Thursday, December 15, 2011

VIII.4.子どものガラスバッジは何のため?

福島県の市町村で、小学生に個人線量計(ガラスバッジ)を持たせて、外部被曝の積算線量を測定する試みが9月の新学期から始まった。だが、子どもや保護者には線量はわからず、1ヵ月ごとに専門機関が積算線量の解析を行い、その結果を保護者に知らせる仕組みになっている。

だが、こうした市町村レベルでの取り組みにたいし、政府や文部省の支援はなく、積算線量の評価やそれを受けての対策など、各市町村では戸惑いも多いと報道されている。

そもそも、線量計をつけている子ども本人や保護者にはその時々の被曝線量はわからず、1ヵ月以上経ってから「積算被曝量はこれだけでした」と言われても、被曝を避ける助けにはならない。 実際、線量計を子どもに持たせる動機が、被曝を避けるためではなく、放射線に対する子どもや保護者の不安を払拭するためなのだから、被曝していたことがわかった場合でも、判で押したように、「問題になるレベルではない」。はじめに結論ありき、と言われても仕方がないだろう。

(1)(msn産経ニュース)福島市の小学校で始業式 ガラスバッジ配布でスタート2011.9.1 15:49 (1/2ページ) http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110901/dst11090115510021-n1.htm(2011年11月16日閲覧)(全文転載)(太字は投稿者)

 移転した福島県三春町で行われた富岡町立小中学校と幼稚園の開設式=1日午前
移転した福島県三春町で行われた富岡町立小中学校と幼稚園の開設式=1日午前

福島市の小中学校で1日、一斉に2学期がスタートした。福島県内では多くの市町村が8月25日に始業式を行ったが、同市は暑さ対策などを考慮して、1週間遅らせた。

市立福島第1小(福島市杉妻町)では、東京電力福島第1原発の事故の影響などで、夏休み中に10人が転校したが、残った170人の全校児童が元気よく登校した。

始業式で福井一明校長は「心配ごとや気をつけることもあるが、規則正しい生活で丈夫な体を作ってほしい」とあいさつ。

各学年の最初の授業では、担任が児童一人ひとりに、外部被曝量を測定する「ガラスバッジ」と、外出先などを記録する「生活日誌」を配った。また、夏休み中に実施した除染の結果を説明するなど、異例の新学期となった。

「放射線を避けるために遠くに長期間行った人はいる?」との担任の呼び掛けに、児童らから「北海道」「長崎」「新潟」「大阪」「山形」など、続々と声が上がった。
「茨城や新潟に行った」という6年生の女子児童は「夏休み中は家にいることが多く、外で遊べるのは1日15分くらいだけだった。ガラスバッジをもらって不安を感じた。最近はつけないけどマスクをいつも持っている」と話した。

同小は8月に校舎や校庭を除染し、地表の除去も実施した。校庭の空間線量率(高さ50センチ)は毎時2・85マイクロシーベルトから同0・26マイクロシーベルトに下がったが、地表が固まっていない場所も多いため、当面は使用を見合わせ、少しずつ解除していくという。

また、9月には会津や山形などで計5日間、自然体験や屋内プールなどの課外授業を行う予定だ。

福島市では、ガラスバッジは登校時にはカバンなどに入れておけばいいが、外出の際は首からさげて携帯するよう指導している。3カ月間着用し、1カ月ごとに回収し、専門機関で被曝線量を解析する
(転載終わり)

(2)(福島民報)健康対策指示なし 子どものガラスバッジ結果通知(2011/10/06 10:45) http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4147&blockId=9895001&newsMode=article  (2011年11月16日閲覧)(太字は投稿者)  


  外部被ばく量を測定する個人積算線量計(ガラスバッジ)の子どもらへの配布をめぐり、県民や市町村がどう健康対策に生かすか困惑している。伊達市は結果に 福島医大の教授の所見を添付したが、今後の生活に対する指示はない。川俣町は今のところ、数値を通知するのみにとどまっている。一方、郡山市が5日に配布 を始めるなど、全ての市町村がバッジか線量計を配る計画を持つ。県はバッジ配布に補助しているが、その後の対応は市町村任せ。国の支援もなく、関係者は疑問を投げ掛けている

■何を伝えれば ■素っ気ない国
伊達市は3日から分析結果を対象者約8400人に配布した。結果には数値と、市健康管理アドバイザーの宍戸文男・福島医大教授のアドバイスを添付。今後除染でさらに数値が下がることや、健康被害がないと予測されることなどが記載されている

「数値別にコメントを書き分けることが必要だ」。4日の市災害対策本部会議で、仁志田昇司市長は、アドバイスが総括的なコメントにとどまり具体的な対応策がないため、改善する考えを示した。さらに今後、健康相談会を開く予定。

川俣町は7月から3カ月ごとに約2500人の積算放射線量を測定している。町によると、3カ月で最大約1ミリシーベルトを被ばくしたとの測定結果が出ているという。現在は乳幼児や妊婦、高校生の結果を通知するにとどまっているが、町教委は「今月末には園児や小中学生らの測定結果も出そろう。その後、町復興支援アドバイザーの近畿大に結果分析を依頼し、来月には結果を踏まえた健康への影響などについて説明会を開きたい」とする。

福島市は9月に測定したガラスバッジを住民から回収しており、間もなく測定結果を住民に通知する。その際、数値以外の何らかのコメントを付けるかどうか を検討しているが、結論は出ていない。担当者は「積算線量を評価する基準が明確でなく、市レベルでは数値を基に住民に何を伝えればいいのか、判断できない」と実情を明かした。

ガラスバッジは1カ月や3カ月の期間を区切り、その期間の外部被ばくの積算線量を算出する。ただ、0.1ミリシーベルトの単位までしか測定できない。例 えば0.06ミリシーベルトは「0.1ミリシーベルト」の表示となるが、0.04ミリシーベルトは「0」となるという

「数値だけが分かっても住民は納得しない」。市町村の担当者からは国、県の対応に批判が漏れる。

ある自治体の担当者は「国、県の動きは遅過ぎる。放射線の数値の分析や具体的な対応について早急に支援すべき。市町村任せにするのはおかしい」と憤っている。

文部科学省の原子力災害対策支援本部は「(ガラスバッジ配布は)市町村独自の取り組みであり、支援などの対応をする考えはない」と素っ気ない。

県は測定結果の住民説明について「まずは市町村が行うべき」とするが、専門家派遣などの要請があれば支援をする方針。

※背景
個人積算線量計(ガラスバッジ)は原発事故に伴い、放射線に対する子どもや保護者の不安を払拭(ふっしょく)しようと、川俣町が6月下旬に県内のトップ を切り配布を始めた。県によると、9月末までに福島、二本松、伊達、本宮各市など17市町村がガラスバッジを配布している。大玉、北塩原、湯川、西郷の4村は線量計を貸し出している。

【写真】配られたガラスバッジを確かめる児童=5日、郡山市の富田東小
(2011/10/06 10:45)

(3)(毎日新聞)個人被ばく線量:最大1.7ミリシーベルト 9月の福島市(2011年11月1日)http://mainichi.jp/select/science/news/20111102k0000m040093000c.html (2011年11月16日閲覧)(全文転載)

福 島市は1日、妊婦や子供ら3万6989人に配布した個人線量計(ガラスバッジ)で9月に測定した被ばく線量を公表した。1カ月の線量は小学3年 女児の1.7ミリシーベルトが最大で、女児の兄弟3人も1.4~1.6ミリシーベルトだった。自宅近くに高線量スポットがあり、県外に転居したという。市の担当者は「健康に影響を与える数値ではない」と話している

市 は3万6478人から個人線量計を回収して分析。他に1ミリシーベルトを超えた人はなく、0.1ミリシーベルト未満16%▽0.1ミリシーベル ト64%▽0.2ミリシーベルト17%▽0.3ミリシーベルト2%--で0.3ミリシーベルト以下が99%を占めた。0.4ミリシーベルト105人 ▽0.5ミリシーベルト25人▽0.6ミリシーベルト6人▽0.9ミリシーベルト1人--だった。

市は10~11月の積算線量も測定中で、今回を含めた3カ月間の結果を基に影響を評価する。【清水勝】

毎日新聞 2011年11月1日 20時56分

(転載終わり) 

【参考資料】

(1)福島市HP 個人線量計(ガラスバッジ)配付のお知らせ
http://shinsai.city.fukushima.fukushima.jp/?p=5015

平成23年8月
福島市健康推進課  個人線量計(ガラスバッジ)についての Q & A 集 

(2)ガラス線量計について
以下の内容を、nahohana様のサイトより転載させていただきます。   http://nanohana.me/?p=7191 (2011年11月16日閲覧)

ガラス線量計について

ガラスバッジ

放射線を照射すると発光する性質を持つようになる、特殊なガラス素材を使用した、一種の線量計。個人が受けた積算の放射線量を計ることができる。なお、ガラスバッジが受けた放射線量を計測するには、専門の装置が必要となる。

→ ガラスバッジによる線量測定サービス
→ 南相馬市ウェブサイトのガラスバッジQ&A

(転載終わり)

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