(時事ドットコム)「ヨウ素10兆ベクレル」未公表=世界版SPEEDI試算-文科省、安全委連携不足(2012/04/03-12:49)http://www.jiji.com/jc/zc?k=201204/2012040300430 (2012年4月29日閲覧)(全文転載)
東京電力福島第1原発事故で、昨年3月15日、放射性物質の拡散予測データ「世界版SPEEDI」の試算結果で、千葉市内で計測されたヨウ素を基に推計 した同原発からの放出量が毎時10兆ベクレルという高い値が出ていたにもかかわらず、文部科学省と原子力安全委員会の間で十分な連携が取られず、現在も公表されていないことが3日、分かった。
文科省や安全委によると、世界版SPEEDIは放出される放射性物質の拡散状況を半地球規模で予測するシステム。日本原子力研究開発機構が同システムを運用しており、昨年3月も文科省の依頼を受け、試算を行っていた。
それによると、昨年3月14日午後9時ごろに福島第1原発から放出されたヨウ素の量は毎時10兆ベクレル、セシウム134、137もそれぞれ同1兆ベクレルと推計された。
この試算データの評価について、文科省は安全委の担当と判断し、同16日に安全委へデータを送るよう同機構に指示した。同機構はメールに添付して送信した が、安全委は重要情報と認識せず、放置したという。同様にデータを受け取っていた文科省も、安全委に公表するよう連絡しなかった。(2012/04 /03-12:49)
(転載終わり)
(東京新聞)世界版SPEEDI 「全部公表」データに穴 (2012年4月3日) http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2012040302000142.html (2012年4月29日閲覧)(全文転載)
東京電力福島第一原発事故の際、文部科学省の依頼で日本原子力研究開発機構(原子力機構)が放射性物質の拡散を予測した「世界版
(W)SPEEDI(スピーディ)」の試算結果の一部が、一年以上たった今も公開されていないことが分かった。緊急時に原発周辺への拡散を予測する国内版
の「SPEEDI」と同様に公表対象だが、試算結果が原子力安全委員会に送られたため、依頼主の文科省と安全委のどちらが公表するか宙に浮いたままになっ
ている。
未公表となっているのは、東日本大震災から五日目の昨年三月十五日に行われた試算結果。本紙が独自に入手した原子力機構の説明書によると、千葉市で観測された放射性物質の濃度を基に、WSPEEDIを使い一時間当たりの放出量を推定した。
試算によると、千葉で観測された放射性物質は三月十四日午後九時ごろに放出され、濃度はヨウ素が毎時一〇テラベクレル(一テラは一兆)だった。十五日朝に房総半島まで広がったとみられる。原子力機構は添付文書に「計算の精度は比較的高い」と記している。
濃度はピーク時の千分の一程度だった。
文科省によると、この試算の翌日の十六日に官邸で放射線モニタリングに関する省庁間の協議があり、測定値の評価は安全委が担当することに決まっ
た。WSPEEDIなどへの言及はなかったが、同省はそれらの運用も安全委の担当になったと解釈。試算結果を同省でなく、安全委に送るよう原子力機構に指
示した。
原子力機構は、その日のうちにメールで安全委に送付。しかし、文科省と安全委の間の連絡が不十分で、昨年五月に文科省がWSPEEDIの試算結果をホームページで公表した際は、双方ともこの試算結果の存在に気付かなかったという。
安全委は当初、本紙の取材に「結果は届いていない」と回答したが、その後、担当者のパソコンに届いていたことが分かった。
政府は結果を公表する方針だが、文科省、安全委とも「自らが発表する立場ではない」と主張。互いに公表の責任を押しつけ合う事態になっている。
放射性物質の拡散予測をめぐっては、文科省などが事故直後からSPEEDIで試算を重ねながら結果を公表せず、批判を招いた。昨年五月に政府は全面公開を表明。文科省はWSPEEDIの結果もSPEEDIに準じて、すべて公表したと説明していた。
政府はSPEEDIについて「計算条件を設定した機関が公表する」としており、これに従えば文科省が公表することになる。
(転載終わり)
(転載終わり)
(東京新聞)世界版拡散予測 未公表さらに1500枚(2012年4月28日 夕刊) http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012042802000234.html (2012年4月29日閲覧)(全文転載)
東京電力福島第一原発事故の際、広範囲の放射性物質拡散を予測する「世界版(W)SPEEDI(スピーディ)」の試算結果に公表漏れがあった問題
で、さらに千五百枚近い拡散予測図が未公表になっていたことが分かった。WSPEEDIを運用する日本原子力研究開発機構(原子力機構)から、原子力安全
委員会と文部科学省に同時に送られていたが、両者の間で十分な連携が取られず、宙に浮いた形になっていた。
安全委は二十七日深夜、ホームページ(HP)に未公表分をすべて掲載した。
公表されたのは、昨年三月十六日から四月八日にかけて福島第一から毎時一~五ベクレルの放射性物質が放出されたと仮定した放射性物質拡散の予測図などで計千四百六十四枚。
安全委は「事故でのWSPEEDIの活用は文科省の指示で始まった」とし、予測図は本来は文科省が公表すべきものだと主張してきた。今回の公表について「事故時の放射性物質の総放出量推定で予測図の一部を活用した経緯もあり、この推定の説明性をさらに高めるための資料として公表に踏み切った」とし
ている。
原子力機構は、事故後の昨年三月十四日からWSPEEDIの運用を開始。当初は文科省の依頼を受けて試算を続けていたが、同省は二日後の十六日、
省庁間の仕分けで、放射線モニタリングの評価は安全委の担当になったとして、試算結果を安全委に送るよう原子力機構に指示した。
これを受けて、原子力機構は十六日以降、試算した予測図を安全委に送ったが、文科省にも送り続けた。
安全委は文科省から一方的に予測図が送られ引き継ぎが不十分だったとも主張。経緯を示すため予測図とともに同省から安全委と原子力機構に送られた電子メールも公表した。
WSPEEDIの予測図などは、国内版SPEEDIと異なり、政府としてすべて公表することは決めていなかった。ただ、文科省は全面公開したSPEEDIに準じる形で昨年五月、自ら原子力機構に試算を依頼した分を公表していた。
大量の予測図が未公表になっていたことについて、文科省の担当者は「われわれが試算を依頼したものではなく、省としての公表対象には当たらない」としている。
<世界版SPEEDI(WSPEEDI)> 国内だけでなく世界の原発事故などによって放出される放射性物質の拡散状況を気象データなどを基に計算
して予測するシステム。旧ソ連チェルノブイリ原発事故を受け、日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)が1987年に開発に着手し、2009年に完
成した。100キロ~地球の半分程度まで広域に試算できる。SPEEDIの試算範囲は最大100キロ。
(転載終わり)
【一次資料】
原子力安全委員会 「東京電力福島第一原子力発電所事故に関するW-SPEEDIによる試算結果の公表について」(平成24年4月27日) http://www.nsc.go.jp/jaea_wspeedi/index.html (2012年4月29日閲覧)
文部科学省 原子力安全課 原子力防災ネットワーク 「WSPEEDIについて」
http://www.bousai.ne.jp/vis/torikumi/030108.html (2012年4月29日閲覧)
【関連ブログ】
【Peace Philosophy Centre】4月中旬、NHKに一瞬映った 「WSPEEDI」 3月15日被ばく予測マップ→5月18日NHKから返信、4月4日のニュースと確認 (2011年5月16日) http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/05/blog-post_16.html (2012年4月25日閲覧)
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