

(1)(47News)保安院が原発シンポで「やらせ」 中部電、四国電に依頼 (2011/07/29 14:20)(2011年9月26日閲覧) 

(全文転載)(太字は投稿者)

中部電力は29日、2007年8月に開かれた浜岡原発(静岡県御前崎市)のプルサーマル計画に関する国主催のシンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院から質問を作成して地元住民に発言させる「やらせ」の依頼があったと明らかにした。四国電力も同日、06年に愛媛県で開いた伊方原発のプルサーマル計画に関するシンポジウムで、保安院から出席者を集めるよう要請があったと公表した。

中部電は質問案を作成したが、コンプライアンス(法令順守)上問題があると判断し、最終的に断った。九州電力の「やらせメール」など一連の問題で、国の関与が明らかになったのは初めて。
                                     2011/07/29 14:20   【共同通信】

(全文転載終わり)

(2)(asahi.coom) 保安院やらせ指示、四国電も 原子力関連シンポ (2011年7月29日22時54分) (2011年9月26日閲覧)

(以下全文掲載)(太字は投稿者)
中部電力と四国電力は29日、原子力関連の国主催シンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院から、推進側の参加者動員や発言を指示されていたことを 明らかにした。九州電力に端を発した原発のやらせ問題は、原発を規制する立場の保安院まで関与していたことが発覚。原子力を取り巻く不透明な癒着の構図が 浮き彫りになってきた。

経産省は九電の「やらせメール」の問題を受け、過去5年、計35回の国主催の原子力関連シンポジウムについて、電力7社に調査を指示。29日に各社が報 告した。海江田万里経産相は、記者会見で「極めて深刻な事態。徹底解明したい」と述べ、第三者委員会による調査を指示した。8月末までに結果を出す方針 だ。

保安院がやらせを指示したのは、2006年6月に四電伊方原発のある愛媛県伊方町、07年8月に中部電浜岡原発のある静岡県御前崎市であったシンポジウム。使用済み核燃料をリサイクルして使う「プルサーマル発電」の是非をめぐる重要な説明会だった。  

(全文転載終わり)

(3)小出裕章 「九州電力に続いて発覚した今回のやらせ問題も、何の驚きもない」

発覚は氷山の一角
小出裕章・京都大原子炉実験所助教(原子核工学)の話 

原子力行政は、「原子力村」の中で、政府、自治体、電力会社がグルになってずっとやってきた。九州電力に続いて発覚した今回のやらせ問題も、何の驚きも ない。逆に、ようやく今になって原子力行政の「常識」が問題視されるようになったということに驚く。わたし自身、何度も、原発政策を進める自治体でのシン ポジウムで、多くの人が動員され参加するのを見てきた。今回明らかになった問題は氷山の一角にすぎない。

 以上、『小出裕章(京大助教)非公式まとめ』より転載させていただきました。(太字は投稿者)
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/07/30/chunichi-jul-30/

【中部電力】

(1) (asahi.com)保安院、中部電に「やらせ」発言依頼 07年原発シンポ (2011年7月29日12時54分) http://www.asahi.com/national/update/0729/NGY201107290029.html (2011年9月26日閲覧)

(以下全文転載)(太字は投稿者)

経済産業省原子力安全・保安院が、2007年8月の中部電力浜岡原子力発電所のプルサーマル発電に関するシンポジウムの際、中部電に対し、参加者の動員 と会場での発言を依頼していたことが分かった。会場での質問が反対派のみとならないようにするため、地元住民に原発に肯定的な発言をしてもらうものだった という。

本来は原発を監視する立場の保安院が、やらせを事実上指示していたことになる。中部電は依頼にもとづいて社員や下請け業者、町内会長ら地元住民に呼びかけて参加させていた。住民向けに肯定的な発言文案も作成したが、問題があると社内で判断し、発言させることは見送った。

29日に中部電が記者会見して明らかにした。

(全文転載終わり)

(2)(東洋経済 Toyokeizai Online)中部電力「やらせ発言依頼」は、浜岡原発の水谷所長がはねつけた - 11/07/29 | 19:53 (2011年9月26日閲覧)

(以下全文転載)
7月29日、中部電力は名古屋証券取引所で第1四半期の決算説明、および定例記者会見を開催した。浜岡原発停止の影響により、通期営業利益は1700億円の営業赤字になる見通しだと発表。1951年の会社設立以来初の営業赤字転落だ。

会見では、同じ浜岡原発関連で、2007年8月に静岡県御前崎市で開かれた国主催の「プルサーマルシンポジウム」についての質問も相次いだ。九電で発生し た「やらせ発言依頼問題」を受け、経済産業省は国が主催したシンポジウム等で特定の意見表明を要請した事実があるかどうか社内調査を行うように電力会社に 指示。その回答期限が29日だった。

中電は、午前中に調査結果を発表し、社員や関係会社社員に対し出席を促す依頼をしていた事実があったものの、原子力安全・保安院から「地元住民に賛成か中立の立場での質問を要請するように」との働きかけは断った、という調査結果を公表したばかり。

依頼を断った理由について、水野明久社長は「02年以来、当社はコンプライアンスの強化を推進してきた。そうしたこともあり、意見表明まで要請するのは明らかに行き過ぎだ、との判断が担当者レベルでも働いた」と説明した。

出席者の動員を行ったことについては「当時、そのことで賛成への誘導をする意識があったわけではないが、いま振り返ればそう誤解を受けるような行為だったと思う。申し訳ないことをしたと考えている」と謝罪した。

現場が“良心の砦”に

原子力安全・保安院からの「やらせ依頼」をはねつける判断をした現場のキーパーソンは誰なのかといえば、浜岡原子力発電所のトップである水谷良亮総合事務所長だ。

会見後、法務部の担当者は「地元の信頼が第一である、という考えは、水谷所長の強固な信念。コンプライアンス担当の法務部に相談があったという記録はなく、当該問題の最高責任者である水谷所長が、自らの判断で、正しい判断をした、というのが実際のところだ」と明かした。

本店の原子力部門の社員は、一度は地元住民に依頼する発言の文案を作成していたという。そうした動きはあったものの、現場のトップである水谷所長が、最高責任者としてコンプライアンスに従ってしかるべき処理したということのようだ。

(山田 俊浩 =東洋経済オンライン)

(3)(読売新聞)保安院やらせ要請、「ふざけるな」反発の浜岡 (2011年7月30日12時24分)(2011年9月26日閲覧)

(以下全文転載)(太字は投稿者)
国が2007年8月に静岡県御前崎市で開いた中部電力浜岡原子力発電所のプルサーマル計画に関するシンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院が中部電力に関係者や関連企業の社員を出席させ、会場が反対一色にならないよう質問を依頼、中部電力は「やらせ質問」を拒否していた。

同社が内部調査結果を明らかにした29日、地元関係者から反発の声が相次いだ。

シンポジウムは浜岡原発4号機のプルサーマル計画が国に認可されたことを受け、国の主催で地元・御前崎市で開かれ、524人が参加した。国側が審査経緯を説明した後、「プルサーマルの必要性と安全性」について専門家が議論した。

シンポジウムに参加した御前崎市、無職伊藤実さん(70)は「反対派の自分は、手を挙げても指してもらえず、『避けられている』と感じた。国や中部電力が主催する説明会でこのようなことがよく見られるので、今更驚かない」とあきれる。さらに「良識を持っている会社に原発を運営してもらいたいが期待できない」と批判した。

掛川市の市民団体「地震で原発だいじょうぶ?会」の代表の藤田理恵さん(54)も参加した一人。「『理解できない』と何度も質問をしたのに、最後に国の担当者は『これで一定の理解が得られたと思う』とまとめていた」と強引な運営方法への不満を語った。

住民グループ「浜岡原発を考える静岡ネットワーク」の鈴木卓馬事務局長(71)は「国が指示していたとはひどい話だ。国は国民の意見を広く聞くべ きで、国民の意見を無視するようなことを進めるのは全くけしからん」と憤り、浜岡原発から約10キロの距離にある「御前崎グランドホテル」の福田昌朋社長 (56)も「ふざけるな、の一言。中部電力がその依頼を拒否したのは安心したが、指示系統のトップがそういう工作をするなんてばかなことはありえない」と語気を強めた。

中部電力の発表を受け、御前崎市の石原茂雄市長は「開催の案内や参加者の動員はある程度理解できる」と一定の理解を示したが、「質問を作成し、地 元の方に質問してもらうよう依頼することには強い違和感を覚える。国民の信頼を失墜させかねず、保安院のあり方が問われるだろう」とコメントした。掛川市 の松井三郎市長も「原発に関する不信感や不安感を一層増加させたことになり、誠に残念」とのコメントを出した。

また、県の小林佐登志・危機管理監も「保安院は安全性を守る立場なのに使命を放棄している。第三者機関としての中立性が損なわれている。経産省から早く独立させた方がいい」と厳しく指摘。中部電力に対しても、「質問を断ったのは見識のある判断だが、参加者を集めたことはあってはならない行動」と反省を促した。

(2011年7月30日12時24分  読売新聞)

(全文転載終わり)

【四国電力】

(四国新聞社ShikokuNews)「世論誘導」免れず/四電やらせシンポ (2011/08/06 09:52 (2011年9月26日閲覧)

(以下全文転載)(太字は投稿者)
原子力安全・保安院から電力会社に原発シンポジウムでの動員などの「やらせ」依頼があったとされる問題で、事実関係を調べるための第三者調査委員会が5日設置された。四国電力関係では2006年6月、愛媛県伊方町で国主催の伊方原発のプルサーマル計画に関するシンポジウムがあり、四電は保安院からの要請 を受けて社員らを動員したほか、質問例文まで用意していた。シンポ終了後のアンケートでは、「プルサーマルの必要性を理解した」との回答が6割を超えてい たが、出席者の過半数が社員らだったとも言われており、結果的に“世論誘導”と取られても仕方ない行為だ。

■綿密な計画作成

伊方発電所65人、宇和島支店20人、四電エンジニアリング90人…。

保安院から参加を要請された四電は、関係会社を含む社員らの綿密な「動員計画」を作成。各部署にノルマともとれる参加目安人数を示した上で参加者を集めるよう指示した。
その数305人。会場の定員600人のちょうど過半数に相当する数だ。

これに応え、参加応募した社員らは、目安とほぼ同じ313人に達した。当日、実際に参加した社員らの人数は不明だが、参加応募の人数から、全参加者587人の半数程度が四電関係者だった可能性が高い。

■合意形成の材料

シンポ終了後、保安院がまとめた出席者アンケートによると、プルサーマルの必要性について「理解できた」は27・6%、「だいたい理解できた」は36・2%で、計63・8%が理解を示したと結論づけられた。

シンポは、伊方原発のプルサーマル計画を、06年3月に国が許可し、導入に向けた地元の了承が焦点となる中で開催された。アンケート結果は、その後、地元の合意が形成される過程で、住民の理解が進んだ一つの判断材料として使われた。

四電広報部は「社員が参加したことで、一般参加者が会場に入れなかったことはない」とする。が、社員ら約300人が出席しなかったならば、アンケート結果は変わっていたかもしれない。

■念の入った対応

保安院はシンポの2カ月前、四国電力東京支社の幹部と面会。その席で、保安院の担当者は「広く参加を募り、多くの意見が出るようにしてほしい」という趣旨の要請をしたという。
この担当者は、参加要請したことを認めた上で、「動員ではなく、参加招請だった。発言内容については依頼していない」としている。

一方、四電の対応は、社員らの大量動員だけでなく、事前に例文まで用意して質問をさせる念の入れよう。こうした対応は、当時の原子力本部長を兼ねた副社長にも報告されており、組織的な動きだった。

■7人が例文参考

当時、シンポ会場では15人が発言しているが、うち10人が依頼を受けた社員ら。うち7人が例文に沿い、原発推進の回答を引き出しやすい質問をしていた。
保安院は、同様のシンポを各地で開く際、ほかの電力会社にも同じような要請をしたことが明らかになっている。ただ、その一つの中部電力は「コンプライアンス上問題がある」として依頼を断っており、四電の従順ともいえる対応は際立っている。
原子力事業を進める電力会社と、規制官庁としてその安全性を監視する保安院。今回の問題では、両者のゆがんだ関係が浮かび上がった。第三者委員会での事実関係の究明とともに、再発防止に向けた取り組みが必要だ。
 (全文転載おわり)
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2011年10月1日追加
 
【東北電力】 

(河北新報)保安院、女川原発でも動員 原発シンポ「やらせ」(2011年10月01日)(2011年10月1日閲覧)

(記事全文を転載)

緊急の記者会見で動員問題について説明する海輪社長=30日午後6時30分ごろ、仙台市青葉区の東北電力本店
 原発に関するシンポジウムなどで国が電力会社に「やらせ」を要請したとされる問題で、経済産業省が設置した第三者委員会(委員長・大泉隆史弁護士)は30日、東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)でも原子力安全・保安院の職員が動員などを働き掛けていたとする最終報告書を枝野幸男経産相に提出した。

最終報告によると、保安院などが2006年、女川原発の耐震安全性を住民に説明するため開いたシンポで、保安院の元課長が東北電の担当者に「東北電力の関係者もどんどん参加して、意見を言いなさい」と動員や賛成意見の表明を求めた。

北海道電力泊原発でも資源エネルギー庁の働きかけがあったと認定。08年の泊原発プルサーマル計画に関するエネ庁主催のシンポジウムでは、北海道電の担当者にエネ庁職員が「推進の側で発言いただくことも準備をお願いしたい」と依頼した。

最終報告は中間報告と同様に九州電力玄海原発、四国電力伊方原発、中部電力浜岡原発をめぐるシンポも国の関与を認め、不適切な働き掛けが常態化していたことを浮き彫りにした。

最終報告は「電力会社とエネ庁、保安院との間に相互にもたれ合う関係があったことが一因」と分析。地元首長の同意を得るためのプロセスとしてシンポなどが開かれ、住民理解を深めるという本来の目的より、空席を減らすなどの「外観」が重視されたと指摘した。

国側に、公正性や透明性が不可欠だという認識が希薄で、シンポ運営に関する規範が不明確なまま放置されていたとして、組織改革に取り組むよう求めた。

◎シンポジウム3回、25人参加 東北電力謝罪

経済産業省の第三者調査委員会による最終報告書で、女川原発でも原子力安全・保安院から東北電力への動員要請があったと指摘されたことを受け、東北電の海輪誠社長は30日、仙台市青葉区の同社で緊急の記者会見を開き、「透明性、中立性をゆがめかねない行為だった」と謝罪した。

海輪社長は「当時は(参加要請が)常態化していたと推認される。住民に疑念を抱かせた責任を感じている」と述べた。その上で幹部社員教育の徹底や社外の有識者による専門会議設置などで再発防止を図る方針を示した。

最終報告書が問題視したのは2006年10月に経産省原子力安全・保安院が石巻、女川町で開いた計3回のシンポジウム。同社の調査では関連会社などを含め少なくとも延べ25人が実際に参加していた。

東北電側が原発に理解のある地域住民に意見表明するよう依頼した事実も調査で判明。ただ要請の規模や実際の参加人数は、ともに「記録が残っておらず分からない」(総務部)という。

海輪社長は、社員、地域住民に対する出席の強制は「ともになかった」と語った。

保安院側からの要請に応じたことについて、海輪社長は「もともとシンポを円滑に進めたいという(東北電の)担当者の意思もあり、行き過ぎた行為をしてしまった」と説明した。

2011年10月01日土曜日
(記事全文転載終わり) 

Friday, August 19, 2011

X.2. 中学校で30年ぶりに放射線教育が復活へ



(1)電気新聞:[エネ教育はいま] 新指導要領のポイント 復活する放射線授業 (2011/04/07) 
http://www.shimbun.denki.or.jp/news/special/20110407_01.html (2011年8月19日閲覧) 


エネルギー教育の重要性を鮮明にした新学習指導要領が、小学校では2011年度から、中学校では12年度から全面実施される。理科では、体験を重視しつつ、「将来のエネルギーの選択者育成」へ向けた判断力の醸成をめざす。特徴的なのは中学校で約30年ぶりに復活する放射線授業。東日本大震災の発生により、その重要性が増しそうだ。授業をどう作り、何を伝えるのか。現場の教師への期待が高まる。 (堀江 剛)(太字は投稿者)(以下略)


(2)読売新聞:放射線教育、積極的に取り組むべき…文科相(2011年7月5日) 
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20110705-OYT8T00792.htm (2011年8月19日閲覧)


(全文転載)
高木文部科学相は5日の閣議後の記者会見で、過去30年間、中学校で放射線教育を行ってこなかったことを問われ、「今回の(福島第一原発の)事故で、放射能に関する正しい知識を子供にも分かりやすく教えていくことが何より必要だと分かった」と述べ、今後は放射線教育に積極的に取り組むべきだとの認識を示した。

  その上で、書店などで放射線に関する書籍が売れている現状に触れ、「放射線への国民の関心は大変強い。(子供に)どのような内容をどう教えていくのか、専門家の意見を聞いて早急に結論を出す」と述べ、学校向けの副読本の作成を急ぐ考えを示した。 
(転載終わり)


(3)産経新聞:「放射線」授業復活 知らないから不安になる (2011.7.18 03:06)
1.http://sankei.jp.msn.com/life/news/110718/edc11071803060001-n1.htm
2。 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110718/edc11071803060001-n2.htm         (2011年8月19日閲覧) 


(全文転載)(太字は投稿者)


目に見えない放射能や放射線を多くの国民が不安がっているのは、基礎的な知識がないことが大きい。昭和56年に実施された学習指導要領で中学で扱っていた放射線の項目が削られたためだ。

 ゆとり教育の影響で、この30年間、放射線に関する基礎知識が教えられてこなかった。来春からの中学理科では、放射線について学ぶ授業が復活する。東京電力福島第1原発事故によって原子力への不安が広がるなか、学校教育で正しい知識を学習する意味は極めて大きい。

 放射線医学の専門家からも「放射線への理解不足が不安を募らせている」との指摘がある。

 指導要領改定は東日本大震災前に決まっていた。新指導要領では、エネルギー資源の利用や科学技術について考える関連で、「放射線の性質と利用にも触れる」とされた。来春からは、シーベルトやベクレルの単位のほか、放射線が自然界にも存在する事実や医療などに利用されていることを取り上げる教科書が登場する。

 放射線利用を学ぶことは重要だ。放射線は病気の発見やがん治療、農作物の品種改良、タイヤを丈夫にするなど工業にも活用されている。授業でもこうした利用例を取り上げたい。身近なことがらを通じて放射線の性質を知り、理解を深めることが期待される。先生ももっと勉強して分かりやすく工夫して教えてもらいたい。
 
学校教育では、放射線について基礎的知識を教えてこなかったのみならず、いたずらに放射能の恐怖をあおる教え方がされてきた。社会科で一部の組合教師が反原発の政治的主張を持ち込み、原爆のほかチェルノブイリ原発事故の被害などをことさら強調して教えるような例があった。

 福島第1原発事故後には、避難区域から転校してきた子供へのいじめが問題になった。手本となる大人からしてことさら放射線の影響を不安がり、科学的根拠のない行動や風評被害が絶えない。

 福島県矢祭町の小学校では原発事故をきっかけに「総合的な学習の時間」を利用し、放射線に詳しい医師を講師に招き授業を行った所がある。授業後、子供たちからは「放射線はそんなに怖くないことが分かって安心した」という感想があったという。保護者も不安がる前に、専門家の知見をふまえ知識を深めたい。


(転載終わり)


 (4)毎日新聞:中学理科教科書:来春から「放射線」復活 指導に悩む教師 (2011年8月16日 22時37分(最終更新 8月17日 0時33分))
http://mainichi.jp/life/edu/news/20110817k0000m040106000c.html (2011年8月19日閲覧)


(全文転載)

来年度から中学校で使われる理科の教科書に、30年ぶりに「放射線」についての記述が盛り込まれることになり、担当教員が指導に頭を悩ませている。東京電力福島第1原発の事故では、放射性物質の汚染への対応を巡って差が生じたり、原発との向き合い方も意見が分かれている状況。放射線について教えた経験がない教員も多く、「生徒からの質問に的確に答えられないのでは」と不安も広がっている。
 中学の教科書には、80年度まで放射線に関する記述があった。その後、指導内容の厳選で記述が消え、08年に改定された学習指導要領で復活が決定。エネルギー資源についての学習の中で原子力にも触れ「放射線の性質と利用にも触れること」と明記された。来春から使われる中学3年の教科書には、放射線が医療や物体内部の検査に活用されていることや原発の仕組みなどが盛り込まれることになった。
 だが、その後に起きた原発事故で、放射性物質の汚染に対する対応を巡って論争も活発に。自治体が空気中の放射線量を日々発表したり、独自に測定している保護者もいるほど身近な問題となり、何をどこまで取り上げるか学校現場の戸惑いは大きい。
 教科書への復活を受けて、教員向けの研修会も開かれている。東京都は16日、「放射線の学習指導について」と題する研修会を開催。約50人が参加し、専門家の講演のほか、授業を想定して、放射線を可視化したり塩などの放射線量を測る実験をした。調布市立中の三木敏裕教諭(36)は「放射線について生徒から質問があるかもしれないが、学者レベルでも分からないことも多く、そこに踏み込むと教師側が苦しくなる」と悩む。講師を務めた公益財団法人「原子力安全研究協会」の山本尚幸副所長も「千葉や茨城県の教師からは、プールやグラウンドの放射線量について生徒や保護者から質問されて答えに困っていると聞いた。不安を持っている教師は多い」と話した。
 事故を受け、文部科学省は放射線の基礎知識を教えるため副読本を全国の小中高校に配布することを決めた。教え方は現場に任せるという。【柳澤一男】
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2011年11月6日投稿

(5)(琉球新報)県内でも「原子力教育」 全小中校に副読本 (2011年9月24日)(2011年9月26日閲覧)



(全文掲載) (太字は投稿者)
文部科学省が全国の教職員を対象に実施している原子力発電に関する研修で、1990~2009年までの20年間に少なくとも県内の教職員延べ343人が受講していたことが分かった。全国の受講者延べ約1万7150人の約2%に当たる。受講した教師からは「安全面ばかり強調していた」と違和感を訴える声が出ている。文科省が作った原子力に関する副読本も県内全小中学校と教育委員会に配布されるなど、同省の「原子力教育」が原発の有無にかかわらず沖縄でも活発に続けられ、浸透していた。

加藤彰彦沖縄大学長(児童福祉論)は文科省による教育現場への働き掛けについて「国の原発推進政策に沿い、事故があった際の危険性を十分に伝えずに原発の有益性を強調してきた」と偏りを指摘している。

放射線利用の普及を目的とする財団法人・放射線利用振興協会などが研修を受託していた。研修は沖縄に技術者らを派遣して講義や実験を行い、放射線の性質などの基礎知識を伝える講師派遣と、原子力研究施設に教職員を招いて見学させるセミナーの2通りあった。受講者に交通費などが支給されたこともあった。

10年度以降は九州などの研究施設に教職員を招くセミナーに形を変えており、沖縄からの参加者数などは不明。3月の福島第1原発事故後は多くの事業が募集を見合わせている。

文科省は研修の趣旨を「教職員が放射線の性質や社会で役立っている点などの基礎知識を習得し、現場で実践することを意識した内容構成で行ってきた。リスクの面も含めて説明している。ただ原子力発電への触れ方は今後、議論を要する」などと話している。

副読本は文科省が原子力教育支援事業で製作。原発を「大きな地震や津波にも耐えられる」などと記述している「わくわく原子力ランド」(小学生向け)と「チャレンジ!原子力ワールド」(中学生向け)が本年度、県内全小中学校と教育委員会に計446部配布された。文科省は「不適切な記述は改修する」としている。新たな副読本の配布時期は未定。

児童・生徒対象の原子力ポスターコンクールは昨年、県内から52件(全国6891件)の応募があり、原子力に関する課題研究コンクールは昨年県内から1校(全国35校)が参加。識者が学校に出向く出前授業は県内で昨年1回開かれている。(宮城隆尋)
(全文転載終わり)

(6)(下野新聞) 40年ぶり「放射線教育」 中学理科で来年度復活 県内各地研修の動きも(9月25日 朝刊) (2011年9月26日閲覧)

(全文掲載)(太字は投稿者)
学習指導要領の改訂により来年度、中学校理科で40年ぶりに教えるべき内容に加わった放射線。授業で扱ったことがない上、東京電力福島第1原発事故でデリケートな問題へと一変し、生徒にどう教えたらいいか困惑する教諭は多い。「子どもたちに正確な知識を伝えなければ」と、県内の教育現場も取り組みを始めている。

16日、矢板市の塩谷南那須教育事務所。文部科学省主催の「放射線等に関する教職員セミナー」が開かれていた。

那須町の小中学校教員や塩谷地区の指導主事ら約40人が、丸いガラス容器をのぞく。「霧箱」と呼ばれる実験器具で、放射線が通った跡を見ることができる。身近ものの放射線量を測定する実験では、距離を離すことで数値が下がることを確認した。

那須町高久中の藤田和宏教諭は「学校が原発から90キロ圏にあるので影響を受けている。校庭の表土除去も行った。何が重要か学習することが大切だと思う」と真剣だった。
教科ごとに勉強会を行う「中学校教育研究会理科部会」は独自に研修を実施した。

宇河地区の同部会は8月、帝京大宇都宮キャンパスで「放射線」「光と音」「光合成」の三つをテーマに講座を実施。それぞれ先着30人で募集したが、約100人の教諭のうち、半数以上が放射線の受講を希望したという。 

同地区は昨年、同様の勉強会として東京電力主催の教員向けセミナーを利用。福島第1原発を見学していた。昨年と今年、2年連続で放射線のテーマを受講した宇都宮市内の男性教諭は「昨年は安全性を強調していたが、逆の事態になった」と複雑な表情を見せた。

こうした研修は同部会下都賀地区で6月に行われたほか、宇都宮市教委でも来年度前半までに実施できるよう検討に入っている。

理科教育を専門とする宇都宮大教育学部の人見久城教授によると、放射線が学習指導要領に盛り込まれたのは1972年の改訂以来。

「告示は東日本大震災前。『持続可能な社会の構築』のため、安定したエネルギー供給源として一歩理解を進めようという背景があったのだろう」と人見教授。その上で「状況が一変した今、教える、教わるという立場を越え、原子力とどうつきあうか一人一人が考えていけるよう導いていくのが教師の役目」と話している。 

(全文転載終わり)
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 2011年11月6日投稿

上に投稿した産経新聞の「放射線」授業復活 知らないから不安になるが言うような、放射線の「正しい」知識を教えれば「不安」や「心配」を持たないはずという前提で、不安や心配を取り除くことを主眼にして教えている例が、10月11日、NHKテレビの「クローズアップ現代」で放送された。 

番組HPに掲載された番組の動画の一部では、福島第一原発から40kmの相馬市の小学校の校長が、近くの小川から教室の5倍の放射線量のザリガニを取ってきて、東京から相馬市に派遣されている放射線の専門家(東京大学医科学研究所・坪倉正治医師)に相談。専門家は、外についている放射性物質をちゃんと水洗いすればよい、ザリガニの体内の放射性物質が入っていても、放射線量を確認すれば、触って観察が出来る、とアドバイス。

これをうけて、校長はザリガニを水で洗い、放射線量を教室と同程度(0.10-0.09μSv/hr)までに下げて教室に持っていって「放射性物質の性質について」授業。

校長:「体の中に放射性(物質)が入っているザリガニ触っても大丈夫なの?」
子どもたち(口々に):「オッケー、いや ダメ」「大丈夫」「内部被ばく」「ダメ」
校長:「ダメ? 先生も昨日までそう思っていたの。でも、大丈夫だって。 体の表面に放射性(物質)がついているとすれば、これは落としたほうがいい。」

(子どもがザリガニを手でつかんでいる画像)
校長の声:目玉よく見て。近づけて。

記者のナレーション:「放射性物質をうまく取り除ければ、放射線量を低くできることを教えました。」


NHKクローズアップ現代 「どう教える”放射線”」(2011年10月11日放送) http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3105 (2011年10月29日閲覧)

(番組のサイトから番組紹介を全文転載)(太字は投稿者)
学 習指導要領の改訂により、来年度から中学校の理科で放射線に関する教育が31年ぶりに本格的に復活する。しかし教師のほとんどは指導経験が皆無の上、ベク レル、シーベルト、グレイなど放射性物質にまつわる単位を理解させるだけでも難しい。福島第一原発の事故以来、溢れる放射線の情報の中から、正しい知識を いかに教えていくのか、教育現場では既に模索が始まっている。いたずらな不安や恐怖の原因となる“思い込み”を生まないように、実際に土壌の放射線測定実験に取り組む中学校や、ザリガニなど子どもに馴染みある生き物の観察授業を通して被曝とは何かを教える小学校など、放射線に関するより深い理解を促す授業を試みる教育現場を取材。動き始めた放射線教育の最前線を伝える。

投稿者注:放送の一部の動画を番組のサイトで見ることが出来ます。

【関連記事】医療ガバナンス学会のメールマガジンから、上の「クローズアップ現代」に出てきた坪倉正治医師に関する部分を抜粋。この記事からすると、放射線教育も子どもの「放射線トラウマ」を軽減する役割を担うべきだということになるのかもしれない。

(医療ガバナンス学会メールマガジン Vol,303)小松秀樹「放射能トラウマ」 (2011年10月27日 06:00) http://medg.jp/mt/2011/10/vol303.html#more(2011年11月6日閲覧)

(引用はじめ)(太字は投稿者)

●坪倉正治医師
南相馬市は、原発事故によって、警戒区域、屋内退避区域(後の緊急時避難準備区域)、計画的避難区域、避難指示のない区域に分断されました。東大医科研の 坪倉正治医師は、4月以後、南相馬、相馬で、診療に加えて、ホールボディカウンターによる内部被ばくの検査、健診、健康相談、除染に携わっています。そし て何より、地域の状況を科学的な形で世界に発信すべく、努力を重ねています。科学的というのは、調査方法や調査対象を正確に示し、調査結果を体系的に表現 し、さらに、結果が示すところの範囲を議論することです。これは、この地域の原発事故に対する対応策の基礎資料となります。定性的な議論は、感情論にな り、別の被害をもたらします。被ばくがあったかどうかが問題なのではなく、量が問題なのです。

私が、友人から送られてきた情報を検討したり、ネット上で検索したりした限りでは、慢性被ばくによる大きな実被害の報告は、ほとんどありません。二世、三世に影響がでたという証拠はこれまで示されていないはずです。
慢性被ばくで、これまで報告された中で最大の被害は、チェルノブイリの小児の甲状腺がんです。放射性ヨウ素が原因だとされています。

10月12日、亀田総合病院で坪倉医師の講演を聴く機会がありました。坪倉医師は、環境中の放射線量と内部被ばくの測定結果から、被ばくによる健康障害は ほんど起きないのではないかと予想しています。今後も継続的調査が必要だとしていますが、データによっては、予想を修正することもあります。
南相馬市立病院の及川友好副院長や坪倉医師たちによる内部被ばくの調査で、チェルノブイリの住民に比べて、福島の住民の内部被ばくが圧倒的に少ないことが 分かりつつあります。放射性ヨウ素は半減期が短く、坪倉医師によると、南相馬でホールボディカウンターによる内部被ばく調査が始まった時点で、すでに観察 できなくなっていました。

チェルノブイリでは、食糧不足、流通体制の不備などのため、食糧は自給自足でした。このため、事故後も、汚染地域で生産された食物を食べざるを得ませんで した。これによって、内部被ばくが継続した可能性があります。日本では、食品の検査と、出荷制限が比較的厳格に実施されています。放射性同位元素の体内へ の取り込みは、事故後の一時期に集中したと思われていますが、継続的調査が必要です。データとして、チェルノブイリと福島の違いがきちんと検出できれば、 状況を落ち着かせるのに役立ちます。
坪倉医師は4月から南相馬と相馬で活動していますが、9月段階で、本人には、内部被ばくはありません。現状では、南相馬市の原町区で生活しても、内部被ばくは生じません。

今回の原発事故による被ばくでがんが増えるとしても、ごくわずかで、実感できるような数ではないはずです。福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下 俊一氏が、年間100ミリシーベルトまで大丈夫だ、安心だと講演で語りました。山下氏の発言はおおむね正しいのだろうと思います。ただし、壮大な調査をし てやっと検出できる程度のごくわずかながんの増加はあるかもしれません。

福島の原発事故で、慢性被ばくによる明らかな被害は現在のところ認められていません。しかし、避難などによる生活の変化や、被災後の報道を含めた社会から の影響は、はるかに深刻な健康障害をもたらしています。坪倉医師は、避難生活での偏った食事、運動不足、薬剤不足で、高齢者の多くに、健康被害が生じたと 話していました。実際に、坪倉医師の調査では、避難によって、特別養護老人ホームの要介護者の単位日数当たりの死亡率が4倍に上昇したことが分かっていま す。

ちなみに、放射線量は、2011年10月、南相馬市立総合病院の玄関の外で、毎時0.2から0.3マイクロシーベルトです。24時間屋外にいても、被ばく 量は年間1.7から、2.6ミリシーベルトです。自然界にはもともと放射線があり、日本は年間1ミリシーベルト程度です。世界平均は年間2.4ミリシーベ ルトです。現状で、とるべき態度は、「過去の慢性被ばくのデータからは、大きな実被害は予想されない。しかし、予想外のものもあるかもしれないので、厳重 に観察していきましょう」というところでしょう。

●放射能トラウマ
坪倉医師は、健診や健康相談で、一人当たり30分の時間をかけて、生活の状況や心配事を丁寧に聴いています。これまで大勢から話を聴いて、原発事故による 最大の被害は、子供の放射能トラウマだと確信するようになったそうです。多くは、大人の放射能トラウマによる二次的放射能トラウマだそうです。年齢が低い ほどトラウマの程度が強い印象があるとのことです。女子高校生が将来子供を産めないと話しているということまで伝わってきます。さらに、鬱状態になった大 人がつらく当たって、子供に身体症状を伴うような深刻な影響が生じる事例が目に付くそうです。坪倉医師は、マスメディアの報道が、この地域に、放射能汚染 そのものを超える大きな害をもたらしていると感じています。

医師でもある立谷秀清相馬市長も、子供の放射能トラウマが、地域の最大の問題だと考えています。放置すれば、子供たちが、社会に上手に適応できなくなるか もしれません。子供の教育に差し障りが生じるかもしれません。教育に差し障りが生じれば、一生、ハンディを背負うことになります。結果として、子供たちと 地域社会の将来を奪うことになりかねません。科学的調査とそれに基づく対応策が求められます。それも、壮大な調査ではなく、調査目的を限定して、結果を早 く出す必要があります。慢性被ばくより、はるかに深刻な被害が生じうるので、素早く対応しなければならないからです。

(引用終わり)

XII.1.泊原発3号機営業運転再開についての対照的な報道

8月17日、高橋はるみ北海道知事は泊原発3号機の営業運転再開に同意し、同日、営業運転が再開された。これについての報道で、NHKは(震災被災者団体以外は)再開容認の泊村住民の声のみを伝えたが、対照的に、STVは、紛糾した前日の道議会の様子や道議会議員の意見、30キロ圏内の自治体の懸念も含めて報道した。

NHK:泊原発3号機 営業運転を再開 (8月17日17時19分) 

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110817/t10014965441000.html
(2011年8月17日閲覧)

定期検査中の調整運転が異例の5か月間も続いていた北海道電力の泊原子力発電所3号機について、北海道の高 橋知事が営業運転の再開を認めたことを受けて、経済産業省の原子力安全・保安院は、北海道電力に対して定期検査の終了証を交付し、泊原発3号機は営業運転 を再開しました。東日本大震災のあと定期検査中の原発が営業運転を再開したのは、泊原発3号機が初めてです。
北海道電力の泊原発3号機は、通常は1か月程度で終わる定期検査中の調整運転が5か月間も続き、原 子力安全・保安院は、今月10日から2日間、営業運転への移行に必要な最終検査を行い、異常がないことを確認しています。しかし、最終検査の申請が地元の 判断を待たずに行われたとして、北海道側から反発が出たことから、経済産業省は最終判断を見送っていましたが、北海道の高橋知事は17日午後1時半すぎ、 営業運転の再開を容認する考えを正式に表明しました。これを受けて、原子力安全・保安院は、17日午後4時から北海道電力に対して定期検査の終了証を交付 し、泊原発3号機は調整運転を終えて営業運転を再開しました。終了証を手渡した原子力安全・保安院の原子力発電検査課の山本哲也課長は「安全の確保をしっ かりしたうえで運転をしてほしい」と述べました。東日本大震災のあと、定期検査中の原発が営業運転を再開したのは、泊原発3号機が初めてです。

北海道電力泊原子力発電所の地元、泊村の牧野浩臣村長は、「高橋知事が、『地元の意見を聞いたうえで容認した』ということで、われわれも北海道の考え方と同 じ考え方なので立地町村としても容認したい」と述べました。また、定期検査中の原発としては震災後、全国で初めての営業運転再開となることについては、 「たまたまそうなっただけで順番の問題ではない。北海道電力は、より一層の安全確認を行うなかで常に危機感を持って対策を進めてほしい」と述べました。

泊村に住む50代の女性は、「いずれは原発を廃止することも必要になると思うが、みんな電気を使うので今すぐにはできない。営業運転再開もしょうがない」と 話していました。また、別の50代の女性は、「原発は怖いけれども、村の産業にもなっているのでもしなくなれば、この村自体にも影響が出る。一概にだめとはいえない」と話していました。

北海道内に避難してきた震災の被災者たちで作る市民団体が北海道庁を訪れ、泊原発3号機の営業運転再開を 容認しないことや、原発に頼らず自然エネルギーを促進させることなどを求める要望書を提出しました。この団体の代表で、自身も福島県から家族と避難している宍戸隆子さんは、「福島第一原発の事故以降、原発は絶対安全だとは言えない。自分も福島県からつらい思いをして避難してきたので、北海道の人たちには同 じ思いをして欲しくない」と話していました。

17日、営業運転を再開した泊原発3号機は、全国で定期検査などのために止まっているほかの 原発とは、異なる状態にありました。泊原発3号機が続けてきた「調整運転」は、通常、定期検査の最終段階に当たり、実際に原子炉を動かしながら段階的に出 力を上げて、異常がないかをおよそ1か月かけてチェックします。調整運転の期間中には、経済産業省の原子力安全・保安院の職員が原子炉の状態などを監視す る最終検査も行われ、問題が無いと判断されれば、終了証が交付されて営業運転に移ります。調整運転では、原子炉を動かして発電や送電が行われるため、原発 の状況は実質的には営業運転と変わりません。泊原発3号機では、東日本大震災の影響で原子力安全・保安院の最終検査を受けないまま、調整運転を、3月7日 から異例の5か月余りに渡って続けてきたことになります。一方で、現在、国内の原発は、定期検査などのために全体の72%に当たる39基が停止していて、 このうち、最終段階の調整運転まで進んでいる原発はありません。また、定期検査から運転を再開する際には、新しい安全評価、いわゆる「ストレステスト」の 1次評価を受けることが先月、決まりました。このため、運転が止まっている各地の原発は、ストレステストを実施するなどして安全を確認するのに加えて、地元の自治体や住民の理解も得なければならず、運転を再開するまでは多くの課題が残されています。


STV: 泊3号再開 早過ぎる結論に違和感も

 
http://www.youtube.com/watch?v=Zo9y4uc2CW0&feature=youtube_gdata&utm_medium=twitter&utm_source=twitterfeed
(2011年8月17日閲覧)


[北海道新聞]  
泊3号機営業運転 札幌市長「市の意見聞くべきだ」(北海道新聞 2011/08/18 06:55)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/312475.html
(2011年8月18日閲覧) 

高橋はるみ知事が泊原発3号機の営業運転再開を容認したことについて、札幌市の上田文雄市長は17日、「福島第1原発の被害範囲を鑑みれば、道は泊原発から60~70キロ圏内にある札幌市にも判断資料を提供し、意見を聴取すべきだった」とのコメントを発表、道の対応に不満を示した。
 また上田市長は、道に対しては北電に万全な安全対策や泊原発に関する情報公開を強く要求し、その実施状況を監視するよう、北電に対しては国からの指示、道からの要請に適切に対応するよう求めた。

(2011年8月17日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2011081702000060.html (2011年8月19日閲覧)
北海道電力泊原発3号機は営業運転再開へ動きだしたが、最終判断をした高橋はるみ北海道知事の、北海道電力との蜜月ぶりには驚かされる。同社幹部からの政治献金は毎年の恒例。北電元会長が資金管理団体の会長も務める。原発「全機停止」の事態を避けたかった経済産業省にとって、これほどの“人材”はなかったはずだ。 (小国智宏、篠ケ瀬祐司) [投稿者註:電子版には記事全文のみ掲載]

北海道電力泊原発3号機の営業運転再開を容認した高橋はるみ道知事の資金管理団体「萌春会」に対し、北電役員が組織的な献金を行っていたことが、日本共産党道議団の調べでわかりました。
 萌春会の政治資金収支報告書によると、2006年に、北電の南山英雄顧問(元会長)10万円、近藤龍夫会長5万円、濱田賢一社長と矢野義尚副社長が3万円、西村求副社長、大内全常務らが2万円など、13人の役員が計39万円の献金をしています。
 07年も南山顧問をはじめ15人の役員が06年同様、役職でランク分けされた金額の献金を計42万円しています。
 全員の献金期日が06年は6月12日、07年は5月8日であるなど献金は組織的で、事実上の企業献金であることを示しています。
 北海道経済連合会の会長も務めた南山顧問は、萌春会の会長です。
 日本共産党道委員会と真下紀子道議は8月1日、高橋知事に、「泊原発の営業運転の『再開』を認めないこと」などを申し入れた際、公益企業である北電役員からの献金を受け取らないこと、返金することを求めました。
 原発立地県の知事への電力会社側の献金では、九州電力玄海原発の運転再開問題を抱える佐賀県の古川康知事の政治団体が、九電佐賀支店長らから計42万円の献金を受け取っていたことが判明しています。

 


Thursday, August 18, 2011

IX.4. レベル7引き上げの翌日(4/13)、交付金支給規則を全面改正。記者発表せず、官報告示のみ

東京新聞が8月17日に報道:経済産業省と文部科学省が4月13日(事故レベル7への引き上げの翌日)に「電源立地地域対策交付金」の交付規則を全面改正していた。記者発表はせず、官報での告示のみ。

(1)
交付金で原発後押し レベル7翌日「新設は増額」(東京新聞
 2011年8月17日 07時01分)  http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011081790070009.html (2011年8月18日閲覧)

画像

原子力関係予算を握る経済産業省と文部科学省が福島第一原発事故の一カ月後、原発の立地自治体などに交付金を支給する規則を全面改正し、新増設時の交付額を増やす一方、既設の原発では発電実績に応じて交付額を決める方式に変更していたことが分かった。事故収束に向けた見通しが立たず、原因究明もままならない時期に、新増設や運転を後押しする改正をしていたことになる。

 改正したのは「電源立地地域対策交付金」の交付規則。四月十三日に改正され、海江田万里経産相と高木義明文科相の連名で、同日付の官報に告示した。経産省原子力安全・保安院が福島第一原発事故の国際評価尺度を、旧ソ連チェルノブイリ原発事故と同じレベル7に引き上げた翌日のことだった。

 改正規則では、原発を新設したり増設したりする際の交付金の単価を増額。発電能力(出力)百三十五万キロワットの原発を新設する場合だと、運転開始までの十年間に立地自治体へ支給する額は、四百四十九億円から四百八十一億円に三十二億円上積みした。

 一方、既設の原発では、発電実績を重視する仕組みに変わった。

 立地外の都道府県に電力を供給した際に交付する「電力移出県等交付金相当部分」は、たとえ発電量がゼロでも、原発の規模に応じた交付金が支払われてきた。二年間の経過措置はあるものの、今後は発電量だけが基準になる。

 運転開始の翌年から運転終了まで長期間にわたり支給する「長期発展対策交付金相当部分」や、使用済み核燃料再処理工場などの地元に交付する「核燃料サイクル施設交付金相当部分」も、発電量や稼働実績を重視して交付する。

 新増設に反対する市民団体からは実績主義への変更によって運転を停止すると交付金が減るため、地元自治体が停止を求めにくくなると指摘が出ている。

 資源エネルギー庁は今回の規則改正を記者発表せず、官報に告示しただけだった。説明用の冊子も二〇〇四年二月に規則を制定した際には、表紙に「大改正後の新たな交付金制度」と記し、「新たに地域活性化事業が交付対象事業に追加」などと、これまでの制度との違いが分かるようになっていた。だが、今回は新制度の内容しかなく、どこを変更したのか前の冊子と比べないと分からない。

 同庁電源地域整備室は「昨年六月にエネルギー基本計画が閣議決定され、これに基づき改正したが、地元からの要望もあった」と説明。官報の告示時期には「特段大きな意味はない」としている。

<エネルギー基本計画> 2002年に制定されたエネルギー政策基本法に基づき、エネルギーの需給に関する長期的、総合的な施策を進めるために政府が策定する。昨年6月に菅直人内閣が閣議決定した基本計画では、原子力について「安全の確保を大前提として、国民の理解と信頼を得つつ、新増設の推進、設備利用率の向上」などを図るとしている。30年までに14基以上の新増設を行う目標を掲げている。

(東京新聞)


(2)

8月17日 泊原発の営業運転、交付金支給規則変更、韓国の原発事情について 小出裕章(MBS) (2011年8月18日閲覧)

[録音]

http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/08/18/tanemaki-aug17/ 

*交付金支給規則については、4:05分頃から。

[書き起こし] 交付金支給規則の変更について
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65758445.html



Tuesday, August 16, 2011

IX. 「コンピューター監視法」が2ヵ月半でスピード成立

「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(「ウイルス作成罪」、「コンピューター監視法」)が2ヵ月半でスピード成立

  2011年4月1日    国会提出 

  2011年5月24日   衆議院法務委員会に付託

  同 5月31日 午前  衆議院法務委員会で可決

       同日 午後   衆議院本会議で可決

  同 6月17日      参議院本会議で可決(法案成立)


[法務省HPより]
 可決成立日  平成23年6月17日
 公布日     平成23年6月24日
 官報掲載日  平成23年6月24日
 施行日     罰則整備に係る部分については,      
一部を除き,平成23年7月14日
 

 

(1)この法律の成立を伝える新聞記事

クローズアップ2011:「ウイルス作成罪」新設/データ差し押さえ制度 (毎日新聞 2011年6月17日 東京朝刊) http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20110617ddm003010089000c.html (2011年8月16日閲覧)

 ◇改正刑法・刑訴法きょう成立 サイバー犯罪に歯止め、捜査権限拡大に懸念の声も

 コンピューターウイルスの作成罪を新設した刑法改正案と、捜査機関の電子データ差し押さえ手続きなどを定めた刑事訴訟法改正案が16日、参院法務委員会で可決された。共に17日の参院本会議で成立する見通しだ。捜査権限の拡大に懸念の声も残る一方、「サイバー犯罪」への歯止めになるとの期待も集まる。政府は、条件が整ったとして国際条約への加盟手続きを進め、世界的な捜査協力体制への参画を進める。【石川淳一、鮎川耕史】

 新設される「ウイルス作成罪」(不正指令電磁的記録作成罪)はコンピューターウイルスを「意図に沿った動作をさせず、不正な指令を与える電磁的記 録」などと定義。研究など正当な理由が無いのに作成したり、ばらまいた場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金、所持・保管した場合は2年以下の懲 役または30万円以下の罰金とする。
 ウイルスを使った犯罪は、短期間に増幅し拡散する。これまで捜査当局は「パソコンに意図的に侵入させた」「記録を破壊した」など各段階を立証し器物損壊罪を適用するなど苦心を重ねてきたが、作成をつかんだ段階で立件が可能になる。
 ネットワーク空間を舞台にしたサイバー犯罪は増加の一方だ。警察庁の摘発件数まとめでは、05年の3161件が10年には6933件と5年で倍以上に達した。日本は児童ポルノ発信国としての悪評も浴びてきた。今回の刑法改正では、わいせつな画像データを不特定多数に電子メールで送信する行為についても処罰対象に加えた。
 また、刑事訴訟法改正案は、捜査機関が電子データを証拠収集するための法的手続きを整備。(1)プロバイダー(接続業者)にデータ提出を命じて差 し押さえる制度(2)記録が保管されたサーバーからのデータ複写を認める制度(3)プロバイダーに通信履歴の保管を最長60日間求める制度--などを新設 する。
 これらの制度は、捜査当局が長年必要性を訴えてきた。組織犯罪の共謀段階での摘発を狙う「共謀罪」新設と共に03年以降3度、国会に提出されたが 廃案となり、慎重論の根強い共謀罪を切り離し今国会に提出された。だが、問題点を指摘する声も残る。日本弁護士連合会国際刑事立法対策委員長の山下幸夫弁 護士は「捜査側に認められる裁量がかなり広い。容疑の掛かる対象以外にも網を掛けて差し押さえの対象とする可能性があり、捜査を抑止するチェック体制も無い」と指摘。「運用上の基準を早期に示すべきだ」と話す。
 一方、慶応大法科大学院の安冨潔教授(刑事法)は「差し押さえは限定的に裁判所の許可を得て行われるもので、無限に捜査の幅が広がることは無い」 と説明。「目に見えない電子データを目に見える形にして差し押さえるための改正。サイバー犯罪捜査に極めて有効だ」と位置付ける。

 ◇「実害の発生に先手」警察関係者期待

 「被ばくに対する防護対策について」。東日本大震災発生後、こんな題のメールが多数に送り付けられた。添付されている「福島原発」などのファイルを開くとウイルスに感染し、個人情報が盗まれる危険がある。
 セキュリティー大手・シマンテック社が昨年新たに発見したウイルスは2億8600万種。ウイルスによるパソコンの感染は計31億件に上った。利用 者が拡大するスマートフォンを狙ったウイルスも目立ち始めている。トレンドマイクロ社は今年5月末までにスマートフォンを対象とした57種のウイルスを確認したという。
 警察当局は「ドライブバイダウンロード攻撃」と呼ばれる手口にも警戒を強めている。正常を装ったサイトを用意し、ウイルスをダウンロードさせる。画面上にファイルの実行を促す表示が無く、閲覧者は感染に気付かない。
 03年以降、ウイルスや「スパイウエア」と呼ばれるソフトなどが利用された事件は国内で計13件検挙されたが、作成自体は処罰の対象にならなかった。このため、他人のID・パスワードを無断利用する行為や、他人名義でネットショッピングをして商品をだまし取る行為など、現行法の適用が可能な被害を 把握した上で検挙する手法がとられてきた。だが、その捜査の間にもウイルスが広がるという状況が、捜査員を悩ませてきた。
 警視庁が昨年8月に摘発したタコイカウイルス事件でも、捜査当局は複数の適用法令を検討した。音楽ファイルを装い、パソコン内のファイルをイカや タコのキャラクター画像に改変するウイルス。パソコンの文書作成機能が失われる点などに着目し、器物損壊容疑で27歳の男を逮捕したが、公判で被告側は 「ハードディスクが物理的に損壊されたのではなく、ファイルが利用不能となったに過ぎない」と無罪主張している。
 「ウイルス作成罪は実害の発生に先手を打つ捜査に欠かせない武器になる」。ある捜査関係者は期待感をあらわにして語った。

 ◇条約加盟推進、国際協力参画へ

 ウイルスを侵入させたり、データを盗み出すなどネット上の攻撃は今、米政府高官が「サイバー戦争」と表現するなど世界各国にとっての脅威だ。国家 機関や巨大企業が狙われる事態も相次ぎ、ソニーも世界で約7700万人が利用するインターネット配信サービスが攻撃を受け個人情報が流出した。ネット上で 「国境」の意味は薄く、国をまたいだ捜査が必要なケースも少なくない。
 これらの事態に対応するための「サイバー犯罪条約」は04年発効。今年5月末現在、欧米を中心に31カ国が加盟する。日本も01年時点で条約に署 名。だが、加盟国には、違法アクセスやウイルス製造、児童ポルノ頒布を犯罪として定めることが求められており、正式加盟に至っていなかった。改正刑法などの成立後、国は手続きに入る方針。加盟後は、捜査援助のために24時間対応可能な連絡部署を設置することが求められる。
毎日新聞 2011年6月17日 東京朝刊


(2) 法務省ホームページから

情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00025.html

いわゆるコンピュータ・ウイルスに関する罪について
http://www.moj.go.jp/content/000076666.pdf


(3)関連動画 

【動画】私たちのインターネット通信を監視する「コンピュータ監視法」とは何か(2011年1月24日)
http://portside-station.net/2011/01/23/6859/ (2011年8月16日閲覧)

【動画】衆議院本会議が「コンピュータ監視法」を可決(2011年5月31日)


 2011年8月19日追記

上のYouTube動画は削除されました。

5月31日の衆議院本会議のビデオは、『衆議院TV 』の「ビデオライブラリ」で閲覧できます。「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」は19:17頃から

1)審議を初めから見るには「 中継中 」をクリックする。(19:17頃から) 

又は、

2)「奥田建(法務委員長)」をクリック。

 

投稿者注:投稿時(8月19日)、上の二つのリンク(1と2)は生きています。リンクが生きていない場合、衆議院TVのサイトから検索してください。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php 

  • 次の項目を入れて検索する 

    • 開会日; 2011年5月31日   

      会議名: 本会議

      いずれかを含む(or)

  • 検索結果から、「5月31日」「本会議」を選ぶ。

   1)審議を初めから見るには「 中継中 」をクリックする。(19:17頃から) 

又は、

   2)「説明・質疑者等」から「奥田建(法務委員長)」を選ぶ。

 






 





Monday, August 15, 2011

IX.2. どさくさまぎれに沖縄防衛局が辺野古に「名護防衛事務所」を設置

沖縄防衛局 名護事務所を設置 (沖縄タイムス 2011年4月1日 09時24分)

http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-04-01_16111/
(2011年8月15日閲覧)

【名護】沖縄防衛局は31日、日米両政府で米軍普天間飛行場代替施設の移設先として合意した名護市辺野古に「名護防衛事務所」を設置した。名護市以北の在沖米軍基地関連の事件、事故などに対応するほか、同移設関連の情報収集や地元との連絡調整、米軍北部訓練場の過半返還に伴う東村高江のヘリコプター着陸帯移設工事などを担う。
 職員6人体制でスタートし、段階的に44人に増やす方針という。時期や増員後の役割については「決まっていない」としている。同局調達部次長だった吉田廣太郎氏が所長に就いた。
 真部朗局長は開所後の訓示で、名護市や県が辺野古移設に反対している現状を踏まえ、「まずは県民の理解が前提だが、(理解を)得られれば、事務所の意義、役割は格段に高まる。将来の進展の可能性を念頭に、日々の業務にあたってほしい」と述べた。
 稲嶺進名護市長は同日、市役所で記者団の質問に答え、「今の県内状況から考えて基地建設が進むことはあり得ない。名護市民はひるむことなく、反対の意志を貫徹する」と話した。