Tuesday, December 20, 2011

II.A.12.消費者の意見のうち、批判的な部分を削除して報道する

NHKテレビは、12月20日、厚生労働省が食品に含まれる放射性物質についての新たな基準値を定める方針であると報道した。夜7時のニュースで、提案された新基準値について2人の女性消費者への街頭インタビューを紹介。夜9時の『ニュースウオッチ9』では、同じインタビュー動画を使ったが、消費者の意見のうち、新基準値を評価している部分のみを流し、最も厳しい基準値を求めた部分や実際の影響には不安が残るという意見は削除して放送。その結果、その2人の消費者が、新基準値を手放しで評価しているかのような印象を創り出した。

(NHKニュース)食品の放射性物質 新たな基準方針(12月20日 17時33分) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111220/k10014781311000.html (2011年12月20日閲覧)(全文転載)

食品に含まれる放射性物質の新たな基準値について、厚生労働省は、一般食品は現在の暫定基準値の5分の1に当たる、1キログラム当たり100ベクレル、乳児用の食品と牛乳は50ベクレルなどとする方針を固めました。

食品に含まれる放射性物質の基準について、厚生労働省は、原発事故から一定の期間が経過し、食品から検出される放射性物質の量が少なくなっていることなどから、これまでの暫定基準値から新たな基準値を設定するための検討を進めていました。その結果、被ばく量の限度の目安を現在の5分の1の年間1ミリシーベルトに引き下げたうえで、「一般食品」の放射性セシウムの基準値は、暫定基準値の5分の1に当た る、1キログラム当たり100ベクレル、成人より放射線の影響を受けやすいと指摘されている子ども向けの「乳児用食品」と「牛乳」は50ベクレル、そし て、摂取量が多い「飲料水」は10ベクレルとする方針を固めました。厚生労働省は、一部の食品については、混乱が起きないよう、一定期間、経過措置を設けることを検討しているということで、今週開かれる審議会の部会などにこの案を提示し、答申を受けたうえで、来年4月から新たな基準を適用したいとしています。

[投稿者注:ニュースの動画では、ここに、2人の消費者のインタビュー]

厚生労働省がまとめた食品に含まれる放射性物質の新しい基準の案について、災害時のリスク心理学などが専門の東京女子大学の広瀬弘忠 名誉教授は、「これまでの暫定基準値よりかなり厳しい基準になっており、乳児用食品の基準がほかの食品と分けて示された点も消費者に分かりやすく、よかっ たと思う」と、一定の評価をしました。一方で、基準の適用に経過措置の期間が設けられることについては、「経過措置を取っている間は一部の食品はこれまで の暫定基準値で流通するので、消費者の理解を得られるか疑問だ。経過措置はできるだけ取らないほうがいい」と話し、速やかに新たな基準を適用していくべき だと指摘しました。
(転載終わり)

* * *

1.7時のニュースの中で紹介された、東京・品川区の2人の消費者の意見。
  • 消費者1.「今までの基準値が甘すぎたということがあるんで、ようやく明確になったのはよかったとは思うんですけど、やっぱり基準値は、ちゃんと最も厳しい基準値にしないといけないし」
  • (画面に出た字幕:「今までの基準値が甘すぎた ようやく明確になったのはよかった 基準値は最も厳しいものにしないといけない」
  • 消費者2.「基準があるのはありがたいことなんですけども、実際に影響がどういう風にってのは、すごい未知のことだと思うので、ま、不安は残ります」
  • (画面に出た字幕)「基準があるのはありがたいが、実際に影響がどうなるかというのは未知のことだと思うので不安は残る」
2.2時間後の『ニュースウオッチ9』で同じニュースを伝えたが、上の2人の消費者の意見は、どちらも、後半部分を削除して流し、まるで手放しに評価しているかのように伝えた。
  • 消費者1:「今までの基準値が甘すぎた ようやく明確になったのはよかった」 
  • 消費者2:「基準があるのはありがたい」

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