Saturday, December 24, 2011

IX.5.a.リトアニアへの原発輸出

東電福島第一原発事故収束が依然見えない中、原発メーカーや経済産業省原発輸出を目指して動いている。7月14日、日立製作所は、リトアニア原発のプラント建設の優先交渉権を獲得したと発表。福一事故後、世界初の契約。 

(1)リトアニア原発、日立陣営が優先交渉権 事故後の契約は世界初 (MSN産経ニュース 2011.7.14 23:36) 
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110714/biz11071423440027-n1.htm (2011年8月22日閲覧) (記事全文を転載)(太字は投稿者) 
 
 日立製作所は14日、リトアニア政府が2020年の稼働を目指すビサギナス原子力発電所について、プラント建設の優先交渉権を獲得したと発表した。 年内の正式受注を目指す。受注額は4千億円規模とみられる。東京電力福島第1原発事故後、日本メーカーも含めて世界で原発新設の契約が結ばれたのは初めて。同原発計画には日立・米ゼネラルエレクトリック(GE)連合と、東芝・米ウェスチングハウス連合が応札し、受注競争を繰り広げていた。 

 日立・GEが提案したのは、福島第1原発の沸騰水型軽水炉(BWR)を改良した「改良型沸騰水型軽水炉」(ABWR)。炉心冷却用の電源が喪失した場合の代替電源を確保し、冷却機能も強化した。

 リトアニアは、ロシアからのエネルギー供給への依存度を引き下げるため、原発の建設を計画。同原発から電力を供給する周辺のエストニア、ラトビア、ポーランドなども計画に参画する予定だ。

 受注が正式決定した場合、日立・GEは、リトアニアが08年に設立した原発プロジェクト会社に出資した上で、プラントの建設を進める。 

(記事全文転載終わり 

(2) リトアニアの原発建設 日立が優先交渉権獲得の裏側
(J-CASTニュース 2011/8/ 5 11:40)
http://www.j-cast.com/2011/08/05103233.html?p=all (2011年8月22日閲覧)(記事全文転載)

菅 直人首相の「脱原発」発言で日本の原発政策が迷走する中、日立製作所・米ゼネラルエレクトリック(GE)連合が2011年7月14日、リトアニアの原発建 設の優先交渉権を獲得し た。東日本大震災後も日本の原発技術への信頼性が揺らいでいないことの証明となったが、選定の真の決め手は日立による建設計画への多額の 出資とみられている。関係者の間では「日立は原発を『売った』のではなく、『買った』」との皮肉な見方がもっぱらだ。
   リトアニアのスベダス・エネルギー省次官は会見 で、日立を選定した理由について「資金面で最も有利な提案をした」と説明。同省は「資本面での関与も考慮した」との声明を出し、日立によるプロジェクトへの多額の出資が決め手になったことを示唆した。

日立・GE連合と東芝・米ウェスチングハウス連合が激しく競り合う

   2020 年の稼働を目指すリトアニアのビサギナス原発の受注を巡っては、日立・GE連合のほか、東芝・米ウェスチングハウス連合も名乗りを上げ、激しく競り合っ た。震災後、日本メーカーにとって初の海外案件とあって、受注すれば自社の原発の安全性をアピールする絶好の機会になるからだ。日立、東芝とも原発事業を 拡大する戦略を堅持しているだけに、この案件を震災の逆風にさらされる原発輸出の突破口にしたい考えだった。
    日立の中西宏明社長は6月中旬、リトアニアのクビリウス首相と面会し、原発建設プロジェクトへ出資する姿勢を強調した。ウェスチングハウス欧州部門のトップも6月下旬、首相に出資の意向を示し、一歩も引かない構えを見せた。

「数千億円も出資して利益が出るのか」

   だが、両陣営の出資に関する提案内容には開きがあったようだ。関係者によると、東芝陣営が1割程度の出資比率を打診したのに対し、日立は5割程度、数千億円規模の出資を提案した模様だ。最終的に、この点が両陣営の評価を分けたという。
    業界では、日立の提案に対して「数千億円も出資して利益が出るのか」と疑問視する向きが多い。それでも日立が多額の資金を出すのは、震災で国内の原発新設 が事実上不可能になる中、原発事業を継続していくには輸出を増やすことが不可欠だからだ。「日立は自分でお金を出してでも、海外に原発を建てたいのだろ う」と皮肉る業界関係者もいる。 

(3)GE日立:ポーランド初の原発受注、リトアニアでの計画が追い風にBloomberg.co.jp 2011/08/02 01:02 JST)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ardB8zFRwUqg (2011年8月22日閲覧)(記事全文転載)(太字は投稿者)

8月1日(ブルームバーグ):ポーランド初の原子力発電所建設の受注を目指しているゼネラル・エレクトリック(GE)と日立製作所原子炉合弁会社GE日立ニュークリア・エナジーは、隣国リトアニアで獲得した原発建設プロジェクトがコスト削減や材料の共有につながることから、ポーランドでの受注に追い風となるとの見解を示した 
 GE日立は、ポーランド最大の公益事業会社PGEとの交渉準備を進めている。PGEは発電量最大3000メガワットの原発建設を目指し、パートナー企業を模索している。リトアニアは先月、旧ソ連時代に建設された原発に代わる原発建設でGE日立を選定した
  GE日立の原発プロジェクト担当シニアバイスプレジデント、ダニエル・L・ロデリック氏はリトアニアのプロジェクトや期限通りの納品実績、ポーランドでの 同社のプレゼンスがライバル企業との競争において有利に働くだろうと述べた。競合する可能性のある企業として、米ウェスチングハウス・エレクトリック (WH)やフランスのアレバを挙げた。
 ロデリック氏は先月28日、ワルシャワでのブルームバーグのインタビューで、「受注に向けて非常に積極的に動く」と述べ、「距離の近い2カ所で同時に原発プロジェクトを進めることは当社にとってコスト削減につながる。また、リトアニア原発建設に必要な労働力や材料の多くはポーランドから来ることになるだろう」と続けた。

原題:GE Plans ‘Aggressive’ Bid to BuildPoland’s First Nuclear Plant 
 (記事全文転載終わり)
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2011年9月30日投稿
 
来日したリトアニアのセクモカス・エネルギー相が枝野経産相と会談】

(1)(時事)リトアニア原発に協力=輸出に前向き-枝野経産相 (2011/09/28-21:25)(2011年9月30日閲覧)

(記事全文を転載)
枝 野幸男経済産業相は28日、原発の新設を計画しているリトアニア政府のセクモカス・エネルギー相と経産省で会談した。同国政府は、東京電力福島第1原発事 故後の7月、新設プロジェクトの優先交渉権を日立製作所に与えており、同相は「日本企業にも輸出の機会をもたらすものだ」として、計画実現に日本政府の支 援を要請。枝野経産相は、世界最高水準の安全性を有する原発の実現に向けて協力していく意向を伝えた

野田佳彦首相は先の国連会合で原発輸出に前向きな考えを示しており、枝野経産相もこれに沿ってリトアニア政府に協力する姿勢を示したとみられる。(2011/09/28-21:25

(記事全文を転載終わり)  
投稿者注:文中のリンクは投稿者が加えました。 

(2)(日経)日本の原発技術に期待 リトアニア・エネルギー相 (2011/9/28 19:54)(2011年9月30日閲覧)  

( 記事全文を転載)   
来日したリトアニアのセクモカス・エネルギー相は28日夕、経済産業省で枝野幸男経産相と会談した。7月に日立製作所・米GE連合が優先交渉権を獲得し たヴィサギナス原子力発電所建設計画(出力130万キロワット)について、エネルギー相は「今後(日本とは)重要な関係が続いていくと思う」と述べ、日本 の原発技術に期待感を示した。経産相は「福島原発事故の教訓を生かし、世界最高水準の安全性を有する原発の実現に向けて協力したい」と話した。 (全文転載終わり)                         
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2011年10月27日投稿

日立GEニュークリア・エナジー(株)HP より http://www.hitachi-hgne.co.jp/index.html

(1)リトアニアにおける新規原子力発電所建設プロジェクトのストラテジック・インベスターに選定 2011年7月14日 株式会社日立製作所 http://www.hitachi-hgne.co.jp/news/2011/20110714.html (2011年10月27日閲覧)

株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)は、このたび、リトアニア共和国(以下、リトアニア)が計画するビサギナス原子力発電所建設プロジェクトのストラテジック・インベスター*1に選ばれました。日立は今後、正式受注に向けた条件の調整を独占的に行っていきます。

リトアニアは、同国北東部 のビサギナスで新規原子力発電所の建設を計画しており、2020年の運転開始を めざしています。2008年には、同原子力発電所建設プロジェクトに対する出資に関する交渉を行い、同プロジェクトを進めるためのプロジェクト会社ビサギ ノ・アトミネ・エレクトリネ(Visagino Atominė Elektrinė/以下、VAE)を設立し、2009年にはリトアニア議会がビサギナスでの原子力発電所建設を認める法案を採択しています。

日立および日立GEニュー クリア・エナジー株式会社(取締役社長:魚住 弘人/以下、日立GE)は、リトアニア政府に対して、ストラテジック・インベスターとしてビサギナス原子力発電所建設プロジェクトに出資を行い、第三世代 原子炉として世界で唯一運転実績のある改良型沸騰水型原子炉(Advanced Boiling Water Reactor/以下、ABWR)を提供すること提案しています。今回提案しているABWRは、東日本大震災の経験を踏まえ、代替電源の確保や機動的な除 熱機能の復旧対策反映等、さらに安全性を向上させたものです。
なお、建設プロジェクト遂行にあたっては、日立の原子力事業のパートナーである米国GEおよびGE日立ニュークリア・エナジーとも連携します。さらに、日 立および日立GEは、本プロジェクトにおいて現地企業との協力関係も構築し、現地の産業における発電所の建設と運営の双方での雇用の創出にも貢献していき ます。

日立は、GEとの連携の下、安全性を高めた最新の技術を通じて、リトアニアおよび周辺協力国*2への電力の安定供給と経済発展に貢献していきます。
*1
ストラテジック・インベスター:原子力産業での経験を有する1社が選ばれ、本新規原子力発電所建設プロジェクトに対して、出資を伴うプロジェクト受注に向けた優先交渉権をもつ。
*2
周辺協力国:エストニア共和国、ラトビア共和国およびポーランド共和国の国営電力会社がビサギナス原子力発電所建設プロジェクトに参画予定。
続きを読む

(2)日立GEニュークリア・エナジー(株)HP 「ニュースリリース」のページ http://www.hitachi-hgne.co.jp/news/index.html (2011年10月27日閲覧)(一部を抜粋)

2011年09月21日
GE日立ニュークリア・エナジー、ポーランドの原子力発電プロジェクトにおいて米国のエンジニアリング会社と提携(GE日立ニュークリア・エナジープレス)
 
2011年09月16日
世界の主要原子力企業が行動原則を採択
2011年09月06日
GE日立ニュークリア・エナジー、ポーランドの大学と共同で、人材教育に関する協力体制を構築(GE日立ニュークリア・エナジープレス)
2011年08月26日
カナダ サスカチュワン州と日立が放射線医療分野における共同研究開発に関する覚書を締結
2011年08月01日
GE日立ニュークリア・エナジー、ポーランド初の原子力発電所建設プロジェクトへの協力に向けポーランド企業のネットワークを拡充(GE日立ニュークリア・エナジー プレス)
2011年07月25日
東南アジアにおける原子力エネルギー分野の人材育成プログラムを開始

(抜粋終わり)

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2011年11月11日投稿

(ロイター)リトアニア、日立連合の原発建設で年末までの契約締結目指す (11月11日(金)14時0分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111111-00000249-reu-int (2011年11月11日閲覧)(全文転載)

 [ビリニュス 10日 ロイター] リトアニアのセクモカス・エネルギー相は、同国のビサギナス原発建設プロジェクトで、政府が日立製作所 <6501.T>・米ゼネラル・エレクトリック(GE)<GE.N>連合と今年末までの契約締結を計画していることを明らかにした。同地のエネルギー関連 会議で語った。

セクモカス・エネルギー相と同じ会議に出席していた日立GEニュークリア・エナジーの齊藤荘蔵取締役会長は、同相が示した合意期限が可能かとのロイターの問いに対し、「そう期待する」と答えた。

一方で、セクモカス・エネルギー相は、原発建設で提携する近隣国がもっと時間を必要とする場合、出資者と利権に関わる契約締結は2012年初めにずれ込む可能性がある、との考えを示した。

ラトビアとエストニアはすでに原発建設プロジェクトに関心を示しているが、独自で原発建設を計画しているポーランドはまだ最終決定を行っていない。

計画では、各パートナーは出資割合に応じて原発から原価で電力供給を受け、市場での売電もできる。

同計画のプロジェクト会社ビサギノ・アトミネ・エレクトリネ(VAE)のRimantas Vaitkus最高経営責任者(CEO)は「原発自体は非営利ベースで稼働する予定だ」と語り、総建設費は50億ユーロを下回るとの見方を示した。

齊藤取締役会長は「価格について推測はしたくない。依然交渉中だ」と語った。

リトアニアは、日立が改良型沸騰水型原子炉(ABWR)の提供だけでなく、プロジェクトへの出資に関わることも望んでいる。

同氏は、計画している出資額の公表は避けたものの、「明らかに、われわれは50%以上を占めていない」と述べた。


(転載終わり)
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 2011年12月24日投稿

(1)(読売新聞)日立、リトアニアの原発建設で仮契約(2011年12月23日20時15分) http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111223-OYT1T00514.htm(2011年12月24日閲覧)(全文転載)

日立製作所は23日、リトアニア北東部で計画されているビサギナス原子力発電所の建設について、リトアニアのエネルギー省と仮契約を結び、暫定合意したと発表した。

来年2月中旬に最終的な契約を結ぶ予定だ。

ビサギナス原発は、2020年の運転開始を目指している。日立は21日に、リトアニアのエネルギー省に対して原発建設で導入する技術について詳細を報告し、承認を得たことで仮契約に至った。

日立は今後、ラトビアなど周辺国を交え原発建設への出資額などを協議する。日立は今年7月中旬、最新型で出力も大きい改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)の建設で、優先交渉権を獲得していた。
(2011年12月23日20時15分  読売新聞)
(転載終わり)

(2)(asahi.com) 日立、リトアニアと原発建設の仮契約締結 (2011年12月23日23時49分)
 (2011年12月24日閲覧)(全文転載)

  日立製作所は23日、リトアニア政府が建設を計画中のビサギナス原子力発電所の建設受注に向け同国と仮契約を結んだと発表した。今後、ラトビア、エスト ニアを加えて共同出資のプロジェクト会社をつくり、来年2月の基本合意を目指す。正式に契約できれば日立が海外から原発建設を受注する初のケースとなる。
(転載終わり)

Wednesday, December 21, 2011

II.E.2.ツイッターで情報発信の早川由紀夫・群馬大教授に訓告処分

先春以来、汚染マップを発表し、放射能汚染の危険性、特にコメの放射能汚染について主にツイッターで警告を発してきた群馬大学・早川由紀夫教授に対し、2011年12月7日、群馬大学は、教授が「不適切な」発言を繰り返したとして、訓告処分を学長名の文書で言い渡した。これについて、大手メディアは、「福島の農家をオウム信者にたとえる」などという見出しで報道したが、インターネットでは、早川教授の学問の自由、言論の自由の侵害だとして、早川教授を擁護・支援する声が上がった。

(1)Peace Philosophy Centre 「群馬大早川教授への訓告は学問の自由、言論の自由の重大な侵害である」(December 08, 2011) http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/12/blog-post_08.html (2011年12月12日閲覧)

(2)真相究明 堀田伸永オフィシャルサイト 「鳴きすぎるからといって「炭坑のカナリア」を絞め殺してよいのか—- 群馬大 @Gunma_Univ ・早川由起夫 @HayakawaYukio 教授筆禍事件の背景にあるもの」 http://kyumei.me/?p=353 (2011年12月12日閲覧)

(3)机の上の空 大沼安史の個人新聞より

〔フクシマ・NEWS 〕 福島民報 「被災地の農家批判の教授処分 群馬大、ツイッター発言で 」 早川教授、ツイッターで「ついに伝わった」

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【2011月12月9日 早川教授記者会見動画】

早川由紀夫訓告記者会見中止命令(上)


Uploaded by on Dec 8, 2011
【あらすじ】2011年12月8日、群馬大学当局から訓告を受けた早川教授の記者会見は、教室の使用を取り消され、2時間の年休を取って研究室で行おうとするも、学部長の­妨害工作が続いた。小池学部長と背後に戸澤事務長の布陣です。

早川由紀夫訓告記者会見中止命令(下)


Uploaded by on Dec 8, 2011

111209 【完全版再配信】群馬大学早川由紀夫教授の訓告処分を受けての記者会見  


【関連報道】

(毎日新聞) 群馬大:教授処分 福島の農家をオウム信者にたとえる(2011年12月8日) http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111209k0000m040065000c.html
(2011年12月12日閲覧)(全文転載)

東京電力福島第1原発事故による放射能汚染マップを4月に公表した群馬大教育学部の早川由紀夫教授(火山学)が、短文投稿サイト「ツイッター」 で、福島県の農家をオウム真理教信者にたとえる書き込みをしたのは不適切だとして、同大が7日付で訓告処分にしていたことが分かった。

早川教授はツイッターに「セシウムまみれの水田で稲を育てて毒米つくる行為も、サリンつくったオウム信者がしたことと同じ」などと書き込んでい た。早川教授は「放射能の危険性を多くの人に迅速に広めるため、過激な発言で注目を集める必要があった」と説明している。【喜屋武真之介】
毎日新聞 2011年12月8日 21時30分
(全文転載)

【関連投稿ー「早過ぎた安全宣言?」】 http://johosousa.blogspot.com/2011/12/xi6.html 

Tuesday, December 20, 2011

II.A.12.消費者の意見のうち、批判的な部分を削除して報道する

NHKテレビは、12月20日、厚生労働省が食品に含まれる放射性物質についての新たな基準値を定める方針であると報道した。夜7時のニュースで、提案された新基準値について2人の女性消費者への街頭インタビューを紹介。夜9時の『ニュースウオッチ9』では、同じインタビュー動画を使ったが、消費者の意見のうち、新基準値を評価している部分のみを流し、最も厳しい基準値を求めた部分や実際の影響には不安が残るという意見は削除して放送。その結果、その2人の消費者が、新基準値を手放しで評価しているかのような印象を創り出した。

(NHKニュース)食品の放射性物質 新たな基準方針(12月20日 17時33分) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111220/k10014781311000.html (2011年12月20日閲覧)(全文転載)

食品に含まれる放射性物質の新たな基準値について、厚生労働省は、一般食品は現在の暫定基準値の5分の1に当たる、1キログラム当たり100ベクレル、乳児用の食品と牛乳は50ベクレルなどとする方針を固めました。

食品に含まれる放射性物質の基準について、厚生労働省は、原発事故から一定の期間が経過し、食品から検出される放射性物質の量が少なくなっていることなどから、これまでの暫定基準値から新たな基準値を設定するための検討を進めていました。その結果、被ばく量の限度の目安を現在の5分の1の年間1ミリシーベルトに引き下げたうえで、「一般食品」の放射性セシウムの基準値は、暫定基準値の5分の1に当た る、1キログラム当たり100ベクレル、成人より放射線の影響を受けやすいと指摘されている子ども向けの「乳児用食品」と「牛乳」は50ベクレル、そし て、摂取量が多い「飲料水」は10ベクレルとする方針を固めました。厚生労働省は、一部の食品については、混乱が起きないよう、一定期間、経過措置を設けることを検討しているということで、今週開かれる審議会の部会などにこの案を提示し、答申を受けたうえで、来年4月から新たな基準を適用したいとしています。

[投稿者注:ニュースの動画では、ここに、2人の消費者のインタビュー]

厚生労働省がまとめた食品に含まれる放射性物質の新しい基準の案について、災害時のリスク心理学などが専門の東京女子大学の広瀬弘忠 名誉教授は、「これまでの暫定基準値よりかなり厳しい基準になっており、乳児用食品の基準がほかの食品と分けて示された点も消費者に分かりやすく、よかっ たと思う」と、一定の評価をしました。一方で、基準の適用に経過措置の期間が設けられることについては、「経過措置を取っている間は一部の食品はこれまで の暫定基準値で流通するので、消費者の理解を得られるか疑問だ。経過措置はできるだけ取らないほうがいい」と話し、速やかに新たな基準を適用していくべき だと指摘しました。
(転載終わり)

* * *

1.7時のニュースの中で紹介された、東京・品川区の2人の消費者の意見。
  • 消費者1.「今までの基準値が甘すぎたということがあるんで、ようやく明確になったのはよかったとは思うんですけど、やっぱり基準値は、ちゃんと最も厳しい基準値にしないといけないし」
  • (画面に出た字幕:「今までの基準値が甘すぎた ようやく明確になったのはよかった 基準値は最も厳しいものにしないといけない」
  • 消費者2.「基準があるのはありがたいことなんですけども、実際に影響がどういう風にってのは、すごい未知のことだと思うので、ま、不安は残ります」
  • (画面に出た字幕)「基準があるのはありがたいが、実際に影響がどうなるかというのは未知のことだと思うので不安は残る」
2.2時間後の『ニュースウオッチ9』で同じニュースを伝えたが、上の2人の消費者の意見は、どちらも、後半部分を削除して流し、まるで手放しに評価しているかのように伝えた。
  • 消費者1:「今までの基準値が甘すぎた ようやく明確になったのはよかった」 
  • 消費者2:「基準があるのはありがたい」

Thursday, December 15, 2011

VIII.4.子どものガラスバッジは何のため?

福島県の市町村で、小学生に個人線量計(ガラスバッジ)を持たせて、外部被曝の積算線量を測定する試みが9月の新学期から始まった。だが、子どもや保護者には線量はわからず、1ヵ月ごとに専門機関が積算線量の解析を行い、その結果を保護者に知らせる仕組みになっている。

だが、こうした市町村レベルでの取り組みにたいし、政府や文部省の支援はなく、積算線量の評価やそれを受けての対策など、各市町村では戸惑いも多いと報道されている。

そもそも、線量計をつけている子ども本人や保護者にはその時々の被曝線量はわからず、1ヵ月以上経ってから「積算被曝量はこれだけでした」と言われても、被曝を避ける助けにはならない。 実際、線量計を子どもに持たせる動機が、被曝を避けるためではなく、放射線に対する子どもや保護者の不安を払拭するためなのだから、被曝していたことがわかった場合でも、判で押したように、「問題になるレベルではない」。はじめに結論ありき、と言われても仕方がないだろう。

(1)(msn産経ニュース)福島市の小学校で始業式 ガラスバッジ配布でスタート2011.9.1 15:49 (1/2ページ) http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110901/dst11090115510021-n1.htm(2011年11月16日閲覧)(全文転載)(太字は投稿者)

 移転した福島県三春町で行われた富岡町立小中学校と幼稚園の開設式=1日午前
移転した福島県三春町で行われた富岡町立小中学校と幼稚園の開設式=1日午前

福島市の小中学校で1日、一斉に2学期がスタートした。福島県内では多くの市町村が8月25日に始業式を行ったが、同市は暑さ対策などを考慮して、1週間遅らせた。

市立福島第1小(福島市杉妻町)では、東京電力福島第1原発の事故の影響などで、夏休み中に10人が転校したが、残った170人の全校児童が元気よく登校した。

始業式で福井一明校長は「心配ごとや気をつけることもあるが、規則正しい生活で丈夫な体を作ってほしい」とあいさつ。

各学年の最初の授業では、担任が児童一人ひとりに、外部被曝量を測定する「ガラスバッジ」と、外出先などを記録する「生活日誌」を配った。また、夏休み中に実施した除染の結果を説明するなど、異例の新学期となった。

「放射線を避けるために遠くに長期間行った人はいる?」との担任の呼び掛けに、児童らから「北海道」「長崎」「新潟」「大阪」「山形」など、続々と声が上がった。
「茨城や新潟に行った」という6年生の女子児童は「夏休み中は家にいることが多く、外で遊べるのは1日15分くらいだけだった。ガラスバッジをもらって不安を感じた。最近はつけないけどマスクをいつも持っている」と話した。

同小は8月に校舎や校庭を除染し、地表の除去も実施した。校庭の空間線量率(高さ50センチ)は毎時2・85マイクロシーベルトから同0・26マイクロシーベルトに下がったが、地表が固まっていない場所も多いため、当面は使用を見合わせ、少しずつ解除していくという。

また、9月には会津や山形などで計5日間、自然体験や屋内プールなどの課外授業を行う予定だ。

福島市では、ガラスバッジは登校時にはカバンなどに入れておけばいいが、外出の際は首からさげて携帯するよう指導している。3カ月間着用し、1カ月ごとに回収し、専門機関で被曝線量を解析する
(転載終わり)

(2)(福島民報)健康対策指示なし 子どものガラスバッジ結果通知(2011/10/06 10:45) http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4147&blockId=9895001&newsMode=article  (2011年11月16日閲覧)(太字は投稿者)  


  外部被ばく量を測定する個人積算線量計(ガラスバッジ)の子どもらへの配布をめぐり、県民や市町村がどう健康対策に生かすか困惑している。伊達市は結果に 福島医大の教授の所見を添付したが、今後の生活に対する指示はない。川俣町は今のところ、数値を通知するのみにとどまっている。一方、郡山市が5日に配布 を始めるなど、全ての市町村がバッジか線量計を配る計画を持つ。県はバッジ配布に補助しているが、その後の対応は市町村任せ。国の支援もなく、関係者は疑問を投げ掛けている

■何を伝えれば ■素っ気ない国
伊達市は3日から分析結果を対象者約8400人に配布した。結果には数値と、市健康管理アドバイザーの宍戸文男・福島医大教授のアドバイスを添付。今後除染でさらに数値が下がることや、健康被害がないと予測されることなどが記載されている

「数値別にコメントを書き分けることが必要だ」。4日の市災害対策本部会議で、仁志田昇司市長は、アドバイスが総括的なコメントにとどまり具体的な対応策がないため、改善する考えを示した。さらに今後、健康相談会を開く予定。

川俣町は7月から3カ月ごとに約2500人の積算放射線量を測定している。町によると、3カ月で最大約1ミリシーベルトを被ばくしたとの測定結果が出ているという。現在は乳幼児や妊婦、高校生の結果を通知するにとどまっているが、町教委は「今月末には園児や小中学生らの測定結果も出そろう。その後、町復興支援アドバイザーの近畿大に結果分析を依頼し、来月には結果を踏まえた健康への影響などについて説明会を開きたい」とする。

福島市は9月に測定したガラスバッジを住民から回収しており、間もなく測定結果を住民に通知する。その際、数値以外の何らかのコメントを付けるかどうか を検討しているが、結論は出ていない。担当者は「積算線量を評価する基準が明確でなく、市レベルでは数値を基に住民に何を伝えればいいのか、判断できない」と実情を明かした。

ガラスバッジは1カ月や3カ月の期間を区切り、その期間の外部被ばくの積算線量を算出する。ただ、0.1ミリシーベルトの単位までしか測定できない。例 えば0.06ミリシーベルトは「0.1ミリシーベルト」の表示となるが、0.04ミリシーベルトは「0」となるという

「数値だけが分かっても住民は納得しない」。市町村の担当者からは国、県の対応に批判が漏れる。

ある自治体の担当者は「国、県の動きは遅過ぎる。放射線の数値の分析や具体的な対応について早急に支援すべき。市町村任せにするのはおかしい」と憤っている。

文部科学省の原子力災害対策支援本部は「(ガラスバッジ配布は)市町村独自の取り組みであり、支援などの対応をする考えはない」と素っ気ない。

県は測定結果の住民説明について「まずは市町村が行うべき」とするが、専門家派遣などの要請があれば支援をする方針。

※背景
個人積算線量計(ガラスバッジ)は原発事故に伴い、放射線に対する子どもや保護者の不安を払拭(ふっしょく)しようと、川俣町が6月下旬に県内のトップ を切り配布を始めた。県によると、9月末までに福島、二本松、伊達、本宮各市など17市町村がガラスバッジを配布している。大玉、北塩原、湯川、西郷の4村は線量計を貸し出している。

【写真】配られたガラスバッジを確かめる児童=5日、郡山市の富田東小
(2011/10/06 10:45)

(3)(毎日新聞)個人被ばく線量:最大1.7ミリシーベルト 9月の福島市(2011年11月1日)http://mainichi.jp/select/science/news/20111102k0000m040093000c.html (2011年11月16日閲覧)(全文転載)

福 島市は1日、妊婦や子供ら3万6989人に配布した個人線量計(ガラスバッジ)で9月に測定した被ばく線量を公表した。1カ月の線量は小学3年 女児の1.7ミリシーベルトが最大で、女児の兄弟3人も1.4~1.6ミリシーベルトだった。自宅近くに高線量スポットがあり、県外に転居したという。市の担当者は「健康に影響を与える数値ではない」と話している

市 は3万6478人から個人線量計を回収して分析。他に1ミリシーベルトを超えた人はなく、0.1ミリシーベルト未満16%▽0.1ミリシーベル ト64%▽0.2ミリシーベルト17%▽0.3ミリシーベルト2%--で0.3ミリシーベルト以下が99%を占めた。0.4ミリシーベルト105人 ▽0.5ミリシーベルト25人▽0.6ミリシーベルト6人▽0.9ミリシーベルト1人--だった。

市は10~11月の積算線量も測定中で、今回を含めた3カ月間の結果を基に影響を評価する。【清水勝】

毎日新聞 2011年11月1日 20時56分

(転載終わり) 

【参考資料】

(1)福島市HP 個人線量計(ガラスバッジ)配付のお知らせ
http://shinsai.city.fukushima.fukushima.jp/?p=5015

平成23年8月
福島市健康推進課  個人線量計(ガラスバッジ)についての Q & A 集 

(2)ガラス線量計について
以下の内容を、nahohana様のサイトより転載させていただきます。   http://nanohana.me/?p=7191 (2011年11月16日閲覧)

ガラス線量計について

ガラスバッジ

放射線を照射すると発光する性質を持つようになる、特殊なガラス素材を使用した、一種の線量計。個人が受けた積算の放射線量を計ることができる。なお、ガラスバッジが受けた放射線量を計測するには、専門の装置が必要となる。

→ ガラスバッジによる線量測定サービス
→ 南相馬市ウェブサイトのガラスバッジQ&A

(転載終わり)

Monday, December 12, 2011

X.4. 文部科学省が高校生と高専生の「放射線等に関する課題研究活動」を支援

文部科学省は、高校生と高等専門学校生を対象にして、「放射線等に関する課題研究活動の支援」プロジェクトを実施。7月に参加校を募集し、8月1日に35の参加校を発表、そのうちの8校を選んで12月26日に発表会を行う。

8校の発表の後には、放射線医学総合研究所・緊急被ばく医療研究センター長の杉浦紳之氏による「放射線影響について」という特別講演が予定されている。

 

文部科学省 原子力教育支援情報サイト「あとみん」のHPより

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文科相「放射線等に関する課題研究活動の支援」の発表会開催のご案内
(2011年11月28日)(1ページ目を転載)


* * *

(2011年8月1日)


http://www.atomin.go.jp/data/pdf/news/20110729_guidebook.pdf  (2011年12月12日閲覧)

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机の上の空 大沼安史の個人新聞より転載

〔フクシマ・NEWS〕 「放射能の甲子園」? 文科省 26日に「放射線等に関する課題研究活動の成果発表会」 全国35校中、評価の高かった高校8校が参加 
→ http://www.atomin.go.jp/data/pdf/news/20111128_researchSupport.pdf
 
 ◇東大工学部2号館で

 ◇発表校
北海道砂川高等学校
早稲田大学本庄高等学院(埼玉県)
京都府立鴨沂高等学校
京都府立桃山高等学校
奈良県立奈良朱雀高等学校
愛媛県立弓削高等学校
福岡県立玄界高等学校
熊本県立大津高等学校

(転載終わり)