Monday, April 2, 2012

XII.8.脱原発と、障害の「恐怖の象徴」からの解放-同時にできるはず

東電福島第一原発事故の影響について、女の子が「わたし子どもが産めるの?」とか「産んでも大丈夫?」と訊いた、という話を時々聞きます。それは、放射線の影響で生殖機能が衰えるという意味もあるでしょうが、いわゆる「五体満足」な子どもを産めないという心配を表していることもあると思われます。さらには、もっと露骨に、被曝の悪影響の例として、「奇形児」が生まれた・増えた、などという表現も目にします。

2月に放送された、NNNの「お母さん、わたし子供が産めるの ~原発事故と祈り」というテレビ番組。 題名だけ見ると、子どもの将来の生殖能力についての番組のように聞こえますが、実は、宗教者の被災者支援の取り組みを追った番組です。「子どもが産める」云々は1ヵ所で出てくるだけなのに、なぜこういう題名をつけたのでしょう? 「お坊さんたちの取り組み」などという題名では視聴者を引きつけられないのでインパクトの強い題名をつけたのでしょう。これも、(間接的に)障がいが「恐怖の象徴」(米津知子氏)として使われている例と言えると思います。

「子どもを産んでも大丈夫?」という間接的な表現でも、そこには、「障がいのある子どもを持つのは悲劇だ」、さらには「障がいのある子どもは生まれるべきではない」という暗黙のメッセージがあるように感じます。そしてそれは、発言者が意図しなくても、障がい者差別を助長することになるのではないでしょうか? すでに、今回の原発事故でも、以前からある差別が増幅されていると、原発民衆法廷でも証言されています。(申立人・設楽俊司氏の意見陳述所:http://technoworks.org/pdf/gm/7.pdf; 判事の田中利幸教授のまとめ:http://genpatsu-houtei.blogspot.jp/ 最後の動画の32分半あたりから)

意図せずに障がい者差別を助長しないために、 下に転載した米津知子氏の論説、「脱原発と、障害の『恐怖の象徴』からの解放――これは、同時にできるはず」は、たいへん示唆に富むと考えます。

【動画】お母さん、わたし子供が産めるの ~原発事故と祈り(NNN)

http://www.dailymotion.com/video/xol550_20120212-yyyy-yyyyyyyyyy-yyyyyyy_news?utm_medium=twitter&utm_source=twitterfeed

20120212 お母さん、わたし子供が産めるの ~原発事故と祈り by PMG5

NNNドキュメント12 3・11大震災 シリーズ28
福島県二本松市で幼稚園を経営する寺の佐々木副住職。園児を守るため除染を続けてきた。粉ミルクへのセシウム混入を見つけたのもこのチームだ。昨夏、園児 達の北海道への一時疎開を行った時、ある母親は「娘が、私は子供が産めるんだろうかと言う」と苦しい体験を訴えた。一方、故郷を去った人達もいる。原発か ら約5キロの所にある大熊町の教会。爆発事故直後から、佐藤牧師を中心に教会員60人余りが、吹雪の福島から山形へと彷徨った。結局、東京都奥多摩町の教 会に落ち着くことが出来たが望郷の念断ちがたく、いわき市での教会再建を決めた。人生を狂わされた人々の姿を通し、この事態を宗教者達がどの様にとらえ、 行動したのかを探る。
SOSHIREN)脱原発!どう考える?「母だから」「子どもに障害が……」
http://www.soshiren.org/oshirase/110810.html  (2012年1月28日閲覧)
 
脱・反原発の動きのなかで、「子を守る母だから」と母性が強調されること、放射能の危険を訴える際に障害や病気、奇形への恐怖をあおる形になっていることに、私たちは疑問を感じてしまいます。この違和感は何なのかを語り合い、どうしたら他の人に伝わるのかを考える「おしゃべり会」を開きます。
一方で、チェルノブイリ原発事故の時のように、胎児への影響を危惧して、今後、人工妊娠中絶がなされることも予想されます。ここ数年で胎児診断技術が進んでいる日本の現状についても情報交換できればと思います。
ぜひご参加ください。 


米津知子氏 「脱原発と、障害の『恐怖の象徴』からの解放――これは、同時にできるはず」
 http://www.soshiren.org/oshirase/data/yonezu.pdf (2012年1月28日閲覧) (全文転載)



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